みなさんは「ワレカラ」という生き物を知っていますか?
きっと知らない人も多いと思いますし、名前からはどんな生き物なのかすら想像がつかないですよね。
何となく、枯れ木とか割れ物みたいなイメージが…。
今回はそんな謎の生き物、ワレカラについて紹介していきたいと思います。
ワレカラってどんな生き物?
ワレカラは海中の海藻などの上で暮らしている小さな生き物です。
まるでやせ型のカマキリのような、またはナナフシのような虫っぽい見た目ですが、虫ではなくて甲殻類の仲間なんです。
甲殻類ということは、エビやカニの親戚ということですね。
見た目は完全に虫なので、まったく連想できませんが…。
名前の由来は「割れ殻」からきています。
昔はアマモなどの海草を燃やして食塩を作っていたのですが、この時の海草にも当然ワレカラがくっついていますよね。
海草と一緒に焼かれたワレカラの殻が割れてはじけ飛ぶ姿から、その名前がついたと言われているのです。
ワレカラって、はじけるんですね。
エビやカニの仲間なら、焼いている間とても香ばしくて良い香りがしそうです。
大きさは数ミリから数センチととても小さく、ぴったりと海藻などにくっついているので見つけるのは困難です。
移動するときはシャクトリムシのように動くのでわかりやすいですが、その姿はやはり虫そのもの。
和歌にも使われているワレカラ
現代ではワレカラを知っている人は多くありませんが、実は平安時代の和歌によく登場しているとういことを知っていましたか?
ワレカラ=「我から(自分から)」という掛け詞になるため、好んで和歌に使われたそうです。
なぜワレカラは和歌を詠むような貴族にまで知られていたのでしょうか。
昔は今ほど丁寧に汚れ等を落として調理していたわけではありませんから、当然、わかめなどの海藻を料理として出した時点でワレカラがくっついていることもあるわけです。
特に日本では海藻がよく食べられていたので、目にする頻度が多かったのではないでしょうか。
現在でも、ものによってはヒジキやわかめの中にひっそりと混じっていることもあるそうですよ。
ワレカラって食べられる?
ワレカラはエビやカニの仲間ですから、食べられるのかどうかが気になりますね。
甲殻類なら、けっこう美味しいのでは?
でもまずは食べても平気なのかどうかという点から。
もし毒なんかあったら大変ですからね。
ワレカラは無害で食べても全然平気です。
昔の人の言葉に、「ワレカラ食わぬ上人なし」というものがあります。
これには、殺生をしてはいけないとされている上人(偉いお坊さん)でも、わかめなんかを食べる時に一緒に食べちゃってるんでしょ?という皮肉めいた意味が込められています。
海藻を食べているなら、知らず知らずのうちにワレカラを食べているのも当然ってことですね。
先ほども少し触れたように、現代でも海産物の中に混入していることはありますので、意識せず食べてしまったとしても全く害はありません。
ただし、甲殻類アレルギーのある人は注意が必要です。
気付かずに食べてしまって、アレルギー反応が出てしまう場合があります。
そういう人は、ワレカラがいないか丁寧に確認してから調理したり食べたりするようにしてくださいね。
次にワレカラの食べ方についてですが…
食用ではありませんので、わざわざ調理して食べる人はほとんどいません。
よってレシピなども存在しません。
興味本位で食べてみた人の話によると、エビのような味がするそうです。
興味のある人は海で捕まえて、食べてみてください。
見た目が虫っぽいので、私は遠慮しておきます…。
ワレカラ まとめ
名前も、存在すらも知らなかった生き物が、大昔から人間の身近にいたなんて驚きですね。
もし浜辺で海藻が打ち上げられているのを見つけたら、ワレカラを探してみるのも楽しいかもしれません。
私も海に行ったときには、ワレカラ探しをしたいと思います。
(ライター名 もんぷち)