今年は日本でもニュースなどで大きく取り上げられたヒアリ。
毒アリとして危険を促されましたが、他にも危険な毒アリはいるのでしょうか?
毒アリの種類
世界に生息する多くのアリは強弱はあれど、皆毒を持っています。
日本には280種類以上のアリが生息していると言われていますが、人家周囲に見られるアリの多くは針を持たず、持っていても針が弱くて刺さない種類がほとんどです。
針を持たないアリとしてはヤマアリ亜科やカタアリ亜科のアリが挙げられ、熱帯では積極的に針で攻撃する種類も多く存在しています。
針を持たないアリ
ヤマアリ亜科とカタアリ亜科のアリは針を持ちませんが、毒液を出して敵や獲物の体表に付着させたり、飛ばしながら相手を攻撃します。
針を持つアリ
針を持つ種類のアリはハチのように針を使って毒液を注入し、ヤマアリ科に関しては毒液の主成分は蟻酸です。
シリアゲアリ属のアリは別の種類の刺激性物質が主成分で、針で刺して攻撃するアリの毒は多くのハチと同じくタンパク質やぺプチドなどの生理物質の混合物です。
熱帯性の大型種の毒は刺したときにスズメバチのような激しい症状を引き起こすものもいて、日本でも暖地の人家周辺に多く生息しているハリアリ亜科のオオハリアリや寒冷地の草木の上で活動しているフタフシアリ亜科のクシケアリ類がかなり強力な毒針を持っています。
また、人家内に生息するフタフシアリ亜科のイエヒメアリも微細ですが積極的に針で人体を指すので不快感があります。
世界の恐ろしい毒アリ
熱帯地域には特に恐ろしい毒アリがいることは先述しましたが、ニカラグアからパラグアイまでの熱帯雨林地帯にいるパラポネラは刺された時にはハチ以上の痛みを感じることで有名です。
体長は2.5㎝で木の中に棲んでいます。
人などが知らずに近づいたりすると金切り声をあげて襲い掛かり、針で刺します。
その激痛と言ったらこの上なく、焼けるような痛みや震えるような痛み、すべての痛みが同時にやってきて、しかもその痛みは24時間続きます。
現地ではこのアリに意図的に噛ませ、それを乗り切ることが大人への第一歩としているところもあるようです。
話題のヒアリの生態
ヒアリは別名アカヒアリとも言われ、南米大陸の八目アリ科フタフシアリ亜科に分類されるアリの一種です。
体色は赤褐色で働きアリは色々な大きさの個体が存在します。
アメリカ、中国、オーストラリアなどの太平洋周辺の国々に移入分布しています。
日本では2017年に入ってから6都道府県で8回ほど発見されていて、既に2件は上陸した状態で版権されています。
餌の収集は気温22~36℃間に行われ、季節により昼夜を選びます。
働きアリは情報化学物質とフェロモンによって防衛、舵取り、召集などのコミュニケーションをおこない、社会的な生活を送っています。
棲んでいる場所に水が浸入し、水位が高くなると筏を作ったり、死んだ仲間の死骸を外に出し、感染症を防いだりする行動も見られ、かなり知能的な生活をしていると考えられています。
食性は雑食で、花蜜、樹液、種子から昆虫や小型の脊椎動物まで何でも食べることが出来ますが、あくまで捕食するわけではなく、腐った肉を食べるという程度。
しかも、基本的には固形食糧よりも花蜜やアブラムシから出る甘露の方を好みます。
温かい時期に女王アリと雄アリが空中で交尾をする結婚飛行と呼ばれる行動があり、新しい巣が形成されていきます。
ヒアリの毒
ヒアリは獲物を捕獲するためや、防衛のための毒を持っていますが、その成分の95%はスピペリジンアルカロイドと呼ばれる物質。
アメリカでは毎年1400万人以上の人が刺されていて、その多くでアレルギー反応が起きていると言われています。
めまいや頭痛、激しい胸痛、吐き気、重度の発汗などが起こり、放っておく死に至る可能性もあると言われ、アメリカでは毎年90~100人が死亡していることが発表されています。
(ライター ナオ)