葛の特徴
葛はマメ科クズ属のつる性の多年草です。
日本では根を用いて食材の葛粉や漢方薬などが作られ、万葉の昔から秋の七草のひとつに数えられてきました。
和名は奈良県の吉野川の上流を国栖と呼んでいたことに由来します。
葛のツルは10m以上にも伸び、褐色の細かい毛がツルの全体を覆います。
根元は木質化し、地下で肥大し、長いも状の塊根は1.5~20㎝ほどまで大きくなります。
三出葉で葉の裏面は白い毛で覆われているので、裏返すと全体が白っぽく見えます。
花は8~9月に開花し、濃紺紫色の小さな花をつけ、甘い芳香を発します。
種類によっては白い花をつけるものもあります。
樹齢30年にもなると、人の太ももや人の胴体ほどの太さにまで成長するのだとか。
葛の栽培
吉野葛として有名な葛粉。
葛粉を用いて作られる葛もちやくずきりは夏の暑い日に冷やしていただく美味しいスイーツです。
葛粉の原料となる葛が栽培されているのは鹿児島県。最も葛の生産が盛んな県です。
吉野葛の葛は鹿児島県の葛を吉野の川でさらしたものなのだそう。
葛の利用
葛のツルは昔から籠の原料や繊維を編んで布にして利用していました。
葛籠はもともとツヅラクズという植物のツルを編んで作っていたことから名づけられているとおり、葛のツルを織り上げて作られた籠のことを言いました。
後に竹などを間に使い、頑丈に工夫した籠になっていくのですが、昔は葛のツルだけで編まれていた時代もあったようです。
静岡県の掛川は葛の布が名産品になっています。
掛川の葛布の歴史は鎌倉時代までさかのぼるのだとか。
経糸に絹を使い、横糸を葛で織り上げられていて、普段使いというよりは、高級品として出回っています。
葛布の特徴は何と言っても渋みのある光沢と落ち着きのある上品さ、そして何より剛直であるということ。
葛は根だけでなく、ツルも昔から色々な利用がされていたのです。
青森県では「根餅」といわれるお餅が昔から食べられており、葛の根にでんぷんを混ぜて蒸かしたものを醤油などにつけたもののことを言うそうです。
これは、度々青森を襲った飢饉を逃れるための貴重な食料にもなっていたのだとか。
葛の効能
花や根を乾燥させたものは生薬として重宝されています。
また、近年では葛の花の持つイソフラボンに注目したダイエット食品なども市販されています。
葛の主な効能としては、浄化作用や胃腸をはじめ、内臓の強化につながるということ。
葛湯やクズ練りで半断食をする断食方法もあります。葛でエネルギーを補給しながら、排出力をサポートしてくれるのです。
また、葛に含まれているイソフラボンは体の代謝を上げ、身体を温める効果もあります。
代謝をあげるということはダイエットはもちろん、様々な良い効果を体にもたらしてくれるということでもあります。
以下、葛の効能を列挙します
- 発汗作用
- 止渇作用
- 鎮痛作用
- 解熱作用
- 血糖上昇作用
- 発散作用
- 透疹作用
- 筋弛緩作用
本物の葛粉を使おう!
葛粉で安価に出回っているものの中には、葛粉100%のものだけではなく、ジャガイモやサツマイモのデンプンが含まれているものが混ざっているものもあります。
本葛と言われ、本当に100%葛の根から採取できる葛粉はとても貴重なもので、それなりに値段もするものです。
ジャガイモやサツマイモ、コーンスターチ等のデンプンが含まれたものでは、葛の効果は表れませんので、注意して買う必要があります。
ちなみに実際に葛の根100kgから摂れる葛粉は7kgほど。
本葛の値段はどんなに安くても500円/100g はするものです。
ちなみに、奈良県の地域から名前がついた葛ですが、現在の生産量が最も多いのは鹿児島県なのだそうです。
他にも宮城県の白石葛や静岡県の掛川葛、三重県の伊豆葛、福井県の若狭葛、福岡県の秋月葛などが有名です。
(ライター ナオ)