スパニッシュフライ、もしくはスペインバエとも呼ばれる虫がいます。
これは主に海外に生息する甲虫の仲間で、ある毒を持っていることが特徴です。
そしてその毒は様々な使われ方をしてきました。
スパニッシュフライの持つこの毒はどのくらいの強さでどのような効果があるのか説明し、この虫の生態なども紹介していきます。
スパニッシュフライの生態
この名称から分かるように主な生息域はヨーロッパとなります。
スペインバエという呼ばれ方がありますが、ハエの仲間と言うことではありません。
大きな分類上としてはコウチュウ類となるためカブトムシなどと親戚と言うことになるでしょう。
そしてスパニッシュフライはこのコウチュウ類のうちツチハンミョウ科に属する虫の一種です。
この種は毒性を持っていると言いましたが、こうした性質はツチハンミョウ科全体に共通していることであり、スパニッシュフライはその代表格と言える虫なのです。
ツチハンミョウ科であれば日本にも生息しています。
見た目は全身に光沢のあるものが多く、腹部が頭部に比べて大きくなっているのが特徴です。
基本的に移動は地面を這うように歩きまわっているようです。
毒性の他、ハナバチ類の巣に寄生するという変わった習性を持っていることでも有名な昆虫です。
さらにツチハンミョウ科はいくつか特徴的な性質があり、例えば一度の産卵数が非常に多いことや、過変態と呼ばれる成長の仕方をします。
過変態とは、完全変態に比べてその成長段階が多くなっており、蛹になる前に擬蛹という蛹のようになる性質のことを意味します。
蛹のような状態となるもののその後イモムシに戻り、そして本当の蛹になります。
毒の強さと成分
スパニッシュフライの持つ毒はカンタリジンという毒です。
簡単に言うと炎症性の毒であり、皮膚に付着すると痛み、水疱を生じてしまいます。
スパニッシュフライがカンタリジンを持つ昆虫として有名ですが、上記の通りツチハンミョウ科の多くがこの毒を体内に保有しています。
しかし食べるなどして摂取しなければ良いということではありません。
スパニッシュフライは敵からの攻撃を受けると死んだふりをし、この際に体液を分泌します。
ここにカンタリジンが含まれているので、人が攻撃の意思なく触ってもこの体液に触れてしまいケガをしてしまうかもしれません。
もちろん潰してしまった場合にも同様です。
日本の場合マメハンミョウやアオカミキリモドキがこのカンタリジンを持つ昆虫として知られています。
いずれも触れると皮膚に炎症を起こしてしまうので注意しましょう。
様々な応用例
スパニッシュフライの持つカンタリジンという毒は現代に初めて存在が確認されたわけではありません。
この毒を採取することで昔から様々な使われ方がされてきました。一つは媚薬としての使用です。
尿道の血管を拡張させる効果があることから膀胱炎などの治療にも使われていたようです。
分量などを調整し正しく使えばこうした薬としての効果も期待でき、外用薬としても応用されていました。
しかし適切な使い方をしなければ人体に悪影響となります。
そのため暗殺用としてカンタリジンが使われることもあったようです。
スパニッシュフライの毒は危険だか薬にもなる
スパニッシュフライから分泌される体液は基本的に毒です。
ツチハンミョウ科の昆虫を見つけても触らない方が良いですが、この毒のように特殊な成分は使い方によっては人間にとって良いものにもなり得ます。
スパニッシュフライを捕まえることで簡単に毒の採取ができたことからこうして色んな使用方法が発見されてきたのです。
日本にも同じ毒を持った虫はいるのでそれほど関係のない話ではないのです。