夏の風物詩でもあるホタル。
日本には40種類ものホタルが生息していると言われています。
その中の代表的なホタルがゲンジボタルとヘイケボタル。
両者の違いについてまとめてみました。
ホタルの特徴と生態
蛍はコウチュウ目ホタル科に分類される昆虫の総称です。
私たちは蛍というと、ついついゲンジボタルを思い浮かべることが多いのですが、実は蛍は熱帯から温帯の多雨地域に分布し、世界には2000種ほどが生息しているとされていて、日本でも本土より南西諸島で多くみられるというのが実際のところ。
日本では夏の風物詩として一般的な存在ですが、世界に目を向けると、夏だけに発生するというわけでもないようです。
また、「綺麗な水のあるとろ」にいるというイメージの蛍も、実は陸地の湿地で過ごす陸生の蛍もいたりして・・・日本人が蛍に対して持っているイメージは日本の蛍だけに当てはまるようです。
ゲンジボタルの特徴と生態
ゲンジボタルは本州、四国、九州の河川に分布しています。
ゲンジボタルの成虫の体長は15㎜前後ですがメスの方が若干大き目、日本産の蛍の中では大型の種類になります。
体色は黒色で前胸部の左右がピンク色になっていて、中央に十字架の形の黒い模様があります。
尾部には淡い黄緑色の発光器官があり、オスの方が発光する部分が広いこともわかっています。
6~7月にかけて発生し、飛び方は曲線的です。
発光は1分間に25~30回程点滅します。
夜行性で発行によって他の個体と通信をし、出会ったオスとメスは交尾を行います。
交尾を終えたメスは川岸の木や石に生えた苔の中に産卵します。
一度の産卵数は500~100個。
卵ははじめ黄白色ですが、だんだんと黒ずんできて、卵の中で発生が進むと幼虫は卵の中で発光を始めます。
幼虫は芋虫のような形をしており、羽化するとすぐに川の中に入り、渓流の緩い場所でカワニナを捕食しながら成長します。
捕食は噛みついて消化液を分泌し、肉を溶かしながら食べるという方法。
越冬し、翌年の春になる頃には2~3㎝ほどの大きさまで成長し、川岸の柔らかい土の中に潜って、周囲の泥を固めて繭を作り、蛹になります。
成虫になってからは水分のみを摂取し、栄養は幼虫時代に摂ったもので補います。
ヘイケボタルの特徴と生態
ヘイケボタルは日本全土と中国東北部、シベリア東部の水田や池、湿原に生息しています。
体長はゲンジボタルよりも小さく、10㎜前後。メスの方がやや大き目で、背中には縦一線の模様が入ります。
季節はゲンジボタルよりもやや遅れて発生し、飛び方も直線的です。
発光はゲンジボタルよりも間隔が短く、1分間で30~40回です。
産卵数はゲンジボタルよりもはるかに少ない50~100個ほどです。
卵はゲンジボタルよりも若干大き目、20日ほどで孵化した後、4回の脱皮を繰り返し成虫になります。
エサはタニシやモノアラガイで、汚染に対して耐性がある点もゲンジボタルと違います。
西と東でも違うボタルの発光
ホタルの発光は西日本と東日本で違いがあると言われています。
西日本の方が発光のテンポがはやいのだそうで、その境目はフォッサマグナ西縁地帯が境になっているのだそう。
このことに関する詳しいことはまだわかっていないのだとか。
ゲンジボタルとヘイケボタルの違いのまとめ
ゲンジボタルは本州・四国・九州の綺麗な河川に分布。ヘイケボタルは日本全土の水田や池、湿原に分布する。
ゲンジボタルの体長は15~20㎜、ヘイケボタルは10㎜前後。どちらもメスの方が大きい。
ゲンジボタルの模様は背に十文字、ヘイケボタルの模様は背に縦一線がはいる。
ゲンジボタルの幼虫はカワニナを食べ、ヘイケボタルの幼虫はタニシやモノアラガイを食べる。
ゲンジボタルの跳び方は曲線的で、ヘイケボタルの飛び方は直線的。
発光はゲンジボタルが1分間に25~30回なのに対し、ヘイケボタルは30~40回。
(ライター ナオ)