トビムシ類とは何でしょうか。人間に対してどんな害があるのでしょうか?
トビムシがいる場所
トビムシは水分の多い場所に発生します。森林の土の中にも見られますし、氷河が広がるような土地にもいます。
基本的に雑食傾向ですが、植物性腐敗物のある場所に発生することが多いようです。森林内の土壌にいるトビムシたちは、枯れて水分を含み、腐敗した落葉やバクテリア、菌糸など多様な有機物をエサとして生きています。
森林地帯での彼らの役割は土壌分解者です。
トビムシの生息地は日本全国であり、雪が降り積もるような地域でも発見されることがあります。
春先になると溶けかかった雪の上にトビムシがいるようです。
成体でも1,2mm程度ですが、トビムシはタフな生物のひとつです。大きめのトビムシであるトゲトビムシは2,3mmであり、触角が長くやや前傾姿勢のような体をしています。
脱皮して成長し、成体になってからも脱皮します。日本に生息するトビムシ類たちは多くが森林地帯の堆積腐敗層などで見つかります。
堆積腐敗層とは、生物の遺骸や腐敗した葉などでできている、まだ地層として固まっていない層のことです。
トビムシにとってはエサの宝庫です。こういった土壌の土にはトビムシが1m四方くらいに4万匹はいるのではないかともいわれます。
主な種類にトゲトビムシ、アヤトビムシ、ムラサキトビムシ、シロトビムシなどがいるようです。
トビムシの出現時期は一年中です。森林の土壌には春から秋くらいに見つかりやすいようです。
トビムシの分類
数が多いことはよく知られていながらトビムシの具体的な生態はわからない事が多いようです。
体が小さすぎて観察しにくいのでしょうか。昆虫は翅がないもの、あるものに大別することができます。
トビムシには翅がありませんから、無翅昆虫類です。翅があるバッタ、チョウ、アリなどより原始的な生物だと考えられています。
トビムシ類は六脚類に分類され腹部に三対の脚をもち体節も分かれていますが、昆虫とは違う生物なのではないかともいわれます。
ムラサキトビムシは主に菌類の周辺に発生するとされる、暗い紫色のトビムシです。
大きさは2mmくらいで体は細いですが、体節の分かれた体がややダンゴムシに似ているようにも見えます。
跳ぶトビムシ
翅がないトビムシですが、トビムシという名前からやはり飛ぶのではないかと考えられます。
トビムシは飛ぶといえば飛びます。体の小ささから予想できるように、空を飛ぶことはありません。
トビムシが飛ぶ際に使用する体の一部は跳躍器といわれます。
トビムシの跳ぶ様は、ちょっと飛び跳ねる、というような姿です。跳べて数センチです。
トビムシは敵に遇うと飛び跳ねます。前に向かって跳んでしまうので、敵から逃げられるかというとそれはわかりません。
トビムシは、臭い液体を出したり、噛みつくこともできないようです。
トビムシの跳躍について
トビムシにはほぼ必ず跳躍器がついています。他の部分は異なる点も数多いようですが、この跳躍器だけはあるようです。
やはり跳んでこそトビムシです。
脚のようにもみえる跳躍器は、柄節、茎節、端節からできています。
ふたつめの茎節が一番大きくできており、この部位がおそらくトビムシの跳躍を可能たらしめていると考えられます。
その茎節などにバネのようなものがあるのではないかともいわれ、トビムシの英名としてspring tile(バネの尻尾)などというものもあります。
また、氷上にいるトビムシは、snow flea(雪のノミ)といわれています。
しかしトビムシはノミではなく人間にも建物にも害はありません。
トビムシの害
害虫といってもその害の種類はいろいろあります。
トビムシ類は歩行害虫といわれています。
歩行害虫とは、地面をうろうろ歩く虫のことです。虫を見ただけで虫唾が走るという方も多くいることでしょう。
基本的に野外に生息しているトビムシ類が害虫となるのは、屋内の植木鉢、浴室、キッチンなど水のある湿気の多い場所に発生する場合です。
出てきたトビムシ類たちの駆除は噴射式の殺虫剤で可能です。
長雨の時期などは屋内の湿気に気をつけたり、外に出していた植木や小さいプランターなどを室内に入れる時は注意しましょう。
トビムシは土を好みますから、土にくっついて屋内に浸入することもあります。
また、家の中に傷んだ木材などがある場合、その周辺に発生することもあります。そういう場合は腐食した部分を取り除き、エアゾールを噴射します。
謎のトビムシ類
トビムシ類たちは無害です。しかし屋内で大量に発生すると、不快な害をもたらすこともあるでしょう。
屋内において発生するのは主に地下室などが多いようです。
世界中に生息し、一年中だいたいいるのですがひどく地味な生物です。
(ライター:おもち)