カマキリやバッタに巣食う恐ろしい寄生虫「ハリガネムシ」。
見た目の気持ち悪さもさることながら、昆虫に寄生し最後には死に至らしめるというとても恐ろしい虫です。
もしかすると人間が寄生されてしまうこともあるのか?と少し心配になりますね。
そこで今回は、ハリガネムシの詳しい生態や、人間への害についてまとめていきたいと思います。
ハリガネムシってどんな虫?
ハリガネムシはカマキリやバッタ、コオロギなどを宿主とする寄生虫です。
太さは1~3mmほどしかありませんが、その長さは数㎝から最長で1mになるものも。
そんな見た目に加え、乾燥すると針金のように固くなることから、ハリガネムシという名前が付けられました。
うねうねとのたうち回るように動く姿は、初見では鳥肌ものです。
寄生中以外は水中を棲み家としているので、川や池などで見つけることができますよ。
全世界に300種以上が存在しており、日本にも14種が生息。
しかし名前のついていないものや今だ発見していないものを含めると、世界中に2000種以上がいるとも言われています。
ハリガネムシにそんなたくさんの種類がいるとは驚きですね。
ハリガネムシの寄生の流れ
元々は水中で生活しているハリガネムシ。
一体、どのようにして昆虫に寄生するのか、その流れを見ていきましょう。
水中に産卵された卵が孵化すると、そこから生まれた幼生はまず水生昆虫の餌となります。
これがまず第一の寄生となりますが、この時は宿主に何か影響を与えるということはありません。
水生昆虫の腹の中で殻を作り、休眠状態で過ごします。
そして水生昆虫が羽化し陸上に上がると、それを狙った肉食昆虫(カマキリやカマドウマなど)が捕食。
こうしてカマキリやカマドウマの体内にまんまと入り込んだハリガネムシは、殻を解除し体内ですくすくと成長。
最終的には宿主を操って水辺に戻り、宿主の体から出て再び水中で活動を行うのです。
しかしここで一つの疑問が。
カマキリなどの肉食昆虫に寄生する流れはわかりましたが、草食であるバッタに寄生していることがあるのはなぜなのでしょうか?
それは第一の宿主、または第二の宿主の体内に入った際に休眠状態が解けなかった場合、そのまま糞として排出されてしまうことが原因です。
その糞が付着した草などを食べた草食昆虫は、偶発的にハリガネムシを寄生させてしまうというわけなんですね。
人間に寄生することはある?
あのウネウネとしたハリガネムシをそのまま飲み込んでしまうことなどはまずあり得ませんが、幼生や休眠状態の場合は知らないうちに体内に入れてしまう可能性もゼロではありません。
もしそうなった場合、人間もハリガネムシに寄生されてしまうのでは…と心配になりますね。
しかし安心してください。
ハリガネムシが人間に寄生することはありません。
川や池などで偶然水と一緒に飲み込んでしまった場合なども、体が拒否して吐き出すか、そのまま消化されるかのどちらかです。
ハリガネムシに寄生された昆虫を餌とするカエルや鳥などの場合も同様で、そのまま昆虫以外を宿主とすることはありません。
ですので、もし万が一体内にハリガネムシが入ったとしても、昆虫のように操られて腹を食い破って出てくる…なんてことは無いので安心してください。
「爪と皮膚の間からハリガネムシが入り込もうとする」なんて都市伝説もありますが、あれは全くのウソです。
ハリガネムシが針金のように固くなるのは乾燥した場合のみですし、爪の間とは言え人間の皮膚を食い破るような強さはハリガネムシにはありません。
ハリガネムシについてのまとめ
ハリガネムシに寄生された昆虫は、生殖機能を失う上に最終的には必ず死に至ります。
人間を宿主にするような寄生虫ではなくて、本当に良かったなと思いますね…。
昆虫の中では最強クラスのカマキリでさえ、一度体内に入られてしまえば成すすべ無しです。
ある意味、最恐の虫と言っても過言ではないかもしれません。
(ライター もんぷち)