集団で地上を這う小さな昆虫のアリと、飛ぶ昆虫であるハチの違いと共通点は何でしょうか。

アリとハチの分類

生物の違いを考える時、私たちがはじめにすることはその生物の分類を知る事かもしれません。

アリは膜翅目(まくしもく)有剣下目スズメバチ上科アリ科に属する昆虫の総称です。

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この膜翅目には30万種はいるとされ、ハチはその膜翅目の昆虫です。

膜翅目というのはハチ目ともいいます。翅が二対四枚ついている昆虫が属するグループとされており、ハチ目の中でハチでないものがアリとされています。

 

アリは膜翅目に入っています。

ということはアリに翅があるのでしょうか?

 

そういえばあったような気もしますが、多くのアリが常に飛ぶとしたらそこら中がアリだらけになってしまいます。

ちょっと考えたくない光景です。

アリとハチの数

当然のごとくアリの種類はそれこそ無数にあります。

アリの種類は世界中で1万種はいるとされ、日本国内でも約280種はいるといわれます。

 

生息地は砂漠や山地、近所の公園など土地により生態も様々です。

膜翅目に入る虫が約30万種ということは単純計算すると、ハチは29万種いる事になります。

 

ちょっと多すぎるのではないでしょうか。今すぐ話したくなる雑学だとかに出てきそうですが「ハチは多すぎる」というのは話題としてやや唐突でもあります。

その中では刺すハチは少数派です。アリは結構巣作りを念入りにしますが、ハチはそうでもありません。

 

アリよりは体が大きい事も多く、単独で生きる種もいます。

しかしハチは何も刺したくて刺すわけではなく、あくまで巣とその中にいる幼虫たちを守る為に刺すのです。

また、スズメバチの天敵はハチクマです。クマタカに似たタカの仲間なので猛禽類です。アリの天敵は大型の昆虫や爬虫類やアリなどです。

アリの触角について

アリの体で特に発達しているのは触角です。

複眼と単眼をもちますが、アリはほぼ触角によって生きているような昆虫です。

 

特徴的なのは顎です。アリは非常に小さい昆虫のため、あまり目立ちませんがわりと顎が発達しています。

ちなみに日本国内で最小のアリは体長約1mmのコツノアリだそうです。クロオオアリの女王は一番大きいようですね。

 

アリは触角でコミュニケーションをとります。あっちに蜜があるよだとか、こっちは何もなかっただとか、そういった情報交換でしょうか。

また、アリは巣を引っ越す場合があります。意外にも道に迷うものもいます。

 

そのようなときの為にも触角コミュニケーションは大切です。

アリは何となくしっかり者のような気もしますが、中にはいろいろなものがおり、困ってうろうろしているものもあります。

アリにとって触角は非常に大切であり、生命線のような役割をもちます。また、道を教えるのにはフェロモンのようなものを分泌する事もあります。

アリはいつ飛ぶのか

アリは実際、飛ぶのです。アリの巣の中で翅をもつのは女王アリとごくわずかなオスのみです。

アリは交尾時期になると翅を使い、空中で交尾行動を行います。

空中結婚といわれます。女王アリは一度しか交尾を行わない為、タイミングの取り方もきわめて高度なテクニックを要します。

翅をもつオスがやおらいきりたち飛翔したとしても、女王アリが気乗りしなければ、ただの飛んでいるアリです。

こういったオスもまた哀れです。翅をもつオスは交尾が終われば死亡します。アリにとって翅は重要です。

アリの巣について

アリは一般的に社会性を持つ昆虫とされます。アリの行動と巣の作り方にあります。

メスが中心となる事も巣をつくるハチと似ています。ただ、ハチが巣をつくり、ひとつの目的のようなものを持って機能するのは刺すハチであり、ハチ目の中では少数派です。

主にクロオオアリの生活を中心とした話です。アリが日頃どのように生活し何を食べているのでしょうか。

 

クロオオアリは体長7mmから1,3mmほど日本国内では最大サイズのアリです。

公園など土のあるところによくいる、黒いアリです。頭部・胸部・腹部に分かれ頭には触角を持ち腹部に3対6本の脚があります。

 

各脚にはギザギザがありお尻には産卵管があります。

時には蟻酸を出したりします。彼らの姿が見られるのは初夏から夏、秋口にかけてです。全て働きアリです。

まれに翅のついたアリを見かける事もあるでしょう。

 

クロオオアリの巣は地下10cmに作られます。

5月頃になると例の空中結婚が行われ、巣作りを始めます。この時点でオスは死亡しており、メスが単独で巣を作る事になります。

天敵に襲われやすい危険な時期です。メスは翅を切ってから巣を作ります。

 

アリの巣は丁寧に作られます。まず食べ物を貯蓄する部屋、幼虫の部屋、卵の部屋、ゴミ置き場、一番底の方に作られているのは女王アリの部屋です。

この部屋は産卵場所でもあり、働きアリは女王アリの体の掃除までします。

 

働きアリの役割は、女王アリの餌、幼虫の世話、巣の掃除、巣の見張りなど多岐に渡ります。

女王アリは巣の底で卵を産み続けます。最初の時点では女王アリ一匹なので、少し地下に空間を作ると、地面をふさいで中で産卵します。

女王アリの子育て

最初の卵や幼虫の世話は女王アリが単独で行います。

この時に産む卵は15個ほどです。孵化まで2週間ほどかかります。餌はどうするかというと、翅を動かす為の筋肉を溶かして液体にしたものを口移しで与えます。

 

クロオオアリの幼虫は4回ほど脱皮し、白い蛹になります。

幼虫は口から白い糸を出して白い和紙のような繭をつくります。繭を破り成虫となるまでまた2週間ほどかかります。働きアリの誕生です。

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女王アリについて

女王アリがいないとアリは繁殖できないように思えますが、女王アリを持たないアリもいます。

トゲオオハリアリ、ハシリハリアリなどです。また単為生殖がみられるアリとしてアミメアリがいます。

 

アミメアリは変わった生態のアリです。ほぼメスばかりの上、女王アリも存在しないようです。

必要ではないのかもしれません。女王アリが多数存在し次々に巣が多くなる種もいます。

 

兵隊アリという、いわゆる餌の分割専門のようなアリがいる事もあります。

これらの特徴は顎が発達している事です。オオズアリなどに見られます。

アリの発達の仕方はどこか職人的な発達のようにも思えます。また、アリは巣の奥の方で冬眠します。

蜜に関するハチとアリ

ハチといえばミツバチを連想する方もいるのではないでしょうか。

花壇の周りをヴーンと飛ぶミツバチの顔周りは毛だらけです。

 

大きな複眼に毛が多い顔、長い触角それに頭が重いのだろうか、と思うような飛び方など、これらがミツバチの働きバチの外見の特徴です。

現在日本国内で見られるのは、明治時代にやってきたセイヨウミツバチが多いようです。

 

ミツバチは花粉を集め、蜜を集めます。集めた蜜はお腹に貯蔵しハニカム構造の巣に持ち帰ります。

また、ミツバチは冬眠しません。成虫のまま越冬します。

 

アリはもともと甘党傾向のようですが、アリにも蜜を集める種がいます。

オーストラリアに棲息するミツツボアリはお腹に蜜を貯めます。蜜で腹が膨れ上がる程の姿になる事もあり、これではツボが歩いているようです。

 

ミツツボアリが蜜を運ぶ姿は頭が下がっているので、やはりどこか辛そうでもあります。

アリが何か餌のようなものを運び時には連なっているのを見ると、苦役、といった言葉が連想されたりします。

 

そこで列から少しはみ出しているものや動きがずれている個体を発見すると、ちょっとほっとしたりします。

オーストラリアは乾燥地帯が多く餌が貴重です。

 

また、針を持たないハリナシバチも蜜を作るハチです。

アフリカに棲息するハリナシバチの蜜の製造法は、樹液と蜜を混ぜたものだそうです。

このように、生息地の環境によりアリたちもハチたちも独自の生存方法で適応しています。

狩りバチ

狩りバチと呼ばれるハチもいます。これらは巣の作り方が変わっています。

ジガバチなどに見られます。下準備として砂を掘ります。それからチョウの幼虫になどを毒針で刺して捉え、砂の中に埋めます。

 

その獲物の上に産卵し、ジガバチの幼虫はチョウの幼虫の体を喰いすすみながら成長するのです。

一風変わった育ち方です。ハチの巣は地下に作られる事もあります。ただ、巣が大きくなることはあまりないようで、もっぱら幼虫を育てるために特化した場所のようです。

ハチの構造と毒針

アリの体の構造も、胸部と腹部のくびれは意外にあり、いかにも昆虫らしい恰好です。

 

ハチの体の仕組みは、刺すハチと刺さないハチに大別されます。

刺す方が細腰亜目といわれ、刺さない方が広腰亜目とされています。

これはそのままハチの体の形と表したもので、刺すハチは腹部が極端にくびれています。スズメバチなどがそうですね。

 

ハチの体の特徴として、胸部に腹部第一節が密着して胸部が大きくなっている事があります。

これが飛翔力のもとなっているようです。確かにアリの体では、翅があったとしても長い間飛ぶのは無理に思えます。

 

ハチもアリも有剣下目(ユウケンカモク)というグループに入っています。

有剣類とされている事もあります。お尻の産卵管があるのですが、細腰亜目のハチたちはそれが毒針になっています。

アリにもそのような種類がいるのでしょうか。

ハリアリ類について

これら刺すハチと近いのではないかと思われるアリは、ハリアリ類です。

日本語ではオソレハリアリ、ディノハリアリなどといわれます。毒針を持ち、シロアリなどを捕食します。

 

シロアリはアリではなくゴギブリの仲間です。ハリアリたちの体長は4mmほどで赤茶や黒いものもいます。

第二関節あたりのくびれと頭を下げた姿勢は、毒針をもつハチにそっくりです。

 

お尻にある針を獲物に刺すには、お腹に力を入れる必要があります。

スズメバチなどはかなりくびれていますから、針を左右に動かす事もできます。

産卵時にも腹部を曲げて卵を産みます。ハリアリの多くの種は熱帯雨林地方に多く生息し、時には大きなコロニーをつくります。

アリとハチの違い

  • アリもハチも巣をつくりますが、ハチは単独行動する種類がいます。
  • アリの巣は生活するものにも思えますが、ハチの巣は子育てなどに特化しているようです。
  • ハチは飛びますが、アリはたまにしか飛ばないようです。

アリとハチの共通点

  • アリもハチも広範囲に生息しています。
  • 木や他の種類の昆虫の幼虫などに寄生するアリやハチがいます。
  • アリの巣もハチの巣もメスが中心的役割を担う場合が多いです。
  • 生殖能力を持つオスは少なく、交尾後死亡します。
  • 毒針に変化した種類がいます。
  • ハチもアリも単為生殖を行います。
  • 完全変態です。
  • わりと雑食のようです。
  • 冬眠する種類もいます。
  • ハチもアリも、種類によっては噛む事があります。

アリとハチ

アリとハチのまったく違う点といえば、巣の作り方かもしれません。

アリは小さい昆虫なので、単独で生息し続けるのは難しく集団で生活するしかありません。

 

しかもアリは巣が大きくなることもあります。

単なる巣というより快適な居住スペースといった印象です。

ハチは飛ぶことが出来ますから、必ずしも巣を作り集団生活する必要性はないのでしょうか。

 

ハチとアリについては色々な意見や見識があるようです。

昆虫の分類というのはややこしいものですね。

 

アリやハチなどの比較的小型の昆虫は、地域差のようなものが大きく働き、生態が変わっていく事も多くあるように思います。

膜翅目に多くの種が現存している理由はそれぞれの生息地にあった生存方法を身につける事ができたからかもしれません。

(ライター:おもち)

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