アルマジロとセンザンコウ、皆さんは区別がついていますか?
2つとも全身が鱗の生き物。
今回はセンザンコウについてのお話しです。
センザンコウの特徴
センザンコウはセンザンコウ目センザンコウ科に属する哺乳類の総称。
体毛が変化したマツボックリ状の角質の鱗に覆われていて、アルマジロによく似ていますが、アルマジロと違うのはアルマジロの鱗が装甲としての役割しか持っていないに対し、センザンコウの鱗は縁が刃物のように鋭く、体に比べて長い尻尾を振り回すことで攻撃にも利用することができるということ。
体長は30~100㎝くらいで、種類によって大きさは異なりますがオスの方がメスよりも4割くらい大きいのが一般的です。
舌が非常に長く、40㎝にもなる舌を持っています。
インドから中国、東南アジアやアフリカ中南部に広く生息しています。
センザンコウの種類
センザンコウは8種類に分類することが出来ます。
センザンコウ属のインドセンザンコウはインドに生息する体長1mほどのもので、ミミセンザンコウは中国南部、ベトナム、ミャンマー北部などに生息する体長80~110㎝程のもの、またフィリピンセンザンコウはフィリピンやパラワン島に生息し、マレーセンザンコウはタイやインドネシアに生息しています。
他にもアフリカ中部に生息するオオセンザンコウは体長が1mを越え、サバンナセンザンコウはアフリカ南東部に生息しています。
キノボリセンザンコウはアフリカ中部に生息し、オナガセンザンコウはアフリカ中部に生息する体長30~40㎝程で尻尾が60~70㎝もある種類です。
センザンコウの生態
センザンコウの食性はアリやシロアリで他にも昆虫の幼虫を食べることがあります。
最大で200gほどの昆虫を一日に消費し、アリにすると約10万匹を食べている計算になります。
視力があまり発達しておらず、臭覚や聴覚を頼りに獲物を捕獲しています。
種類によっては死んだふりをして、鱗を開き、そこに集まってきたアリや昆虫を鱗を閉じることによって狩るものもいるようです。
センザンコウの繁殖は1年に1度、夏から秋にかけてです。
オスは尿や排せつ物でマーキングして、それをメスが見つけて出会いますが、オス同士がメスをめぐって争うことも少なくなく、その時には尻尾を武器にして戦います。
妊娠期間は70~140日ほど。
一度の出産で1~3匹の子供を産み、生まれたての赤ちゃんの体長は15㎝程です。
生後2年程で性成熟を迎えるまでは親元にいて、その後独立していきます。
センザンコウの利用
センザンコウは中国で漢方薬や媚薬の材料として、またインドでは鱗がリウマチに効くお守りとして用いられています。
中国やアフリカではセンザンコウの肉を食用にし、鱗を魔除けしとして用いることもあります。
ベトナムではジャライ族が民族楽器クニーの素材として用いられたり、革が皮革製品の材料に使われることもありますが、ほとんど流通していない希少品として価値をつけられています。
センザンコウの取引と飼育
センザンコウは多くの種類が絶滅に瀕していて、最近最も多く取引記されているアフリカセンザンコウも例にもれず、その数の急激な現象が懸念されていました。
2016年に南アフリカヨハネスブルクで開催されたCITES締約国会議ではセンザンコウの取引禁止を圧倒的な多数の賛成で決定したと報道されました。
8種類すべてのセンザンコウの国際取引が全面的に禁止されたのです。
ペットショップでセンザンコウを購入することはできませんし、ペットとして飼うことはできませんし、万が一この先、可能性があったとしてもセンザンコウの鱗の裏面はダニなどの生息場所になっており、室内で飼うのは難しいのだそう。
ちなみに日本の動物園では上野動物園や名古屋の東山動物園でミミセンザンコウが飼育されています。
(ライター ナオ)