前歯が特徴的なビーバー。
ダムづくりの様子は小学校の教科書にも登場し、馴染みのある動物の一種です。
ビーバーがダムづくりをすることは知っていても、それが何のためなのか、皆さんはご存知でしょうか?
今回はそんなビーバーの生態とダムづくりについてお話しします。
ビーバーの特徴
ビーバーはげっ歯目ビーバー科に分類される構成種の総称です。
和名では海のタヌキ、海狸と書きます。
体長は80~120㎝、尾の長さは25~50㎝、体重は11~30kgです。
水中の生活に適応していて、ビロードのような毛皮は水をはじき、後ろ肢には水かきがあります。
平たく大きな尾はオールのような形をしていますが、上下に動かすことで推進力を得るのに役立ちます。
直腸や排尿口、生殖口を兼ねる器官をもっていて、オスの睾丸は体内にあります。
睾丸は交尾のときのみ外に出てくるので外見でオスとメスを区別するのは難しいのも特徴です。
大きくて丈夫な歯を持っていて直径15㎝の木をわずか10分で倒すことができます。
指は5本あり、両足で物を挟むことで物をつかむことも可能です。
茶色の毛の内側にびっしりと会えた白い毛が皮膚に水がしみるのを防ぐ役割をしています。
ビーバーの生態
ビーバーは河川や湖、池などの周囲にある湿原に生息します。
ペアとその幼獣からなる家族群を形成して生活しますが、生後2年以上の若獣が含まれることもあります。
家族群はそれぞれなわばりを形成し、臭いをつけることによってなわばりを主張します。
刺激をうけると尾を見ずにたたきつけますが、これは家族に対して危険を知らせたり、外敵を驚かせる働きがあると考えられています。
繁殖は年に一度で、一回の出産で1~6頭の子供を産みます。
子供は10日ほどで泳ぎ始めますが、次の子が生まれても親の元に留まり、その次の子が生まれる直前、満2歳近くなってから独立します。
装飾性で一に似に2kもの木の葉や草、木の皮などを食べ、葉を食べるために前歯で木を齧り倒すこともあります。
50㎝の枝なら僅か3分ほどで丸裸にしてしまいます。
足の間に油を出す腺があり、この油を前足で毛に塗り付けることで皮膚を濡らさないようにします。
この時だけは陸地に上がりますが、その他の時は天敵から身を守るために陸地で活動することはなく、岸から20mの距離で食事をするくらいです。
ビーバーがダムを作る理由
ビーバーのダムづくりは本能的な行動と言われています。
教わらなくても水辺の木を齧り倒し、泥や枯れ枝などとともに材料として川を黄疸するようにくみ上げます。
木の壁の底面はしっかりと水底についていますので、壁は人が乗っても大丈夫なほど頑丈です。
ダム湖の中心にも木をくみ上げた密閉された個室状の巣を作り、巣の床は水面よりも上にありますが、出入り口通路だけは水面下にあり、天敵の侵入を防ぎます。
これはダムを作ることで一定の水位が保たれるために実現できる防御方法。
つまり、ダムは敵から身を守るための防衛本能から作られているのです。
また、ビーバーは人以外に自らの環境を変えることが出来る動物と言われています。
ダムの壁を徐々に積み上げていくのは、せき止める水の量を多くすることにより、あふれ出る水を増やすことで周辺の食性や生態系を良くし、エサを増やそうとしていると考えられています。
さらに、ビーバーは冬、越冬も水中で行います。川の水面は冬になると凍ってしまいます。
そうなると冬の間、エサが制限されてしまいます。ダムを作ることは水の中に入り口があるということですから、水面に作られたダムを利用して氷と水面の間に空気の層が出来るまで水を抜いて、エサをとることができます。
そう、ビーバーのダムづくりは全てが生き残るため。
当たり前ですが、動物の行動に無駄なものは何もないということなのでしょう。
(ライター ナオ)