チャノコカクモンハマキという蛾をご存知でしょうか?

あまり聞きなれない名前かもしれませんが、幼虫はとっても厄介な害虫です。

その生態や駆除方法について詳しくお話します。

チャノコカクモンハマキの特徴

成虫は静止時は6㎜程の黄褐色地に濃褐色でV字の帯状の紋が入る釣り鐘型の蛾。

チャやツバキ、サザンカなどのツバキ科植物の他、リンゴ、ナシ、カキ、ブドウ、ミカンなどの果樹も加害しますが越冬は常緑樹に限られます。

 

老熟幼虫は15㎜程の淡緑色の棒状の形をしています。頭部は淡褐色で幼虫が綴り合わせた葉の間で越冬し、春先に蛹化、新葉展開期に成虫が羽化します。

成虫は展開葉の葉裏に50粒前後の卵塊を産み付けます。

 

幼虫は周囲の新梢に分散して若い葉を綴って内側に潜み、かすり状に食害します。成長すると2~3枚の成葉を重ねるように綴り合わせ、中を食害します。

巻葉内で蛹化して羽化し、年4~5世代を経過しますが第1世代、第2世代に発生が多く大きな被害を与えます。

チャノコカクモンハマキの害

多くの害虫は春から秋にかけて活発に活動し、卵殻かえって成虫になるという過程をシーズン中何度も繰り返します。

年に4回程発生し、昼礼幼虫が落葉中、樹皮下、ハウス資材の中などで越冬します。

 

春季ぶどうの発芽と同時越冬幼虫が目や展開中の葉を食害して蛹化し、成虫の発生時期は越冬世代が4月下旬~5月下旬、第一世代が7月上旬~下旬、第二世代が8月中旬~9月中旬、第三世代が9月中旬~10月下旬です。

 

加温ハウス内で幼虫が越冬した場合、加温と同時に幼虫が活動し始めて発芽直後の芽を食害し、路地での発生以前に第一世代を経過し、年4回発生します。

6月上旬までに臭覚すると12~2月、加温ハウスでは果房の被害はありませんが6月~収穫するぶどうで被害が多くなります。

温帯の害虫ではこのような現象が良く調べられていて、各発生器のピークは毎年ほぼ同じとなることがわかっています。

 

チャノコカクモンハマキではぶどうの他各種植物の葉を食害しますが、無袋栽培のハウスぶどうでは幼虫が顆粒を食害し裂果や腐敗果の原因となり、島根県ではフサムシと呼ばれ特に無加温栽培で被害が多いとされています。

 

幼虫は葉や果房を食害し、葉の被害より果房の被害が問題になります。

幼虫が果房の穂軸部や果便部寄生し、内側から果皮を食害するので顆粒が避けたり、果汁があふれ出て房が汚れたりします。

 

また房全体が腐敗して出荷できなくなり、収穫が遅い大粒形品種は本種による被害が多くなることもあります。

またぶどう以外にもバラやかんきつ類、柿、ゼラニウムなども害に会いやすい植物です。

チャノコカクモンハマキの防除方法

チャノコカクモンハマキの防除適期は通常、発蛾最盛日の7~10日後頃とされていて若齢幼虫期に当たります。

この時期は葉巻剤の幼虫に対する殺虫活性が期待されるとともに幼虫の体サイズが小さい若齢期の方が老齢期よりも薬感受性が高いことが分かっていて有効とされます。

 

巻葉後の防除効果は劣ってしまう為、巻葉が見られたら直ちに防除を行うのが賢明です。

既に巻いてしまった葉を見つけたら葉っぱ事摘み取ってしまいましょう。

 

また、葉の表面に卵を見つけた時も葉っぱごと摘み取って処分するのがおすすめ。

大量発生してしまった場合は浸透移行性剤のオルトラン液剤やオルトラン水和剤、スミチオン乳剤、マラソン乳剤などを葉っぱの表面や中にかかるようにまいていきます。

チャノコカクモンハマキの予防方法

予防方法としては植物にネットをかけ飛来を防ぐこと。また夜間の不必要な電気を消すこと。越冬中の幼虫を駆除することなどです。

(ライター ナオ)