いつの間にか体についていることのあるマダニ。
一体どこから来るんだろうと思ったことはありませんか?
もしかしてマダニって飛ぶの?
マダニの特徴と生態
マダニはクモ鋼ダニ目マダニ亜目マダニ科に属するダニの総称です。
マダニ科は14属と702種から構成されています。
マダニは飛んでくる?
マダニはハーラー器官と呼ばれる感覚器を持っていて、これによって哺乳類から発せられる二酸化炭素の匂いや体温、体臭、物理的な振動などに反応して草の上から生物の上に飛び降りて吸血行為を行います。
ですから、羽があってどこからか飛来してくるわけではないのです。
跳ぶことはできますが、飛ぶことはできないというわけ。
マダニの寄生の様子
マダニの吸血は噛むことによって行われます。
マダニの口器はハサミのような形状をしていて、これによって皮膚を切り裂き、さらに口下片と呼ばれるギザギザの歯を差し入れて宿主と連結し、皮下に形成された血液プールから血液を摂取します。
この時、マダニは口下片から様々な生理的効果のある因子を含む唾液を宿主体内に分泌し、吸血を維持しています。
種類によってはセメントのような物質が唾液に含まれていて、噛んだ場所の連結をより強固なものにするものもいます。
この吸血方法はとても長く、メス成虫の場合は6~10日に達することもあり、その間に吸血する血液は約1mlに達することもあります。
マダニの生態の特徴
マダニは長期の活動停止期間を持ちます。
例えば、日本に広く分布しているフタトゲチマダニの幼虫は夏から秋にかけて活動が見られますが、次の発育段階になると春から夏に活動し、秋以降には活動が見られません。
また、成虫は夏に活動にピークがあり、秋以降はみられません。
つまり、各発育段階で秋から春にかけては活動が停止しているということ。
たっぷりと吸血したダニは脱皮を経て次の発育段階へ進みますが、この時に長期の休眠を行うのです。
そしてこの休眠国道は日長の変化によって支配されていると考えられています。
マダニ媒介性感染症
ぴょんと跳んできたマダニは小さくても以外に危険な生物。
吸血の際に様々な病原体を伝播させることで知られています。
いくつか例を挙げてみます。
- 日本紅斑熱 感染したときの賞状は痒みのない発疹や発熱などで、この時点で病院に行けば問題はありません。しかし、放っておくと最終的には高熱を発症します。
- Q熱 治療が遅れると死に至ることもある上に、一度でも重症化すると治っても予後は良くないと言われています。山登りした後などに皮膚に違和感を覚えたり、風邪のような症状を覚えたら、まずこの病気を疑って。
- ライム病 ノネズミやシカ、野鳥などを保菌動物としてマダニ科マダニ属のマダニに媒介されるスピロヘータ―の一種でボレリアの感染によって引き起こされる人獣共通感染症のひとつ。
- 回帰熱 ヒメダニ属、マダニ属に媒介されるスピロヘータ科の回帰熱ボレリアによって引き起こされる感染症です。発熱期と無熱期を数回繰り返すことこからこの名前が付けられました。
- ダニ媒介性脳炎 マダニ属のマダニが媒介するウィルス性感染症。脳炎による神経症状が特徴的です。東ヨーロッパやロシアで流行が見られ、日本においても過去に一例の国内感染例が報告され知恵ます。
- 重症熱性血小板減少症候群 2013年に初めて死亡例が報告された病気で1~2週間の潜伏期間を経て発熱や嘔吐、下痢などの症状が現れます。重症患者は血球貧食症候群を伴って出血傾向を呈す例が多いとされています。
これらの感染症を予防するためには出来るだけ草むらに入らないこと。
長袖長ズボンを着用して山では草に直接座らない、虫除けスプレーを使用する、帰宅後はすぐ着替えて入浴するなどに気を配る必要があります。
(ライター ナオ)