ヒイラギ(柊)は、モクセイ科・モクセイ属の常緑小高木です。
ここではヒイラギの剪定について紹介しています。
ヒイラギの生態
ヒイラギの樹高は4~8メートルです。
葉は対生して、革質で光沢があり、そのかたちは楕円形から卵状長楕円形をしています。
葉の縁には、先が鋭い刺となった鋭鋸歯があります。
また、老樹になると葉の刺は次第に少なくなり、縁は丸くなります。なんだか人間みたいですねと一瞬思ったのですが、よく考えると人間は年をとると丸くなるどころか、頑固になってますます攻撃的になる人もいますので、そうとは限りませんでした。
と、それはさておき。
ヒイラギの種小名は、「異なる葉」の意味をもっています。それは老樹になると葉が丸くなって、まるで別の葉のようになる性質に由来します。
なお、ヒイラギの花期は11~12月で、葉腋に白色の小花を密生させます。
雌雄異株で、雄株の花は2本の雄しべが発達しています。
雌株の花は花柱が長く発達して結実します。
ヒイラギの花は、同じモクセイ属のキンモクセイに似た芳香を放ちます。
ヒイラギの実は、長さ12~15ミリになる核果で、翌年の6~7月に暗紫色に熟します。
その実が鳥に食べられることで、フンとなり散布されます。
ヒイラギの剪定とその季節
ヒイラギは、放っておいてもある程度は自然に樹形がまとまります。
自然樹形のまま育てる場合は、樹形の輪郭からはみ出た枝を切り戻すくらいで充分です。
剪定の適期は、いったん枝の生長が止まる6月下旬~7月です。
夏が過ぎる頃に夏芽が伸びて樹形を乱すので、樹形の輪郭よりも少し深い位置で枝を切り戻しておきましょう。
なお、ヒイラギは芽吹きがよいので、生垣にしたり、庭木にしたりと、目的や用途に応じていろいろなかたちに仕立てることができます。
ちなみにクリスマスツリーで有名なヒイラギの木は、厳密には「セイヨウヒイラギ」のことで、「ヒイラギ」とはいっても、モチノキ科に分類される別の種です。
さて、ヒイラギの剪定ですが、6月下旬~7月に刈りこみます。
夏芽の生長が止まる10月頃に、もう一度全体を軽く整える程度に刈りこみます。
ヒイラギは、太い枝を切っても芽が出やすいので、全体の樹形が乱れた場合は太い枝を切り詰めてもよいでしょう。
生垣仕立てにする場合は、刈り込みをさぼると下のほうの枝が枯れて非常に見苦しくなります。刈り込んで枝葉をしっかりと出させて姿を保ちます。
ヒイラギのその他雑学 その1
ヒイラギの和名は、葉の縁の刺にさわるとヒリヒリと痛むことから、「ヒリヒリと痛む」を表す古語動詞「疼(ひひら)く・疼(ひいら)ぐ」の連用形、「疼(ひひら)き・疼(ひいら)ぎ」がその由来です。
ヒイラギのその他雑学 その2
ヒイラギは、低木で常緑広葉樹であるため、盆栽などに利用されることが多いです。
ヒイラギの殖やしかたは、実生または挿し木です。
葉に棘があるため、防犯目的で生け垣に利用することも多いです。
ヒイラギの幹は堅く、なおかつしなやかであることから、衝撃などに対して強靱な耐久性を持っています。
このため、玄翁と呼ばれる重さ3キロにも達する大金槌の柄にも使用されています。
ヒイラギは、ほかにも細工物、器具、印材などに利用されています。
ヒイラギのその他雑学 その3
ヒイラギは、古くから邪鬼の侵入を防ぐと信じられて、庭木に使われてきました。
家の庭には表鬼門(北東)にヒイラギ、裏鬼門(南西)にナンテンの木を植えると良いとされています。
これは鬼門除けといわれる行為です。
また、節分の夜、ヒイラギの枝と大豆の枝にイワシの頭を門戸に飾ると悪鬼を払うといわれています。これは柊鰯といいます。
ちなみに「柊の花」は、初冬(立冬から大雪の前日)の季語とされています。
ヒイラギのまとめ
以上、ヒイラギについていかがでしたか?
筆者は実はクリスマスツリーのことを、このヒイラギだとずっと勘違いしていました。
ここで紹介したヒイラギは、実が赤くなりません(黒紫です)。
間違って育てると、子供たちもガッカリのクリスマスになってしまいますので、木を購入されるときは気をつけてくださいね。
(ライター ジュン)