今年はヒアリの報道がよく聞かれた年でしたが、過去にはアルゼンチンアリという驚異的なアリが問題になっていた時もあるんです!
アルゼンチンアリの生態と天敵についてのお話です。
アルゼンチンアリの特徴
アルゼンチンアリはハチ目アリ科カタアリ亜科アルゼンチンアリ属に分類される蟻の一種。
果実を食害し、人間を含む他の生物の巣に侵入してきてその住人を襲ったり、時には絶滅に追いやるほどの脅威を持ったアリ。
南アメリカやが原産地ですが、現在はアメリカ合衆国内のフロリダ半島、カリフォルニア州、ニュージーランド、ハワイ、ヨーロッパ、南アフリカなどでも生息が確認されています。
アジアではしばらく記録がなかったものの1993年に日本の広島県廿日市市で採集され、その周辺の地域でも定着が確認されました。
働きアリの体長は2.5㎜ほど、女王アリは2~4倍程度の大きさがあると言われています。
体色は遠目では黒色だが、近づいてよく見てみると茶褐色をしていて、脚と触覚が長く、それらを振り回し、せわしなく動き回ります。
攻撃性が強く、他種のアリの巣を襲い、巣の幼虫や成虫を全て丸ごとエサにしてしまいます。
また、アリだけでなく、蜂の巣や鳥の巣までも襲い、ヒナを殺すこともあるほど。
家畜や人間も襲い、大あごで噛みついてきます。
毒針は持っていないので、刺すことはありませんし、蟻酸を含んだ毒液で攻撃することもないので、噛まれても腫れるなどの症状は起こりません。
女王アリは一つの巣に複数存在しています。
その割合は働きアリ1,000匹に対して8匹程度で、同じ種で大きなコロニーをつくる習性がある為、大きな巣になると1,000,000匹い以上の働きアリと1,000匹以上の女王アリのコロニーになることもあります。
日本のアリの4倍ほどのスピードで行動し、気温の一定な市街地を特に好みます。
南米という熱い地域の原産でありながら、その適応温度は幅広く5~34℃と言われ、どの地域でも繁殖してきた理由がわかります。
アルゼンチンアリの生態
アルゼンチンアリの女王アリは一日に60個の卵を産みますが、20℃以下では産卵をしません。
女王アリと雄アリは巣の中で交尾をします。
約2か月で成虫の働きアリとなり、働きアリの寿命は1年ほど。
日本への侵入
日本へアルゼンチンアリが侵入したのは物資の移動に伴うものと考えられています。
広島県廿日市市には輸入木材の受け入れ港があり、その周辺から広がっていったことが確認されていて、輸入木材の中に巣を作っていた一群が分かれて上陸した可能性が高いと言われています。
アルゼンチンアリの駆除
アルゼンチンアリは不快害虫としての側面だけでなく、農作物の被害も報告されていて問題になっています。
しかし、彼らを根絶するのはたやすいことではなく、専門家ですら不可能と言い切っているほど。
毒餌や殺虫剤を用いた駆除方法が行われているが、あまり効果は上がっていないよう。
現在の方法は、アルゼンチンありのフェロモンを使う方法で、フェロモンに似た合成物質がすでに開発されており、この合成物質でアリをだますことによって、違うコロニーに侵入させて他のアリに殺させようという作戦。
これが上手くいけば、効果的な駆除が出来ると期待されています。
アルゼンチンアリの天敵
日本においてアルゼンチンアリの天敵はほとんどいないと言っていいかもしれません。
これは驚くことに原産地においても同じことがいえるのだとか!!
アリを好んで主食にする鳥やトカゲさえも、このアリを好んでは食べないようです。
アルゼンチンアリの生態と天敵
アルゼンチンアリはハチ目アリ科カタアリ亜科アルゼンチンアリ属に分類される蟻の一種。
攻撃性が強く、他種のアリの巣を襲い、巣の幼虫や成虫を全て丸ごとエサにする。
アルゼンチンアリの天敵は原産地にも日本にもいない。
(ライター ナオ)