エジプトの最後の女王クレオパトラ7世は、ローマ帝国のアントニウスを迎える際にバラを敷き詰めたといわれます。

女性のみならず男性も虜にするバラ。旬の季節はいつなのでしょうか。

バラの種類や歴史について

薔薇は北半球に自生しているバラ科バラ属の低木樹です。

園芸種として登録されているだけでも品種は4万種以上はあるようです。

バラが歴史上にはっきり登場したのは紀元前484年頃、古代ローマの歴史家ヘロドトスの著書の中に出てくる記述だそうで、ロサ・ケンフォーリアとロサ・ダマスケナだそうです。

ケンフォーリア種は花弁がフリルのように多いのが特徴で、いかにもバラらしい優雅な香りの花です。

 

かつてユーラシア大陸に自生していたバラは、春に一度だけ咲く花でした。

バラの原種は遡れば10種ほどだそうです。

 

当時はバラの若芽や実を食用としたりしていたと考えられています。

その中でも後の園芸種の発展に貢献したのが、中国に自生していたといわれる庚申バラだそうです。

特徴として四季咲き性があったようで、今の年間を通して咲くいわゆる四季咲きといわれるバラの元にもなっています。

 

原種が自然に交雑したものも多く存在し、約150種だそうです。東北地方などに自生しているハマナスは、ハイブリッド・ルゴサともいわれる自然交雑タイプのバラです。

耐寒性があり、病害虫に強い事も特長のひとつです。

 

1867年にフランスでハイブリットティローズの「ラ・フランス」が誕生し、バラが一年中見られるようになりました。

ハイブリットティーローズとは大きな花を咲かせる四季咲きのバラの事です。

 

それ以前のバラを主にオールドローズ、以降をモダンローズと呼ぶようです。

バラにも紀元前と紀元後があったようですね。

バラの生育について

バラの生育方法は、樹の形によって違うようです。

木立バラ、半ツル性、シュラブ(ツル)樹形といわれます。

四季咲き、あるいは返り咲きといわれているのは、春に咲き、秋にも開花するバラの事です。

種によって様々ですが、一般にバラは枝が伸びるほど開花は1年に1回か不定期になる傾向にあるようです。

 

その為、秋にも開花させるには夏頃の選定が大切であるようです。

秋にも咲くかどうかは、栽培家の腕次第だそうです。

 

バラの開花には温度も重要です。

ごく普通のバラは、何もしなければ日本の気温だと冬には葉を落とします。

 

しかし、夜の気温を15度くらいに保つ事で四季咲きも可能になるようでもあります。

ツルバラでよく見かけるのはモッコウバラですね。

ツル性のバラは多くは年に一度の開花ですが、それもまた綺麗です。

 

バラの香り

初夏に咲くバラの香りは濃厚で花の香りはこんなに強いものだったか、と思う事もあります。

バラは園芸種としても、香水としても世界中に広がりました。

 

香水の老舗にJean Patouがありますね。JOYという香水にはバラとジャスミンが贅沢に使用されています。

どちらも香りの王様のようなイメージですが、決してくどくはありません。

 

今いい香りがしたけど、どんな香りだったかな?と思わず足跡を追いたくなるような魅力があります。

人間の嗅覚は記憶と結びついているともいわれます。

香りは目に見えないために、かえって記憶に残りやすいのかも知れません。

薔薇と文人

薔薇好きで知られる中井英夫は、日本三大奇書のひとつ『虚無への供物』の作者でもあります。

『虚無への供物』文庫版の新装版には、装丁に森山大道撮影の薔薇の写真が使用されており、本人もさぞかし喜んでいることでしょう。

 

私も少し喜びました。

90年代にドラマ化された『虚無への供物』は面白かった記憶があります。

原作との相違点はあるもののあまり気にならず、こういうドラマがテレビで見られるのは凄いな、と当時思いました。

 

中井英夫は生まれが戦前の人です。

終戦前後には病気の為昏睡しており目覚めたら終戦という状況になっていた、という特異な人でもあります。

 

そのようなわけで、耽美、幻想の印象が強い彼の著作の中には戦争の色が濃く出ているものも意外にあります。

特に『とらんぷ譚』シリーズです。

小説としても読みやすく秋の夜長におすすめです。

バラの旬について

バラの開花時期は春と秋のようです。

そして栽培には多くのの気配りとたゆまぬ努力、溢れんばかりの熱意と沢山の肥料を要するようです。

バラの旬はいつかというと、やはり春から初夏にかけてかな、という気がしますね。

(ライター:おもち)