フンコロガシという名前の虫をしっていますか?

日本でも有名なこの昆虫、実はエジプトでは凄い扱いをされているってご存知でしたでしょうか?

今回はフンコロガシについてのお話です。

フンコロガシの特徴と生態

フンコロガシはスカラベといい、甲虫類コガネムシ科のタマオシコガネ属に分類される昆虫の総称。

糞を食料とし、動物の糞を球状にして持ち運ぶ習性で知られています。

頭の先端にある突起を使って糞の塊を切り出し、後足で糞を球状に整えながら前足で糞を付け足すという動作を続け、その場で球を大きくしていきます。

球が十分に大きくなると、逆立ちして後足で転がし始めます。

 

糞球は安全な場所まで運んで食料としますが、運ぶ最中に別のスカベラが現れ糞球を奪われてしまうこともあります。

メスは穴の中の糞球に卵を産み、卵は負かした後に糞の球を食料として成長します。

 

やがて蛹になり、成虫になったフンコロガシは穴から出ていきます。

日本に初めて紹介されたのはファーブル昆虫記によると言われていますが、現在ファーブルのフィールドであった南フランス各地では開発が進み、スカラベは激減していると言われています。

古代エジプトでのフンコロガシ

古代エジプトでは太陽神ケプリと同等とされていたフンコロガシ。

これは糞球を転がす習性を神秘的なものとして受け止め、糞球を太陽に見立てて太陽の運行をつかさどる神に関連付けたものです。

また、再生や復活の象徴である聖なる甲虫として崇拝され、スカラベをかたどった石や印章などが作られました。

 

かつてスカベラはオスしか存在しておらず、繁殖は精液を糞の玉の中に注いで行われていると信じられていたそうです。

これほどまでにスカラベが崇められるようになったのには2つの誤解が関係しています。

ひとつは地面を横切って小さく丸めた糞を運ぶことを太陽に見立て、自分たちにぬくもりを与えてくれる太陽と関連付けて、生殖のシンボルであると連想したこと。

 

フンコロガシの形をした小物を身に着けるのもそんな信仰からきています。

エジプトの太陽神、ケプリを描いたものの中には顔がフンコロガシになっているという図もあり、かなりの衝撃を受けます。

 

もう一つはフンコロガシが地面に深い穴を掘り、その中に糞の球を置き、後日若いフンコロガシが現れるという光景を見て、フンコロガシが生まれ変わったのだと考えたエジプト人は「フンコロガシは不死身である」と結論づけたのです。このことがフンコロガシが再生や復活の象徴とされる理由です。

 

古代エジプト人はスカラベを、自分が生きている間は死から自分を守るために、また、死んでからは来世を保証する為に身に着けられていました。

死体を防腐保存しておく間ずっとスカラベのお守りは胸の上か心臓のついた穴の中に置かれていました。

かのツタンカーメンの装飾品の中にもスカラベが多く存在していたのだというのだから、その偉大さがわかります。

現在のエジプトでのフンコロガシ

現在、大英博物館に歯長さ2.5m、幅90㎝、重さ千キロほどのフンコロガシの置物が展示されています。これは建物全体を守るために作られたお守り。

現代ではエジプト以外にも多くの国にフンコロガシのお守りの存在は広がり、トルコ、シリア、イラン、イラク、レバノン、イスラエル、地中海沿いのほとんどの国々から見つかっています。

しかし、フンコロガシの神秘的な伝説を知っている人も少なく、単なる幸運のお守りとして販売されているのだそうです。

パワーストーンを使ったスカラベのアクセサリーなどはとても人気があるようで、ストーンからのパワーとスカラベからの両方のパワーをもらえると評判です。

(ライター ナオ)