菊といえば、お盆やお彼岸には無くてはならない花。

日本人にはとても馴じみの深い花でもあります。

そんな菊の花について、ちょっと詳しくみていきます。

菊の特徴

菊はキク科キク属に分類される植物で、一般的にはイエギクや栽培ギクをいいます。

日本で観賞用に多年草植物として発展したものを和菊、西ヨーロッパで育種されてうまれた品種群を洋菊と呼びます。

菊の栽培方法

和菊は大菊、中菊、小菊に分類され、大菊は花の大きさが10㎝ほど、小菊は花の大きさが1~3㎝ほどです。

スプレー菊のように上部で数多くの花を咲かせるものもあります。

 

いずれの栽培方法もある程度共通していて、陽当たりが良く、水はけ、風通しの良い場所に植えることが必要です。

日照が大切で地植えの場合は、1日最低でも2~3時間、できれば半日ほどは得られる場所を選びます。

 

菊類は酸性土壌での生育が適切なので、コンクリートのそばなどアルカリ性の強い場所はなるべく避け、やむをえない場合は赤玉土、鹿沼土などで酸性に保つようにします。

これに腐葉土や牛糞堆肥などを加えれば完璧な土が完成しますが、市販で菊用の培養土なども販売しています。

苗の間隔は15~20㎝で、6~7月中旬ころまでに植えつければ、秋に大きな花を咲かせます。

 

水が多いと根腐れをおこしてしまうので、鉢植えは土の表面が完全に乾いてから、水やりをします。

生育期の夏は朝夕1日2回、休眠期に入る冬には週に1回ほどの水やりが目安になります。

 

8月末まではやや乾燥気味に、9月に入ったらたっぷりとかけるようにし、花が7分咲きになった頃には水を控えていくのがポイントです。

花つきをよくするためには、リン酸成分の多い肥料をあげます。

 

リン酸系の肥料は花のつきだけでなく、生長していく過程でも必要になってきますので、9月上旬までには15~20日に1回、同じ乾燥肥料を定期的に与えるようにします。

たくさんの花を咲かせたい時には摘心をし、逆に一本に1~2個の花をつけた、切り花用の花にしたい場合は敵蕾をします。

 

摘心は、本葉が6~8枚になったタイミングで行い、わき目が沢山生えるようにしていきます。

枝に葉が5~6枚ついたら芽先を摘み取る作業を繰り返して行います。

 

花の数や枝ぶりを調節しながらイメージ通りの形に仕立てていくと良いでしょう。

同じ場所で毎年栽培することは病害虫の原因になります。

 

菊科は害虫がつきにくい植物なので、それほど神経質になる必要はないものの、アブラムシやダニ、ネキリムシなどがつくことがあります。

これらの虫は薬剤の散布で防ぐことが出来ますので、系統の異なる殺虫剤や殺ダニ剤をローテーションで使うようにすると、薬剤への耐性ができずに長く使えます。

 

10日に1回程度は散布しておくと良いでしょう。

病害虫を防ぐためには毎年の植え替えが必要で、1年ごとに挿し木で株を増やしながら、別の場所に植え替えていきます。

5月の上旬ころには茎を5~10㎝ほど切り、切り口を2時間ほど水に浸したら、先端の葉を3~4枚残して土にさし、根が生えて茎の長さが15㎝ほどに生長したら鉢や地面に植え替えていきます。

日本人と菊

日本では菊は古くから薬草や観賞用の植物として利用されてきました。

平安時代には宮中で菊の節句とも呼ばれる日があり、それは現在でも皇室園遊会という形で行われています。

日本でここまで菊の栽培が盛んになり、日本を代表する花として定着したのは、一年のサイクルがイネに似ているからではないかと考えられています。

日本に自生している菊は350種ほどで、栽培が本格的に始まったのは江戸時代頃と言われています。

 

東北地方では食用菊の栽培も盛んで、特に山形県、青森県八戸市などで栽培され、それらは刺身のつまとして見かけます。

花びらのみが食用となり、おひたしや酢の物、胡麻和え、てんぷらや吸い物などに用いられます。

 

日本を代表する花、菊。

ぜひ、あなたも菊の栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

(ライター ナオ)