ホウネンエビの特徴と生態

ホウネンエビは節足動物門甲殻亜門鰓脚鋼サルソストラカ亜鋼無甲目に分類される小型の動物です。

体長は細長く、15~20㎜程度。

 

脚を持たず、鰓脚と呼ばれる呼吸器を備えた泳ぐための脚だけがあります。

体色は透明感のある白ですが、緑を帯びた個体や青みを帯びた個体もいます。

頭部には左右に突き出した1対の複眼と触覚、口器を持っています。

 

第一触角は糸状で、頭部の前方へ短く伸び、第二触覚はメスとオスで大きな違いがあります。

メスは小さく、オスは大きく発達していて、この違いはオスが繁殖時にメスを押さえつけるためと考えられています。

 

通常は腹面を上に向けた姿勢で水面近くや中ほどにじっとしているか、ゆっくりと移動しています。

常に鰓脚は動かした状態で、その水流によって集められた植物プランクトンを摂食しています。

外敵に襲われそうになると、素早く体を捻って跳躍して逃げます。

 

普段のゆっくりとした動きとは裏腹で、体色が周囲に紛れやすいこともあり、捕獲は意外と難しいのですが、走光性があるので、夜に照明を当てる簡単に捕獲できます。

冬の間土の中で休眠していた卵は春になり、水田に水が張られ、水温が上昇すると一気に孵化します。

 

最初の幼生は1㎜程度で、やや赤みを帯びています。

その後、脱皮を繰り返し、だんだんと細長く成長し成体の体になっていきます。

 

繁殖時はオスがメスの後方から追いかけて、第二触覚を使って連結し、交尾します。

オスの第二触覚は特別な形状になっており、メスの体にオスの体をしっかりと固定できるようになっていて、交尾が終わった後でもしばらく連結したままで生活します。

卵は水底にばらまくような形で産み落とされ、成体はその後死んでいきます。

ホウネンエビの名前の由来

ホウネンエビは漢字で書くと豊年蝦。よく発生する都市には豊年になると言われたことから名づけられました。

ホウネンエビと人間の関係

ホウネンエビは田んぼにとって特に利益があるわけでも、害があるわけでもありません。

田んぼでは擬態に近い状態で静かに生息していますから、その存在感は殆どないと言っても過言でないほどです。

 

しかし、これまでにその存在を有名にし、立派な名前までついたのには、卵の存在があるようです。

ホウネンエビの卵はトレハロースを持っていて、非常に乾燥に強いと言われています。

 

ホウネンエビの他にもクマムシやネムリユスリカなども同じ性質の卵を産みます。

この、乾燥に強いということで、ホウネンエビは子供たちの生物の実験の材料として、科学雑誌の教材などに使われました。

オバケエビなどという名前を聞いたことのある人も多いのでは?

 

卵を自分たちで孵化させる体験をするというわけです。

私も過去に経験があります。

 

数ある実験教材の中でもかなり強烈なインパクトがあって楽しかったのを覚えています。

もう一度したいな~としばらく思っていたような記憶があります。

カラカラの卵から水中の生物が誕生することは、その当時の私にはかなりの衝撃だったのだと、今振り返ると思います。

ホウネンエビの寿命

ホウネンエビの寿命は孵化後から考えるとたったの1か月半ほどしかありません。

飼育している場合は1~2ヶ月後にはまた新しい命が誕生し、そのサイクルは水の管理さえ怠らなければ、永遠と続いていきます。

田んぼに生息している状態よりも、飼育した方がその存在をしっかりと把握できて、楽しみがあります。

ホウネンエビの生態と寿命に関するまとめ

ホウネンエビは節足動物門甲殻亜門鰓脚鋼サルソストラカ亜鋼無甲目に分類される小型の動物。

水田に生息しているが、その姿を確認することは難しい。

卵が乾燥に強い為、子供の科学雑誌の教材などで、オバケエビの名前で使われている。

寿命は1か月半ほど。

(ライター ナオ)