羊も山羊もどちらかというと私たちの身近な存在の動物ですが、いざ見分けるとなるとはっきり区別することはできるでしょうか。
今回は知っているようで意外に知らない羊と山羊の違いについて詳しくお話します。
羊の特徴
ヒツジはウシ科ヤギ亜科の鯨偶蹄目で角を持っていて主に羊毛の為に家畜化されています。
ヒツジは反芻動物としては比較的体が小さく、側頭部のらせん形の角と羊毛と呼ばれる縮れた毛を持っていています。
原始的な品種では短い尾など野生種の特徴を残すものもあります。
家畜の羊と野生種での交雑も可能で品種によって全く角を持たないものや雌雄両方に角があるもの、オスだけが角を持つもの等があります。
螺旋を巻きながら直状に伸びた角を螺旋角、渦巻き状に丸く成長する角をアモン角と称し角ある品種のほとんどは左右1対ですが古品種にはヤギのように後方に湾曲しながら伸びる角を持っているものもいます。
食性は草のみで、採食特性は幅広いとされています。
また聴力がとても良く、視力は水平に細い瞳孔を持っていて優れた周辺視野を持ち、その視野は270~320°と言われ頭を動かさずに自分の背後を見ることができると言われています。
しかし億唯があまり近く出来ず、影や地面の窪みなどにはひるんで先に進まなくことがあったり、暗い所から明るい所に移動したがる傾向があります。
妊娠期間150日ぐらいで1頭の仔を産みますが稀に2~3頭産むこともあります。
群れでいることを好み、先導者に従う傾向がとても強いのが特徴でこれらの性質が家畜化される重要な要素になったとされていますが捕食者のいない地位の在来種は強い群れ行動を起こしません。
山羊の特徴
山羊はウシ科ヤギ属に動物の総称で大昔から飼育され用途によって乳用種、毛用種、肉用種、乳肉毛尿種などに分化し、その品種は数百種類に及びます。
粗食によく耐え、険しい地形も苦としないので山岳部や乾燥地帯で生活する人々にとって貴重な家畜になっています。
ユーラシア内陸部の遊牧民にとってはヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダと共に5種の家畜の1つであり特にヒツジと比べると乾燥に強いので西アジアの乾燥地帯では重要な家畜になっています。
野生のヤギは家畜山羊が野生化した個体で、近年はこのような野生の山羊の増殖による生態系の破壊が問題になっています。
ことにかつて船乗りたちが山羊を置き去りにした大洋の離島において離島さんの固有植物が山羊により著しく食害されて絶滅を危惧されるような状態にあります。
日本では南西諸島や小笠原諸島などで野生の山羊が増え、植生破壊や農業被害などの問題が起きています。
羊と山羊の違い
漢字の表記から見てもわかるように羊と山羊はとても良く似ています。
生物学上でも同じウシ科ヤギ亜科に属しますが、食性と見た目、性格に若干の違いがあります。
山羊は草以外にも色々な木の芽や木の葉などを好んで食べますが、羊は草以外の食べ物を消化することができず、草しか食べません。つまり、紙をむしゃむしゃ食べている場面を見かけたら、それは明らかに山羊ということになります。
見た目の特徴としては山羊の角が湾曲して後ろに伸び、尻尾は短く上向きに生え、顎髭が生えているのに対し羊はぐるぐると渦を巻いた状態で角が生え、尻尾は長く下向きで全身に長めの毛が生えています。顎髭は特にありません。
性格は山羊の方は好奇心が旺盛で活発、自己中心的で攻撃的と言われ安易に近づくと危険な動物でもありますが羊の方は温厚で大人しく、臆病で優柔不断な性格です。
また、ヤギの乳ではチーズやミルクを作りますが羊の乳では作りません。羊は主に羊毛が利用されます。
ちなみに鳴き声で見分けるのは至難の業。
喜怒哀楽!?があり個体差もあるので鳴き声での判別は難しいようです。
(ライター ナオ)