スズメバチは最強最悪の昆虫!?

スズメバチは、言わずと知れたハチの中でも最強最悪の習性を持ち、唸りを上げて集団で追いかけてきて、その毒針で容赦なく敵をブスブス刺す恐ろしい昆虫です。

一般にスズメバチといった場合、ハチ目(膜翅目)スズメバチ科スズメバチ亜科に属する種を総称していうのですが、特にオオスズメバチを単独の代表種として扱ってそう呼んだり、オオスズメバチとキイロスズメバチの主要2種を合わせて、我々日本人にとって、もっとも危険なハチの代表種として呼ぶこともあります。

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スズメバチは全世界にいる!

ハチ目(膜翅目)スズメバチ科の昆虫は、スズメバチ亜科とアシナガバチ亜科に分けられます。

スズメバチ亜科には4属67種がいますが、日本にはスズメバチ属、クロスズメバチ属、ホオナガスズメバチ属の3属16種(24亜種)が生息しています。

スズメバチは、現在ではほぼ全世界に広く分布していますが、元々オーストラリア大陸と南米大陸にはいませんでした。

それがヒトの手により侵入して繁殖してしまったようです。

スズメのようなハチ!?

スズメバチという名の由来には諸説ありますが、「スズメほどもある巨大なハチ」(実際にそのような大きさではありません)から名付けられたという説が有力です。

その他に、巣の模様がスズメの体色によく似ていることからという説や、眼が鈴のように大きい「鈴目」説などもあるようです。

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ちなみに中国では「胡蜂」で、「胡」は中国から見た北方、西方にある外国を指します。

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スズメバチの基本習性を知ろう!

スズメバチ亜科の属するスズメバチ類は、ハチの中でも大型の種が多く、おおむね高い攻撃性を持っています。

基本的な習性として、1匹の女王バチを中心とした社会(巣)を形成します。

そのなかで個体の行動は巣と社会(群れ)に完全に依存しており、それを防衛することと、幼虫の育成に貢献することを中心に生活しており、働きバチはいかに獰猛であろうとも、けっして社会(巣)を離れて単独で生きていくことはできないのです。

スズメバチのヒトへの攻撃性は、あくまでも防衛のため!

巣の防衛のためには、自分よりも大型の動物に対してさえ、単独でもひるまずに攻撃を仕掛け、とても好戦的でかつ凶暴です。

ただしいつでもどこでも、何に対しても攻撃を仕掛けるわけではありません。

あくまでも巣と自分たちの権益(エサ場)を守ることだけに対して攻撃的になるので、巣から離れた場所や、エサ場以外で出くわしても、こちらから攻撃を仕掛けなければ、素通りしていくだけです。

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スズメバチの巨大な巣

スズメバチは、カリバチから進化したと考えられていますが、ミツバチとともに最も社会性を発達させた昆虫(ハチ類)だともいえます。

海外の特に熱帯地方のスズメバチでは、冬期に働きバチが死滅するということがないので、一年を通じて活動が継続します。

女王バチが生きている限り巣は存続しますので、巣は経年的に拡大をしていき、ときには数十万もの育房(育室)と数百万匹以上の働きバチが存在する巨大なものになることもあります。

 

スズメバチの社会はメスが仕切っている!

働きバチはすべてメスで、基本的には一匹の女王バチが産んだ姉妹バチになります。

ただし熱帯地方の巨大なスズメバチの巣では、女王バチが複数存在することがあります。

巣にはオスバチも存在しますが、アシナガバチと異なり一切働かない存在です。

働きバチはメスですので生殖能力がないわけではありませんが、女王バチが存在する場合には、それが出すフェロモンによってその能力を抑えられていると考えられています。

女王バチが死亡した場合には、働きバチが産卵することがありますが、無性生殖のため生れてくるのはすべてオスバチですから、巣の維持にはまったく役に立ちません。

結局女王バチを失った巣は、廃絶への道を辿ることになってしまうのです。

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スズメバチは、狩りはすれども、捕食者ではない!!

スズメバチは、カマキリやオニヤンマなどと同等あるいはそれ以上の攻撃性を示して狩りをおこないます。

強力な毒針と巨大な大アゴを持ちそれを頻繁かつ有効に使うことから、成虫そのものが凶暴なプレデタ―(捕食者)であり、捕らえた獲物を頭からバリバリ食いつくす獰猛な肉食性の昆虫だと思われがちです。

ところがその食性は、まったく違うのです!!

スズメバチは幼虫から食餌をもらっている!

スズメバチの成虫のエサは、その幼虫(おもに終齢)の唾液腺から分泌される栄養液です。

花の蜜や樹液に集まり、それを摂取する場合もありますが、主な栄養源は幼虫から口移しにいただくのです。

この栄養液には、成虫のエネルギー源となる糖分や水溶性のタンパク質(アミノ酸)が大量に含まれており、ヒトの母乳の組成に近いものでもあり、イメージとしては、マラソンランナーが競技中に補給する高カロリーのスペシャルドリンクのようなものです。

これを摂取することで、1日に最大で100キロもの移動を可能とし、朝から晩まで休むことなく働き続ける過酷な活動を支えているのです。

某メーカーのスポーツドリンクは、この栄養液の成分に着目して、それを解析して開発されたものです。

スズメバチの幼虫は完全な肉食!!

スズメバチの成虫は、幼虫の世話をし、エサを与える代償として、この栄養液を幼虫から口移しで受け取ります。

これに対し、スズメバチの幼虫は完全な肉食です。ただし自分で巣内を移動したり、狩りをする能力は一切ありませんので、成虫が与えるエサを好き嫌いなく何でも食べているだけと言ってもよいでしょう。

成虫は捕獲した昆虫や小動物をその大アゴでかみ砕いて、肉団子を作ります。

これは幼虫が食べやすく加工してあげるという意味と、大きな獲物の場合は一度に運びきれないので、持ち運びしやすく小分けにするという意味もあります。

また花の蜜や、動物の体液などの液状の食料は、素嚢(そのう)と呼ばれる、消化管の一部が袋状になった部分にため込みます。

リスの「ほお袋」のようなものです。

そのまま巣に持ち帰り、幼虫に直接口移しで液状のエサを与えることもあるのです。

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スズメバチは相互依存の関係

このように、スズメバチの社会(アシナガバチも同様)では、幼虫は働きバチ(成虫)がいなければエサを得ることができずに死んでしまいますが、働きバチ(成虫)もまた幼虫がいなければ栄養が得られず、十分な働きができないという、相互依存の関係なのです。

スズメバチの死角は背中だけ!

このことはスズメバチの体型とも関連しています。

スズメバチの襲撃シーンなどを見ると、これでもかというくらい、何度も何度も相手に対して尾部にある毒針を刺しまくり、執拗に攻撃をしています。

スズメバチの持つ毒針は強靭であり、針は平滑なので、何度でも抜き差しが可能なのです。

それと相まって、狙った方向に自由自在に針先の照準を合わせています。

スズメバチの死角は、背中の真上方向以外にはありません。

シオヤアブなどはここをピンポイントで狙ってスズメバチに襲いかかりますが、うまく背中を捕えて抑え込まないと、逆襲され毒針を刺されてしまうのです。

スズメバチの毒針は自由自在に動かせる!

たとえば、サソリのように尾部が長く、細かな体節に分かれていれば、広範囲に自在に動かすことができますので、外敵に狙いを付けて、的確な位置に毒針を刺すことができます。

スズメバチを始め、毒針を持ったハチは、針のある腹部を自由自在に動かすために、胸と腹の体節間が非常に細く、くびれた構造なっているのです。

ですから、腹部の可動範囲が非常に広く、かなり自由に動かせるのです。

ただし正確に言いますと、実はこのくびれは胸部と腹部の境界ではありません。

腹部の第一節と第二節の間がくびれているのです。腹部の第一節は前伸腹節といい、前方の胸部と癒合しています。

ですからこのくびれの部分から下は「膨腹部」と呼ばれており、厳密には腹部の第二節以下の六節を指しています。

せっかくの獲物を捕食できない!

本来は毒針を自由に動かすためのこの胸腹部のくびれ構造には、じつはスズメバチの生活上、重大な欠点があります。

細くくびれた体節間のおかげで、胸部から腹部につながる食道(消化管)は非常に細くなっており、固形物を飲み込むと詰まってしまうのです。

つまり人間でいえば流動食しか摂取できない構造なのです。

ですからせっかく狩りをして美味しそうな獲物を捕えたとしても、自らそれを食べることができません。

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スズメバチの天敵!!

スズメバチは多くの昆虫からその天敵とされて恐れられる存在ですが、逆に他の動物から狙われ、捕食されることも多々あります。

成虫の天敵としては、鳥類を始め、肉食性の哺乳類、トカゲなどの爬虫類が挙げられますが、猛禽類やクマなどの大型の哺乳類はスズメバチの幼虫を食べるためにその巣を狙うのです。

もちろん人間もスズメバチにとっては巣を狙う天敵にほかなりません。

またクモ類、カマキリやオニヤンマ、シオヤアブなどの昆虫もスズメバチの成虫を狙うことがありますが、逆にスズメバチの餌食になることもあります。

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スズメバチがチョウに追い払われる!!

また捕食という関係ではありませんが、スズメバチが追い立てられて、一方的に排除されることがあります。

スズメバチが特に好むクヌギなどの樹液が噴出するエサ場では、それを狙って多くの昆虫類が集まります。

夏の時期、良好なエサ場はカブトムシやクワガタムシなどの大型の甲虫類が占拠しており、うっかり近付くとこれらに追い出されることがよくあります。

また、オオムラサキというチョウも、クヌギなどの樹液を好みますので、それを求めてカブトムシなどが集まるエサ場にやってきます。

カブトムシなどは夜間に集まることが多いのですが、チョウは昼行性ですので、昼の時間帯にエサ場に現れて、スズメバチとかち合うことがよくあるのです。

オオムラサキのオスはナワバリ意識が強く、大変気性が荒いので、スズメバチを見つけるとその翅をばたつかせて追い払ってしまうのです。

さすがのスズメバチも、この攻撃には退散せざるを得ないようです。

 

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日本の国蝶オオムラサキ

オオムラサキは、翅を拡げると10センチ以上にもなる大型のタテハチョウ科の蝶です。

メスの方がさらに一回り大きいのですが、こげ茶色をしていますので、名前のように青紫色を身にまとったオスの姿の方が美しいのです。

日本全土、朝鮮半島、中国、台湾にもいますが、日本で発見され、登録されており、日本の「国蝶」にも指定されています。

ただしこの国蝶指定というのは、法律や条例で定められているわけではなく、1956年にオオムラサキの図案が75円切手にされたことを受けて、日本昆虫学会が翌1957年にその総会で定めたものです。

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オオムラサキの生態

オオムラサキの幼虫はエノキの葉を好みます。

夏から秋にかけて孵化した幼虫はエノキの葉を食べて育ちます。

冬の時期は木を降りて落ち葉の中で越冬するのです。そして春になると再び樹上に上がり、葉を食べてさらに成長します。その後さなぎになり、6~7月に羽化して成虫になります。

成虫は花の蜜も吸いますが、クヌギやコナラの樹液を好むので、カブトムシなどのエサ場にも現れます。

オスは非常に気性が荒く、翅をばたつかせて他の昆虫を追い払うことで知られています。

大きなその翅は飛翔能力が高く、羽音をうならせながら飛び回ります。

スズメバチに寄生するネジレバネ!

スズメバチに寄生する昆虫がいます。

ネジレバネという、ネジレバネ目(撚翅目)に属する種です。特にスズメバチネジレバネは、スズメバチをおもな宿主にしています。

ネジレバネ類は、ハチばかりでなく、ヨコバイやゴキブリなどにも寄生します。

オスには目や脚、翅がありますが、メスはウジ虫状の脚や翅のない幼虫のままのような身体をしています。

移動することが不可能なので、寄生した宿主の身体の中で一生を過ごすのです。

ネジレバネの命がけの交尾

ネジレバネのオスは、羽化すると宿主の身体から脱出します。

オスはわずか数時間の命なので、羽化すると必死にメスをさがして飛び回ります。

ネジレバネのメスは、移動することができませんので、宿主の腹の一部を破って顔を出します。

そして性フェロモンをまき散らして、こちらも必死にオスを呼び寄せるのです。

オスは大型昆虫の腹から顔を出したメスを見つけると、近付いて行き交尾をします。

しかしその大型昆虫がカマキリであったりスズメバチであったりするわけです。

正面から近付けば間違いなく捕食されてしまいます。

まさに命がけなのです。

運よく大型昆虫に見つからずに腹から顔を出しているメスと遭遇すると、オスは自分の性器をメスの首に突き刺します。

これを外傷性受精といい、ミミズ、クモ、カタツムリなどでみられる精子をメスの体内に直接注入する方法です。

研究によれば、ネジレバネの交尾時間は平均8分にもなるそうです。

大型の肉食昆虫の腹の上で8分も交尾しているのですよ!すごい行動力としか言いようがないです(笑)

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過変態するネジレバネ!

ネジレバネのメスは、産卵することなく卵を体内で育て、やがて孵化した幼虫は母親の身体を食べて育ちます。

そして他の昆虫が集まるエサ場などで宿主の身体から脱出をして、新しい宿主が来るのをジッと待つのです。

ネジレバネの幼虫は、その宿主の状況に合わせて変化する「過変態」を最大の特徴にしています。

通常の卵→幼虫→さなぎ→成虫の四段階だけでなく、特に幼虫期に多くの段階を経て姿形を変えるのです。

こういった多くの成長段階を持つものを「過変態」といいます。

過変態で特に有名なツチハンミョウは、幼虫期の途中でさなぎのように一時的に活動を停止し、再び幼虫の状態に戻る「擬蛹(ぎよう)」という時期があります。

ネジレバネはスズメバチをコントロールする!

スズメバチネジレバネはスズメバチの働きバチに寄生します。

そして宿主を自分のライフスタイルに合わせてその行動をコントロールするのです。

スズメバチネジレバネに寄生されたスズメバチは、働きバチとしての仕事をいっさい放棄してしまうのです。

社会性のあるハチの世界では、ありえない行動です。

そして十分なエネルギーを溜めこんで、その後女王バチと行動をともにします。

冬期になると働きバチは死滅してしまいますが、ネジレバネに寄生された働きバチは、女王バチと一緒に、寄り添うようにして越冬するのです。

宿主が死んでしまえば、寄生しているネジレバネ自身も死ぬことになりますので、宿主の寿命を延ばすようにコントロールしているのです。

働きバチを働かせずに長生きさせるなんて、驚きの知恵ですよね・・

スズメバチに寄生するムシたち

その他、カギバラバチ科のハチは、卵を葉に産みつけてそれをガの幼虫に食べさせます。

ガの体内で孵化した幼虫はそのまま潜み、ガの幼虫がスズメバチに捕獲されて巣に持ち帰られるのを待ちます。

こうすることで、ようやくスズメバチの幼虫に寄生するという、ずいぶん遠まわりな方法を取ります。

ベッコウハナアブの幼虫は、スズメバチの巣の下部から巣内に侵入します。

実は閉鎖的なスズメバチの巣では、下部はゴミ捨て場のようになっており、ここに成虫や幼虫の死がいが多数あるのです。

それを食べて成長したベッコウハナアブの幼虫は、巣の衰退期になると徐々に上部に移動して行き、やがて生きたスズメバチの幼虫を次々と捕食していくのです。

 

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女王バチも冬眠中に補食される!!

新女王バチは、交尾を終えると来春の活躍を控えて朽ち木の中などで冬眠します。

冬眠中は活動を停止しており、無防備ですから、この時期に狙われることがあるのです。

ひっくり返すとバチンと音を立てて飛びあがることで有名なコメツキムシという昆虫がいます。甲虫目コメツキムシ科に属しますが、その幼虫は、朽ち木の内部で生活していますので、しばしば冬眠中のスズメバチ(新女王バチ)を見つけて、捕食してしまいます。

スズメバチの天敵はスズメバチ!!

スズメバチの天敵は実はスズメバチであったりすることもあります。

チャイロスズメバチの新女王バチは、まだ初期段階で働きバチのいないキイロスズメバチやモンスズメバチの巣に狙いをつけて、その女王バチを殺してしまいます。

そしてそのまま巣に居座り、巣ごと乗っ取ってしまうのです。

しかも殺した女王バチの子(キイロスズメバチなど)を働きバチにして、そのまま巣の経営を引き継いで行くのですから、驚きの行動といえるのです。

巣で生まれた働きバチたちにとっては、いわば「親のカタキ」にこき使われてしまうわけです。

そして「親のカタキの子」たちの世話をさせられるのですから、悲し過ぎます・・

このような一連の乗っ取り行動を「社会寄生」といいます。

他のハチの巣を荒らすオオスズメバチ

アシナガバチにとって、巣を荒らして、せっかく育てた幼虫を連れ去って捕食してしまう最大の天敵は、スズメバチなのです。

同じように小型のスズメバチにとって、厄介なのは同属の大型のスズメバチということになります。

特にオオスズメバチは、秋の繁忙期に積極的に他のスズメバチやアシナガバチ、ミツバチなどの巣を攻撃します。

もちろん逆襲されるリスクは高いのですが、その分オオスズメバチにとっては「おいしい獲物」であることに違いありません。

おもな標的は幼虫とさなぎ

オオスズメバチが、ミツバチやキイロスズメバチの巣を襲うことがよくあります。

成虫ももちろんエサになりうるのですが、おもな標的は幼虫とさなぎです。

数十匹のオオスズメバチがいれば、ほんの2時間ほどで4万匹を数えるミツバチの巣を壊滅することができると言われるほど、獰猛で果敢に攻め立てるのです。

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ミツバチも必死

ミツバチは巣を守ろうと必死になって防戦しますが、大きさが異なるので勝負になりません。

またミツバチも毒針を刺して応戦しますが、ミツバチの毒針は平滑でなく、のこぎり状になっており、逆棘と呼ばれる返しが付いているのです。

そのため弾力のあるものに深く刺してしまうと、構造上抜けなくなってしまいます。

ミツバチ自身がこれを無理やり引き抜こうとすると、毒針は抜けずに腹部が引き裂かれてしまい、やがて死んでしまいます。

したがって、ミツバチのひと刺しは、命がけなのです。

ただし毒を貯留している毒嚢は毒針と一緒にミツバチの身体から分離されますので、毒針が刺さったままであると、毒嚢は収縮しながら毒を相手に注入し続けます。

ミツバチの繰り出す必殺技「蜂球」

ただしミツバチの方も一方的にやられてばかりはいません。

ニホンミツバチ(トウヨウミツバチ)には「蜂球(ほうきゅう)」と呼ばれる必殺技があるのです。

数で勝るミツバチは、それを利用して巣に侵入してきたオオスズメバチを取り囲みます。

そして球状になって包み込んで「蜂球」を作ります。

そして、いっせいに羽ばたきながら身を震わせて自身を発熱させ、蜂球内の温度を上昇させるのです。

温度そのものは44~46度ほどですが、スズメバチの致死温度は46度と言われており、取り囲まれたオオスズメバチは呼吸ができず、この「おしくらまんじゅう」による圧迫と熱によって10分程度で蒸し殺されてしまうのです。

ミツバチは50度でも耐えうる能力を持ちますので、まさに生活の知恵から生み出された撃退法だと言えます。

必殺技のないセイヨウミツバチは駆逐される

ちなみに蜜の採集能力が高く、繁殖力の旺盛なセイヨウミツバチが輸入されて国内でも養殖されています。

セイヨウミツバチはニホンミツバチを駆逐すると言われてきましたが、セイヨウミツバチにはこの「蜂球」という必殺技がありません。

ですからひとたび巣をオオスズメバチに狙われた場合、全滅は免れられないのです。

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産卵が専門の女王バチ

ハチ目(膜翅目)の共通の性質として、受精卵はメスに、未受精卵はオスになります。

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女王バチは秋に交尾をすると「精嚢」と呼ばれる場所に精子を保管して越冬します。

春になって目覚めてから巣作りを始めて、産卵します。

スズメバチにおける働きバチはすべてメスです。働きバチも次の女王バチも同じ卵から孵化することに違いありませんが、その幼虫に食べさせるエサによって違いが出てくるのです。

ただし女王バチと働きバチの違いは役割だけであり、女王バチは産卵が専門であるために身体が一回り大きいというくらいで他には目立った違いはありません。

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女王バチ候補の巣立ち

次の女王バチは、秋から冬の活動期の終盤にあらわれ、十分な栄養を摂取してから巣を離れていきます。

そしてオスを見つけて交尾すると、その後は一切摂食せず、朽ち木などに適当な場所を見つけると、そのまま冬眠して春を迎えるのです。

春に目覚めると、女王バチは巣作りを開始し、最初の働きバチが羽化するまでは、一切の活動を単独でこなします。

これは働きバチがある程度の数になるまで続きます。こうして9〜10月頃に巣の個体数は最大期を迎えます。

女王バチが死んでしまうと・・・

ちなみに女王バチがシーズンの途中で死んでしまうと、その巣は崩壊してしまいます。

働きバチ自体に産卵する能力はありますが、未受精卵なのでオスバチしか産むことができません。

オスバチは働きバチにはならないからです。

越冬が可能なのは次世代の女王バチ候補だけです。

通常オスバチも働きバチも、冬を越すことができずに死んでしまうのです。

スズメバチの巣は大所帯!

スズメバチの巣は、木質の繊維を唾液のタンパク質で固めた紙に近い成分でできています。

六角形の入り口を持つ育房(育室)と呼ばれる部屋を次々と重ね合わせたハニカム構造を作りながら拡大していきます。オオスズメバチでは3千〜6千もの育房を作ることが普通です。

他のハチに比べて大所帯なのです。

卵は一つ一つ育房の中に産みつけられ、幼虫からさなぎまでの時期をこの中で過ごします。

さなぎになる直前に幼虫は口から糸を吐き出して育房に蓋をします。

さなぎの時期を終え、羽化すると新成虫はこの蓋を破って外に出てきます。糸は巣の補強のために成虫によって再利用されます。

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スズメバチの巣は閉鎖的!

アシナガバチでは、屋外の木の枝などにぶら下げて開放的な巣を作りますが、スズメバチでは保温と防御のために被覆して、出入り口を一つに集中させてしまいます。

ですから巣の形状は独特の閉鎖的なものとなっています。

内部は数段の巣盤が柱で結びついた構造をしており、巣の増築には担当の働きバチがその部分のいっさいを受け持つようです。

働きバチは、その個体が枯れ木や樹皮など個体ごとに決まった素材を使いますので、巣はこの素材の違いによりウロコのような色違いの模様が現れるのです。

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スズメバチの毒!

スズメバチと言えば、なんといってもその毒が話題の中心になります。

ちなみにはハチ目(膜翅目)の毒針は、産卵管が変化したものですから、メスにしかありません。

したがってオスは攻撃を受ければ刺すマネをすることがありますが、もともと攻撃性はほとんどなく、たとえ出くわしても恐れる必要はありません。

しかしオスとメスの区別は難しく、瞬時に判断はできません。

また女王バチも毒針は持ちますが、攻撃性は低く、刺すことはほとんどありません。

毒液は警報フェロモンを兼ねている!!

スズメバチの毒針は強靭な二重構造で、毒液がある限り執拗に何度も刺してきます。

この毒液は警報フェロモンの役割もしているので、毒針が刺さらず攻撃が有効でなかったり、相手が手強いと判断すると空中に向かって噴射することがあります。

これにより多数の仲間を呼び寄せて興奮させ、集団攻撃することになりますので、要注意です。

またヒトの眼を狙って噴射することもあり、目に入ると失明する可能性もあります。

皮膚に付着すると激しい炎症を起こすこともありますので、本当に厄介です。

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スズメバチの毒液は、毒のカクテル!!

スズメバチの毒液は、複数の毒素が混ぜ合わされており、「毒のカクテル」と呼ばれています。

またその毒の構成や配分も種ごとに異なり、独自のものなのです。

毒液のうち、その主なるものとしては「ヒスタミン」(炎症作用を持ち強烈なかゆみを起こす)、「セロトニン」(神経を麻痺させ心肺停止などに至る)、「ペプチド」(アナフィラキシーショックを起こす)、酵素毒が挙げられます。

怖いのは毒の強さではなく、アナフィラキシーショック!

それぞれの毒素自体は、ヘビ毒のように強烈なものではなく、刺されたら即死などということはありません。

ただし注入された毒液は体内に長くとどまり、アナフィラキシーショックを誘発します。

アナフィラキシーショックとは、激烈型のアレルギー反応ですから、特にスズメバチに刺された経験がある場合、少量であっても命に関わるので要注意なのです。

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スズメバチへの対処法

スズメバチに刺されないためには、まず巣には絶対に近づかない、スズメバチを見つけたら避ける、静かにその場を立ち去る・・といったことが肝心です。

一匹、二匹ならなんとかできるかもしれませんが、警報フェロモンを出して仲間を呼び寄せられたら対処の仕様はありません。十匹以上の集団に何度も刺されてしまった場合、死を覚悟しなければならないことになります。

とにかく、スズメバチは避けるべし!!

巣に限らず、有益なエサ場もスズメバチの防衛の対象になることがありますので、近づくと攻撃されることがあります。

私も夏の夜にはクヌギ林などにカブトムシやクワガタムシ狩りによく出かけますが、そのとき穴場となる樹液の噴出場所は、昼間の時間帯にはスズメバチの集団が独占していることがよくあります。

こういった場所を昼間通るときには、要注意です。こちらにその気がなくても、攻撃されてしまうからです。

とにかくスズメバチだけは避けたほうが無難です。羽音を聞いたリ、見かけたらけっしてそれ以上近づかないようにして下さい。

スズメバチが特に危険な時期は8〜9月!

スズメバチがより攻撃的になるのは、8~9月の時期です。

この頃になると、スズメバチの巣では働きバチの他に女王バチ候補やオスバチも育ちますので、働きバチはてんてこ舞いなので、いらだっています。

特にオオスズメバチは他のスズメバチの巣を襲うことが多くなりますので、攻撃的になっていますし、他のスズメバチ類は巣の防衛を第一に考えるよう行動するので、警戒心が強くなり、興奮しやすくなっているのです。

巣に近づくものは、たとえその気のないヒトであろうと容赦せずに敵とみなしますので、山や森などに出かける場合には要注意です。

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スズメバチの避け方!

スズメバチは、香水や黒い服に反応しやすいと言われています。

香水には警報フェロモンに近い物質が含まれている場合が多いからです。

これにより無用にスズメバチを興奮させてしまうことがあるのです。

黒いものに対しては、巣を襲う大型ほ乳類の弱点という認識があるようです。

眼球や外耳孔がそれに該当しますので、黒色部分を集中的に攻撃するようです。そう考えると黒い水玉模様の服などは更に狙われやすいのかもしれません。

実際にスズメバチがヒトの眼球に向かって攻撃することもありますし、刺さないまでも毒液を眼に向かって噴出することもあります。

けっして飲んではいけない・・・

屋外でのレジャーで気をつけなければならないことがあります。スズメバチが糖分やアルコールのニオイに惹かれて近付いてくることがあり、特に放置しておいた飲みかけの缶飲料の中に入り込むことがあるのです。

それに気付かずにうっかり飲もうとして唇を刺されるなどという事例もあるのです。

スズメバチが単独で近付いてきて飛び回っている場合には、むやみに追い払おうとしない方が無難です。

手で払おうとした場合に興奮させてしまうと、警報フェロモンを発して仲間を呼ぶことにもつながってしまいますので、厄介なことになりがちなのです。

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スズメバチの駆除はプロにまかせる!

庭や軒下などでスズメバチの巣を発見した場合は、決して近付かず、手を出さず、プロフェッショナルである専門の業者に駆除を依頼してください。

防護服などできちんと装備をしたうえでなければ、非常に危険を伴います。

駆除は活動が低下する夜間や早朝に、煙幕や殺虫剤を効率よく巣に向かって吹きつけ、巣ごと取り去ります。

ペットボトルに糖分とアルコールを混ぜて入れることで誘引するトラップは、だれでも簡単いつくれます。

また、大型の粘着シートなどを用いても、働きバチを効率的に大量に捕えることができますので、退治するには有効です。

ただし、巣そのものを排除しない限り、刺される危険性はなくなりません。

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スズメバチに刺された場合の対処法!

スズメバチの刺されてしまったら・・・

とにかく早めに逃げてください。

傷の対処はもちろんしなければなりませんが、第二第三の攻撃がありますので要注意なのです。

刺された場所が巣の近くである可能性が高く、また溢出した毒液によって他のスズメバチが集まってくる可能性があるので、動けるならばまずその場を離れることが賢明です。

そのうえで傷口をつまんだり、吸引して毒液を絞り出すこと、流水で洗うことが有効です。

救急車を呼び、できるだけ早く、病院に搬送すべきです。

スズメバチの刺傷事故における死因は、ほとんどがアナフィラキシーショックによるものです。

放置せず、病院で適切な処置を受ければ、被害を最小限にとどめることができます。

強い痛みと患部の炎症による腫れ、場合によっては意識消失や麻痺を起こします。

刺される回数が多いほど、死への確率は高まりますので、集団に襲われた場合は大変なことになってしまうのです。

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ヒトを殺すのはオオスズメバチかキイロスズメバチ!

毎年何人ものヒトがスズメバチに刺されて死亡しています。

届出のあったハチの刺傷事故をデータで見てみることにしましょう。

1995~2014年の20年間で466人がハチに刺されて亡くなっています。

これは年平均にすると23.3人にものぼります。

ヒトを殺しているハチは、種類が判っているものではほとんどがオオスズメバチで、キイロスズメバチも混じっています。

判別の付かないものもありますが、その他のハチ類・・・ミツバチなどを含めて名前が出てきていませんので、やはりこの2種のスズメバチが特に危険だと言えます。

病院まで遠い山村での被害が多い!

ハチによる刺傷事故は年々少しずつ減ってはいますが、激減というほどではありません。

ただし、傾向としては、高齢者が刺されて死亡する例が多いようです。

2005~2014年の10年間での年齢層別死者数では、全189人中で39歳以下は皆無です。

ところが70歳以上が106人で過半数(56%)を占めています。

事故の起こる場所は、ほとんどが山村で、病院搬送までに時間がかかる場合が多いようです。

刺されたらすぐに適切な処置をして、病院へ!ということなのです。

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スズメバチを食べる!!

中国や東南アジアでは、スズメバチに限らずハチ目の昆虫は、幼虫やさなぎばかりでなく成虫も盛んに食べられています。

国内にも、スズメバチの幼虫やさなぎを食用にする地域があります。

一般には「ハチの子」と呼ばれ、特に長野県の伊那地方は有名で、甘露煮にしたものは缶詰に加工して売られているほどです。

小型のクロスズメバチが好まれますが、キイロスズメバチやオオスズメバチも食します。

私も「ハチの子」は食べたことがあります。

その見た目はともかく、美味であることは間違いありません。

長野県に行き、知り合いの家で出されれば喜んで食べます。

ただし食べるものが豊富にある現在、それほど積極的に食べたいとは思いません。

また土産物屋で見つければ、缶詰をお土産にして買って帰ることがありますが、たいていは戸棚の奥の方に忘れられている存在になっています(笑)

甘露煮、炊き込みご飯など食べ方も様々で、調理にも工夫が凝らされていますから、昔からスズメバチの幼虫を伝統的に食してきたことがわかります。

 

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スズメバチの捕獲法

スズメバチの捕獲方法としては、巣を突き止めることが第一で、駆除とは逆の手法なのです。

エサになるようなスズメバチの好物に糸や和紙などをつけて目立つように細工をします。

それで働きバチを誘い、仕掛けにかかったハチを追跡して巣を突き止めるのです。

これを「ハチ追い」などと言います。集団で手分けをして巣を見つける「ハチ追い」が狩猟行事になっている地方もあります。

また養殖ということではありませんが、営巣を始めた初期の小さな巣を採集し(女王バチ単独なら攻撃されることはほとんどありません)、巣箱などに移動させて育てることもあるようです。

スズメバチの巣の採集にあたっては、黒色火薬を用いてその煙を吹きつけて働きバチの攻撃を封じてしまい、巣を崩して幼虫やさなぎを捕獲します。

また掃除機を使って一カ所しかない巣の出入り口から働きバチを次々に吸いこむという方法も使われています。

巣を狙えば、スズメバチに刺される可能性が高く、危険を伴いますが、そうまでしてでも採集するに値するほどスズメバチの幼虫は美味でもあるということなのです。

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スズメバチは栄養タップリ?

スズメバチには多数の有用なアミノ酸が含まれていることがわかってきました。

こうした食文化とは別に、民間療法や健康食材としてもスズメバチは脚光を浴び始めています。

幼虫ばかりでなく、成虫もハチミツや焼酎に漬けたものが売られていたりします。

近年では、その有用な成分を抽出したサプリメントが作られたり、健康食品としての活用もなされています。

漢方薬としてのスズメバチ

漢方では、スズメバチの幼虫や成虫ばかりでなく、巣そのものも生薬として用います。

巣は朽ち木などの線維質をスズメバチの唾液で練り込んだものです。スズメバチの唾液には、アミノ酸始め有効な成分が含まれていると考えられます。

粉末状にしたり、黒焼きにして煎じたりして用いるようです。

日本では、冬になって活動を終えた廃巣を装飾品や魔除けとして飾ることがあります。

その場合、大きな巣は見ごたえがありますし、より強く活発なスズメバチであったことを表すことにもつながるようです。

世界最大のハチ・・オオスズメバチ

オオスズメバチは世界最大のハチであり、スズメバチ類の代表種でもあります。

したがって単にスズメバチと言った場合、オオスズメバチを指すことがほとんどです。

オオスズメバチの女王バチは体長が4~5センチ、働きバチでも3~4センチになります。

東アジアから沖縄や奄美地方を除く日本全土に生息しています。

頭部はオレンジ色で胸部は黒、腹部は黄色と黒のシマ模様で、翅は茶色みがかっています。

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オオスズメバチは絶倫!

オオスズメバチの食性は幅広く、獰猛、凶暴で、攻撃性が強く、集団となってミツバチや他のスズメバチの巣を襲うこともあります。

ただしスズメバチを始め肉食と言われるハチ類のほとんどは腹部のくびれによって固形物を食べることができません。

捕食される昆虫などはすべて幼虫のエサになります。

飛行能力はとても高く、時速40キロで飛ぶことができます。

また非常にスタミナがあり、1日に100キロも移動することが可能なのです。

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秋になると他のハチの巣を襲う!!

夏は昆虫類が最も活発に活動しますので、スズメバチにとっては比較的獲物も豊富にあると言えますが、秋になるとこういった獲物が不足してきます。

巣では多数のオスバチや、新女王バチを養育しなければならなくなるので、大量のエサが必要になります。この時期、オオスズメバチは非常に攻撃的になり、さまざまな獲物を求めるようになります。

そのためハイリスクではありますが、ミツバチや他のスズメバチの巣などを襲わなければならなくなります。

前述したように、ニホンミツバチには「蜂球」と呼ばれる必殺技がありますし、チャイロスズメバチは外皮が硬いのでその毒針が使えません。

襲われる方も必死ですので、そう簡単に襲撃が成功するわけではないのです。

尾が黒いヒメスズメバチはアシナガバチの天敵!!

ヒメスズメバチは、オオスズメバチの次に大きな種で、体長は3~4センチほどです。

尾部が黒いのが特徴で、攻撃性はあまりありません。

ヒメスズメバチの幼虫はアシナガバチの幼虫とさなぎのみエサとしていますので、成虫はアシナガバチの巣を襲い、幼虫やさなぎを引きずり出して咬みつき、その体液を吸います。

 

他のスズメバチのように肉ダンゴは作らず、その体液を消化管の脇にある袋状の素嚢に蓄え、それを巣に持ち帰って幼虫に与えるのです。

ヒメスズメバチは、アシナガバチの活動に依存せざるを得ないので、巣の規模も小さく、あまり活動的ではありません。

ただしアシナガバチ以外に、キイロスズメバチなどの巣を襲うこともあるようです。

凶暴でヒトを刺すキイロスズメバチ

キイロスズメバチは、日本にいるスズメバチ亜科の中で最も小型の種です。

体長は2~3センチ程度ですが、直径1メートルもの巨大な巣を作り、千匹以上の働きバチを抱えることもあります。

巣が大きくなると引っ越し(再営巣)をすることでも知られています。

しかし、小さいからといってけっして油断できません。

オオスズメバチ同様非常に攻撃性が強く、また都市部での活動にも適応しているので、人家近くに営巣することも多いのです。オオスズメバチに次いで、刺傷による被害が多いのです。

 

コガタスズメバチは比較的おとなしい

コガタスズメバチは、オオスズメバチを一回り小さくした姿形をしています。

 

体長は3センチほどで、他のスズメバチと異なり木の枝や軒下などの比較的目立つ開放空間に巣を作ります。

巣は小さめで、性質は比較的おとなし目ですが、巣に近づくと攻撃してくるのは、他のスズメバチと同じです。

ハナバチなどの他のハチ目の昆虫を襲うことが多く、捕まえて肉ダンゴを作って巣に持ち帰ります。

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セミを食べるモンスズメバチ

モンスズメバチはコガタスズメバチとほぼ同じ3センチ程度の体長です。

幼虫はセミを好みますので、セミのいる時期は「セミキラー」となって集中的にセミを狙います。

 

そのほか、バッタやトンボ、他のハチなども襲うことがあります。

狩りの中心がセミなので、セミが十分にいる環境でないと生息することが難しいのです。

チャイロスズメバチは乗っ取り屋!

チャイロスズメバチは小型のスズメバチで、中部地方以北に生息しています。

体長2~3センチほどの大きさです。

小型であるにもかかわらず、その外皮が硬くて他のスズメバチの毒針を通さないために防御力に優れており、その分とても攻撃的です。

大きさの違うオオスズメバチにも、恐れることなく向かっていくことがあります。

チャイロスズメバチの最大の特徴は、他のスズメバチの巣を乗っ取ってしまうことです。

女王バチは他のスズメバチよりも一足遅く冬眠から目覚めます。

そして営巣初期の、まだ女王バチしかいない状況のモンスズメバチやキイロスズメバチの巣に眼を付けます。

そのスキをついて女王バチを刺殺して、ある程度まで出来上がった巣を奪ってしまうのです。

孵化した旧女王バチの子を働きバチにして自分が産んだ幼虫の世話をさせます。

巣を襲い、乗っ取ってしまうことから社会寄生性スズメバチなどとも言われます。

 

食用にされるクロスズメバチ

クロスズメバチは全身が黒く白のシマ模様がある小型のスズメバチです。

体長は2センチ程度で、沖縄を除く日本全土に分布しています。

多くは森や畑などの土中に営巣します。攻撃性はあまりなく、毒も強くありません。

食用にされることが多く、近年では養殖もされているようです。

 

(ライター:オニヤンマ)

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