イノシシの赤ちゃんのうり坊。
可愛らしい顔つきと黒の縞模様が特徴的ですが、うり坊をペットとして飼うことはできるのでしょうか?
日本に生息するイノシシ
日本には2種類のイノシシが生息しています。
ニホンイノシシとリュウキュウイノシシでこのうちリュウキュウイノシシは沖縄にしか生息しておらず、絶滅危惧種に指定されています。
大きさはニホンイノシシよりも一回り小さいくらい。
ニホンイノシシの生態
ニホンイノシシは体長が100~170㎝ほど。
体重は80~180㎏ほどで明るめの茶褐色をしています。個体差があり、中には黒っぽいものも。
体毛は非常に剛毛で逆向きに触れた時にはごわごわとした感触があります。
下あごには牙が生えていて、オスの牙は15㎝以上になるものもいるそうです。
下から生えて湾曲しているので、アッパーカットのように振り回し、相手の肉をえぐり取ってしまいます。
人間でいうとその位置はちょうど太もも付近にあたり、イノシシに大けがをさせられたという例は少なくありません。
雑食性で植物性のものだとドングリや木の実、果実、地下茎の芋などを食します、
動物性のものだとヘビやカエル、ネズミやミミズを食べますが、人里近くに降りてきて、生ごみなどをあさることもあります。
人家近くでは夜に現れることから夜行性と思われがちですが、実際は昼に活動していて、水辺近くの草むらなど水の近くにいます。体についたダニを水浴びしながら落とすのが日常的のようです。
繁殖期は冬でオスは繁殖期の間中何匹ものメスと交尾を繰り返します。
妊娠したメスは草木で巣を作り、4か月の妊娠期間を経た後、3~6頭の子供を出産します。
かわいいうり坊
この時に生まれてくる赤ちゃんがウリ坊と言われます。
縞模様の体毛と楕円形の形がまるでウリにそっくりということから愛着を持ってこの名前が付けられているのですが、実際生物学上はこの模様が木漏れ日の中では保護色になり、幼生期のイノシシを守っているのです。
大人になると攻撃的になるイノシシですが、うり坊は大人しく愛らしい存在です。
この時期の天敵はキツネや野犬、フクロウやカラスなど。
大人になるとクマ以外の天敵はいないイノシシ。しかもクマは生きている動物をめったに襲ったりはしませんから、ほぼ敵のいない状態なわけですが、子供の頃には色々な生物の脅威に怯えているというわけです。
イノシシの隠れた能力
可愛らしいウリ坊は大人になるにつれ、その模様が失われ茶褐色になっていきます。
敵がいないのですから、保護色も必要なくなってくるということでしょうね。
しかも、敵がいたとしてもイノシシの並外れた能力がありますので、そう簡単には敵にやられたりはしなさそうです。
実際ニホンイノシシは本気を出すと時速40㎞ほどで走り、1m以上もジャンプするのだそうです。
硬い鼻先で70kgほどの岩も動かし、海を泳いで渡ることも出来るのだそう。
実際に中国地方から四国までを泳いで渡ったイノシシが話題になったこともありました。
うり坊をペットに?
イノシシは狩猟動物で鳥獣保護法の対象にはなっていないので、ペットとして飼育することは可能ですし、特別な許可なども必要ありません。
しかし、狩猟期間が冬に定められていることが多く、出産時期の春先ではないので、うり坊を手に入れること自体が困難とも言えます。
もちろん、ペットショップなどで販売していることもありません。
実際に飼育している人は、弱っているうり坊や交通事故にあったうり坊の保護といった形がきっかけであることが多いようです。
実際にうり坊の頃は小さく可愛くても、半年位経つと100kgほどの大きさになってしまいます。
こうなると飼育はかなり難しくなります。
簡単に柵を乗り越えたり、ゲージを壊したり、人に危害を加えることもあり、そうなると責任は飼い主にかかってきてしまいます。
結論として、うり坊を一般家庭で飼育するのはほぼ不可能、ということです。
(ライター ナオ)