シクラメンコウムという花をご存知でしょうか?

シクラメンとは一味違うシクラメンコウムについて詳しくお話していきます。

シクラメンコウムの特徴

シクラメンコウムはツツジ目サクラソウ科シクラメン属に分類される多年草で、3つの亜種が知られているシクラメンの原種です。

黒海の南岸と東岸を境界として、西はブルガリアから、東側はグルジアやクリミアまで分布しています。

更に、イラン北部のエルブルズ山脈やトルコ南部のハタイまで、南下するとシリア、レバノン、イスラエルまでの地中海東部海岸域にも分布し、標高1000m~1500mの山地に自生しています。

 

樹高は5~10㎝で、葉には色々な模様が入り、観賞用としても十分価値があり、多くの変種があります。

春から初夏には葉は枯れ、球根の状態で秋まで過ごします。

シクラメンコウムの花

シクラメンコウムの花は1~3月に開花します。

花の色は白や薄いピンク、濃いピンク、紫で、香りは強くありません。

原種シクラメンの中では小さい花を咲かせ、花びらが丸みを帯びた形をしています。

原種シクラメンの種類

シクラメンコウムが含まれるシクラメン原種には色々な種類があり、その数は約20種類ほどと言われています。

花だけではなく、葉も美しいのが特徴なので花の咲いていない時期でも十分に楽しむことが出来ます。

 

バレリアリクムは春から初夏咲きの小型種で、花色は白です。

ヘデリフォリウムは夏から秋に咲き、葉が出る前に花を咲かせます。

 

花色はピンクや白です。

プルプラスケンスは夏から秋に咲き、葉が丸くて分厚く、休眠しないことが多い品種で、ペルシカム葉鉢花として広く流通しているシクラメンの元となった種です。

シクラメンコウムの栽培

シクラメンコウムは耐寒性も耐暑性もありますが、乾燥に弱い植物です。

自生地では落葉樹林の下の落葉した葉が積もった腐葉土に、埋もれるようにして育っています。

 

直射日光が強く当たるような場所ではなく、年間を通して半日陰から明るい日陰程度の場所が適していて、生長点に直射日光が当たると、生育が鈍ったり展開する葉に異常が出たりすることがあるので注意しましょう。

 

遮光の目安としては、生育期が明るい半日陰、休眠期は半日陰の状態で管理するのがベストです。

管理場所が最適かどうか見分けるためには葉や葉柄のバランスを見ます。

変に葉や葉柄が大きくなったり、伸びすぎたりする場合は日照が不足していると考えられます。

 

塊茎の表皮が薄いので、乾燥には弱い性質があり、休眠中も乾燥させずに湿った状態を保つ必要があります。

植え付けや植え替えは花後か休眠期の間の7~8月が最適です。

 

植え替えは根を傷つけないように2~4年に1度行い、土は水はけと水持ちが良い状況を作ります。

基本的にシクラメンコウムは植え替えを嫌います。

 

出来るだけ最初から大きめの鉢に植え、球根の直径3~4倍程度の鉢に植え付けるようにしましょう。

鉢植えにするときには市販されている草花用の培養土やシクラメンの土を使うと失敗がありません。

 

生長点が用土ぎりぎりのところに埋まるように、塊茎の表面が土から出ないように植え付けるのがベストです。

水やりは土の表面が乾いてきたら与えるようにします。

休眠中でも土が完全に乾かないように時々水を与え、土が乾燥して塊茎まで乾燥すると、しぼんでしまうので注意が必要です。

 

肥料は生育期の間緩効性の肥料を1~2ヶ月に1回、少量を与え、10日に1回くらいのペースで薄めに作った液体肥料を与えます。

休眠期は葉が落ちてしまった場合、肥料は必要ありませんが、葉が残った場合は薄めの液体肥料を与えます。

 

シクラメンコウムは種を蒔いて増やします。

花が咲くようになるまでは3~4年程かかり、株がある程度大きくなるまでの1~2年の間は夏も休眠せずに葉が残ることが多いようです。

(ライター ナオ)