「キチキチキチキチ…」と音を立てながら飛ぶバッタ、「キチキチバッタ」。
家の庭や校庭、公園など様々な場所で見られるので、みなさんご存知ですよね。
しかし、「キチキチバッタ」というのは実はただの通称。
本当の名前は?生態は?
今回はそんなキチキチバッタについて、詳しくまとめて行きたいと思います。
キチキチバッタの生態
キチキチバッタは正式名称「ショウリョウバッタ」、日本に生息しているバッタの中では最大種であり、細長い体と長くとがった頭部が特徴的です。
ユーラシア大陸の熱帯から温帯にかけての地域に分布しており、日本でも北海道から沖縄まで全国で見ることができます。
主に背の低いイネ科の植物が生えた草原に生息していますが、適応力が高いため都市部でもよく見られますね。
体長はオスが約5㎝、メスは8~9㎝。
メスの方がかなり大きいです。
雌雄で大きさが極端に違うのも、キチキチバッタの特徴。
基本的には擬態色である緑色の個体が多いですが、中には茶褐色の個体もいます。
メスは白黒の帯模様が入ることも。
「キチキチキチ…」と鳴きながら飛び跳ねる姿が印象的ですが、これはオスの成虫だけの特徴で、飛行時に前後の翅が打ち合わさる事によって音が鳴ります。
音が鳴るのがメスじゃなくて良かった…。
だって、巨大なメスがキチキチ言いながらこちらに飛んで来たら、恐怖じゃないですか?
メスは飛ぶことすら稀なようなので、一安心。
食性は植物食で、主にイネ科の植物を餌としています。
もしも飼育しようとするならば、採集場所に生えているイネ科の植物を餌にするのがいいでしょう。
また、飼育下ではリンゴなどの果物を与えることもあるようです。
キチキチバッタの名前の由来や様々な呼び方
キチキチバッタには、じつに様々な呼び名が存在します。
ここからは、そんな呼び名の紹介と、それぞれの由来についてまとめていきたいと思います。
ショウリョウバッタ
正式名称でもあるショウリョウバッタという名前。
漢字では「精霊飛蝗」と書きます。
この名前は、旧盆(=精霊祭)の頃に姿を見せ、かつ精霊流しの精霊船に似ていることが由来だと言われています。
ショウジョウバッタ
「ショウリョウバッタ」という正式名称を覚え間違えたのか?という感じのこちらの名前ですが、じつはこれにもきちんとした由来があります。
「ショウジョウ=霄壤」とは「天と地ほどの大きな差がある」という意味。
キチキチバッタはオスとメスにかなりの差があるため、「霄壤飛蝗」と呼ばれるようになったそうです。
キチキチバッタ
この俗称は言うまでもなく、オスが「キチキチ」という音を出して飛ぶことに由来します。
地域によっては、「キチキチバッタ」ではなく「チキチキバッタ」と呼ぶところもあるそうです。
コメツキバッタ
キチキチバッタのメスを捕まえたとき、後足を揃えて持つと、まるで米をついているように体を前後に振ることから付けられた名前です。
同じ理由から、「ハタオリバッタ」と呼ばれることもあります。
様々な呼び方がありますから、ひょっとしたら違う種類のバッタだと思っていた人もいるのではないでしょうか。
かく言う私も、ショウリョウバッタやコメツキバッタは、全く別のバッタだと思っていました…。
キチキチバッタについてのまとめ
キチキチバッタによく似ているバッタに、「オンブバッタ」や「ショウリョウバッタモドキ」がいます。
これらのバッタと見分けるコツは、とにかく大きさを見ることです。
キチキチバッタは大型のバッタですが、オンブバッタなどは大きなメスでも5㎝以下という小型のバッタ。
そして、キチキチバッタはショウリョウバッタモドキと比べて足長いのが特徴です。
みなさんもキチキチバッタを見かけたら、よく観察してみてくださいね。
(ライター もんぷち)