ベニクラゲの特徴と生態
ベニクラゲはヒドロ虫鋼に属するクラゲの一種。
世界中の熱帯から温帯の海域に分布していて、日本には少なくとも3種類が生息しています。
和歌山県白浜町や鹿児島県に分布しているクラゲにはニホンベニクラゲという名前がついているものもいます。
ベニクラゲ類は直径4~10㎜程の小さなクラゲ。
消化器が透けて見え、赤色をしている種もいます。
傘の形をしていて、若い個体は縁に沿って8本の触手を持っていますが、成熟すると数百本もの触手に増え、その根元には赤色の眼点があります。
受精卵はプラヌラという幼生になり、それが岩など海底の生物に付着して細い枝状のポリプを伸ばします
ポリプにはクラゲの若い個体が出来、それは分離していって、幼クラゲとなります。
幼クラゲは数週間ほどで成長し、成熟して親クラゲになり、再び繁殖しますが、それとは別に、自分自身の衰えた体は肉団子状に小さくなり、再びポリプになり、若い個体を分離し・・・・という元のサイクルを繰り返します。成熟に要する期間は種によって様々ですが、水温に依存すると言われていて、20℃では25~30日、22℃では18~22日ほど。
通常のクラゲは産卵後は溶けて死んでいくのですが、ベニクラゲは永遠とそのサイクルを繰り返し続けるのです。
また、老化だけでなく、意図的に傷つけて、普通なら死んでしまうような場合でも同じ現象が起こるのだそう。
つまり、ベニクラゲが死ぬのは他の個体に捕食されてしまった時だけということになります。
ベニクラゲの寿命
ベニクラゲの寿命は、論理的には不老不死ということになります。
衰えないわけではなく、衰えた個体が再び若返るという現象が起こるということです。
腔腸動物において、このような現象や寿命が見られることは、とりわけ珍しいことではないようで、他の大多数の種でも老化や寿命はないだろうと考えられているのだそうです。
恐るべきクラゲ、恐るべき腔腸動物!!
ベニクラゲと人間の関わり
ベニクラゲの若返りのメカニズムはまだ詳しくわかってはいません。
しかし、遺伝子的に人間と遠くないベニクラゲは、人間の若返りのヒントにもなるのではないかと、研究が進められています。
実際に京都大学での研究では2012年時点で、既に10回は個体を人工的に若返らせることに成功したと報告されています。
この研究が進めば、癌の治療や人間の若返りに関しても何か役立つようなことが起こるかもしれません。
フィクションの世界では既にベニクラゲの細胞から作られたという、若返りの薬を使った殺人事件や物語が展開されていたり、テレビドラマの世界では研究者が実際のドラマのワンシーンに登場する場面もあったのだとか。
マスコミで取り上げられ一時、急激に有名になったベニクラゲは世界最大級の水族館である海遊館でも展示され、話題を呼びました。
現在では海遊館だけでなく、他の水族館でベニクラゲを展示しているところもあるようです。
また、モニターなどを使ってその不老不死の仕組みを詳しく説明してくれる水族館もあります。
個人的に、興味が沸いて、ベニクラゲを飼育したいという人も増えたようですが、ベニクラゲの販売は基本的にどこでも行っておらず、個人での飼育は残念ながらできないようです。
ベニクラゲの生態と寿命に関するまとめ
ベニクラゲはヒドロ虫鋼に属するクラゲの一種。
世界中の熱帯から温帯の海域に分布していて、日本には少なくとも3種類生息している。
和歌山県白浜町などの海岸にはニホンベニクラゲが生息している。
ベニクラゲの寿命は、論理的には不老不死。幼体から成体のサイクルを永遠と繰り返す。
ベニクラゲの死は捕食されることによって起こるのみ。
(ライター ナオ)