クロカタゾウムシという硬い硬い昆虫をご存知でしょうか。
私たちが普段見かけるゾウムシとは比べ物にならないくらい硬い!!
人間の指でも簡単につぶすことはできない防御力満点の昆虫、クロカタゾウムシ、その特徴や生態について詳しくお話します。
ゾウムシの特徴
ゾウムシは甲虫類ゾウムシ上科に分類される昆虫です。
多くの種類が森林や草地に多くの種類が生息し、夜間に灯火へ飛来する種類も多くいます。
成虫の体長は数㎜から数㎝くらいで丸みを帯びた体表は硬くて頑丈な外骨格に覆われています。
頭部から吻が長くのび、その先に口を持つ種類が多く、和名のゾウムシはここからきています。
口吻は植物組織に穿孔して産卵するのに適応した期間ですが二次的にこうした産卵習性を失って興奮が短く退化したものも存在します。
動きは比較的鈍いですが頑丈が外骨格で身を守り、敵にあると擬死をすることも多いです。
一部のゾウムシは外骨格の形成に必要なチロシンを体内の共生細菌ナルドネラに生産させています。
幼虫・成虫ともすべての種類が植物食で食部とする部位は葉や随、花、樹液、果実、朽木、種子など種類によって異なります。
成虫が植物組織に口吻で尖った孔に産み付けられた卵から孵化した幼虫がそのまま穿孔生活に写るものが多く、中には虫こぶを形成するものもあります。
クロカタゾウムシの特徴と生態
クロカタゾウムシはゾウムシ科の昆虫で八重山諸島に生息しているゾウムシ。
ちなみにカタゾウムシ類はニューギニアやフィリピンを分布の中心に約420種類が知られ、八重山列島はカタゾウムシ類の分布の北限に当たります。
体長は11~15㎜で、ヒョウタン型をしていて体表は黒色で艶があり、胸脚が長く、上翅には小点刻列があります。
外骨格はゾウムシの中で外骨格の硬さが最強と言われ、通常2~4層で構成されているところが7層もあり、標本用昆虫針の一番太い5号針が貫通しないほどだそう。
更にこの異常なまでの硬さはゾウムシ類が体内で1億年以上前から共生しているナルドネラという細菌の働きによるとされています。
鳥類などは硬すぎる外骨格を消化できないので捕食せず、硬い外骨格はクロカタゾウムシの最大の防御力になっています。
翅は退化し、動きは緩慢ですが他のコクゾウムシに比べると若干機敏な動きをし、アリ程度の速度で動き回ることができます。
エサはスダジイ、リュウキュウエノキなどの葉ですがマンゴー畑で木の幹や根を食い荒らした被害の報告がある害虫でもあります。
ゾウムシの害虫対策
ゾウムシはその外骨格の硬さから農薬などが効きにくいとされ、その対策が困難な害虫のひとつです。
近年の研究では外骨格を形成するタンパク質とキチン質から成、ナルドネラの作るチロシンはこの2つの物質を結合する役割を担うとされています。
クロカタゾウムシの幼虫に抗生物質を投与してナルドネラを減らす実験を行ったところ、体液中のチロシン濃度が大きく減少し、その後成虫になったものの黒い四季を葉失われ赤色に変化、また外骨格が硬くならずに柔らかいフニャフニャの体になりました。
また、飼育温度を5℃ほど上げた30度にしてナルドネラを完全に死滅させたところ幼虫は成虫になることができませんでした。
このことから、幼虫段階でナルドネラ菌を死滅させればクロカタゾウムシをはじめ、多くのゾウムシ類の駆除も可能になると考えられています。
更に、昆虫類1~2割が成長を共生細菌に依存していてゴキブリやシロアリ、シラミ、アブラムシ、ウンカ、ヨコバイ、カイガラムシ等も同じ方法で駆除することができるのではないかとされています。
(ライター ナオ)