時折出現するワタムシを駆除するにはどうすればよいのでしょうか。

ワタムシは引っ越しをする

ワタムシたちは年に2回発生します。移動のためです。

ワタムシの餌となるのは樹液ですが、樹にくっついて翅をなくしています。樹木に寄生するタイプです。

寄生する樹を時期によりかえるため、時折ワタムシが大量に発生することになります。

春先は主にモクセイ科の樹にいます。そして夏から秋にかけてトドマツに移動します。

寄生先を変えるため、ワタムシたちは翅をもち、飛び回ります。6月から7月の初夏、9月下旬から10月あたりの年に2回がワタムシたちの移動時期であり、駆除対象とされる時期です。

ワタムシの本名

ワタムシとよばれている虫は雪虫ともいわれます。

北海道地方では雪の降る前頃によく飛んでいるからです。そんなワタムシの本名は、トドノネオワタムシ(prociphilus oriens)などです。

 

ワタムシはカメムシ目アブラムシ科の虫の一種です。

寄生先を時期により変えるのはアブラムシの仲間の特徴でもあり、他にもそういう虫は存在しますが、発生時期に目立つのはトドネオワタムシのようです。

 

トドノネオワタムシは北海道から本州、シベリアなど寒い地域にも生息しています。

成虫の最大の大きさは4mmほどとされます。ただ、北海道でよくみかける雪虫が4mmあるかというとそれよりは小さい気もします。

 

ワタムシたちの移動時期に自転車などに乗っていると、鼻や目、口に入ることもあります。

ワタムシ及び雪虫及びトドネオワタムシは毒をもつわけでもなく、人間には無害です。

大量に発生したり、ポプラの樹の綿毛が漂う時期と重なると、白いふわふわしたものがたくさん飛来する状況になります。

ワタムシの一年

ワタムシはアブラムシの一種なだけあり生態も似ています。ワタムシの卵はモクセイ科のヤチダモの樹の葉裏などに産卵され、最初に生まれるのは基母です。

4月から5月になるとワタムシの基母は産卵します。全てメスで単為生殖型です。この基母から生まれたメスたちは蛹になり成虫になります。

 

第2世代のワタムシたちは翅をもち、トドマツの樹に移動します。夏頃に第2世代が産卵します。

第3世代のワタムシです。この第3世代のワタムシたちにはワタがついた成虫です。夏頃に発生するワタムシたちは、翅とワタもつけた第三世代のワタムシです。

 

第3世代たちは再びヤチダモに飛んでいき産卵します。ここで生まれるのは緑色のオスです。

同時にメスも発生し有性生殖を行います。オスは何も食べず交尾が終わると死亡します。ワタムシはこの時に生まれた卵の状態で越冬します。

ワタムシのワタについて

翅をもつワタムシたちが体につけている、白いものはなんでしょうか。あれは炭化水素を糸状にしたロウのようなものだそうです。

ロウというとやはりアブラムシの一種なのだな、と思ってしまいます。しかしあのワタが何のためにあるのかはわかりません。

ワタムシの駆除

ワタムシが駆除対象になるのは、寄生先を変える初夏と晩秋です。外からワタムシが入らないようにするには、網戸をつけることです。

また、帰宅した際などに衣類にワタムシがくっついている場合もあります。そいう場合は生きていれば外に放しましょう。

 

庭やベランダにある植物にくっついている場合、手で払うなどしてとります。

ワタムシたちが寄生し栄養を吸うのはモクセイ科やトドマツなどの樹木ですから、それ以外の植物にくっついていたとしても特に害はありません。また、ワタムシに毒はありません。

ワタムシに関係すると思われる雑学

ワタムシの寄生先は主にモクセイ科のヤチダモとマツ科のトドマツです。

ヤチダモは全国的にみられる樹高が高い落葉樹ですが、アイヌ語でピンニ、と発音されるそうです。

 

ヤチダモは木目が揃い均質で頑丈なため、古くから橋や家具など多様で頑丈さが求められるものに利用されています。

また、バットなどにも加工されることがある実にオールマイティーな樹木のひとつです。

アイヌ語では雪をウパッと発音し、虫をキキリと発音します。雪虫はウパッキキリとよばれます。

 

トドマツはマツ科モミ属の針葉樹林です。分布は北海道、サハリン、千島列島などで北海道でみかける針葉樹としてポピュラーな樹木です。

アイヌ語ではフプのような発音になるようです。アイヌ語は文字をもちませんから表記は難しいです。

ワタムシについて

ワタムシの飛翔する様子は、翅が小さいこともあり飛ぶというより白いものが漂っている、といった感じです。

どこか幻想的でもあります。しかし一度、ワタムシは眼に入ってしまい慌てた事があります。

 

白目に入っていたので鏡を見ながら何となく取り出したら、また飛んでいきました。

翅の一部が欠損していたように見えたのですが、特に変わった様子もなく恐らくトドマツを目指しどこかへ行きました。

ワタムシには幼虫、成虫ともに害はありません。あまりに沢山の数のワタムシが出ると、クシャミが出たりします。

(ライター:おもち)