キタキツネが媒介することで有名な「エキノコックス」。
しかし、普段の生活の中でキタキツネと接触することはそう多くありません。
それよりも心配なのが、「犬にも感染するのか?」ということです。
犬自身の健康も心配ですし、飼い犬から人へと移る可能性もあるのでしょうか。
今回はそんなエキノコックスについて、詳しく見ていきたいと思います。
エキノコックスって何?
そもそも、エキノコックスとは一体どういうものかのか、皆さんは知っていますか?
エキノコックスはキツネなどの動物を最終宿主とする「寄生虫」です。
人が寄生されると深刻な肝機能障害を始め、肺・脳・骨・心臓などにも重篤な症状を引き起こす可能性がある恐ろしい寄生虫…。
自覚症状が表れる前に治療を開始できれば、外科手術により完治も見込めます。
しかし、既に自覚症状まで現れた場合完治は難しいとされており、現段階では薬で進行を抑制するよりほかに方法はありません。
完全に放置した場合は、5年での生存率は30%ほど。
とても恐ろしい寄生虫ですね。
エキノコックスは主に北海道に生息する「キタキツネ」がネズミを食べることによって感染。
まず、エキノコックスは卵の状態でネズミの中に入り込み、その体内で孵化。
そのネズミをキツネが食べると、キツネの消化管内で成虫へと成長し、産卵します。
卵は糞と共にキツネの胎内から排出され、それが再びネズミの口に入り感染を繰り返すというループ。
この時、キツネの糞に混入している卵が水や植物に混入し口の中へ入ると、人間もエキノコックスに感染してしまうのです。
犬もエキノコックスに感染する?
「キタキツネが宿主なら、本州にいれば大丈夫」と安心してはいけません。
北海道以外でも、エキノコックスへの感染例はあります。
そして、キタキツネだけではなく犬もエキノコックスに感染する可能性があるのです!
北海道内では飼い犬全体の0.5%、外飼いの場合は1%の割合で感染しているとも言われているほど。
エキノコックスは感染した野ネズミを食べることで終宿主へと感染しますから、野ネズミを食べたことがある犬が宿主になる可能性はゼロではありません。
しかも犬が感染した場合、症状は軽い下痢程度のこともあり、なかなか感染には気付けません。
犬の治療自体は駆除薬で簡単に行うことができますが、それまでの間に飼い主を含め人間に感染していないかが心配なところです。
人間に感染してしまうと、症状は重く治療も困難ですからね。
そうならないためにも、予防策として「放し飼いはしない」「与える餌以外のものを口にさせない」ようにしましょう。
また、北海道から移入された犬を迎える場合には、注意してください。
人から人へもうつる?
犬が感染するとなると、次は感染した人から別の人へと感染しないかどうかが心配のタネになってきます。
完治が難しい病気であるため、人から人へと移るのなら爆発的に患者が増えてしまいそうですよね。
しかし、そこは安心してください。
エキノコックスが人から人へとうつることはありません。
人間はあくまでも中間宿主であり、人間の体内では消化器官ではなくその他の内臓へ寄生するからです。
ただし、そもそもの感染源である犬やキツネなどが近くにいる場合は、他の患者がいる可能性もあるのできちんと検査を受けましょう。
放っておくと、どんどんパンデミックを起こす可能性も否定できません。
エキノコックスについてのまとめ
エキノコックスは、症状が出るまで何年もかかるというのがやっかいなところです。
すぐに症状が出て対処できれば被害は最小限で済みますが、気付かずに放置していると被害がどんどん拡大してしまうこともあります。
今のところ北海道以外ではそう多くの患者が出ているわけではありませんが、今後何かのきっかけで飼い犬が感染してしまうことがあるかもしれません。
人間が感染しないためには、よく手を洗い、食べ物もよく洗うか十分に加熱することで、予防することが可能です。
(ライター もんぷち)