ウミガメは海を泳ぎながら深い瞑想をしており、呼吸は主に腹式呼吸を行っていると言われています。
というのは冗談ですが、ウミガメはリクガメと違い、一生の殆どを海の中で過ごす生物です。
ウミガメの種類
爬虫網カメ目ウミガメ科は、5属6種とオサガメ科1属1種で構成されています。
日本の海岸で産卵が見られるのは、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ。いずれも列島の南西の海岸や沖縄諸島、八重島諸島、小笠原諸島などの砂浜です。
アカウミガメ属アカウミガメ
外洋性のウミガメです。広い海域に生息するとみられ、主な産卵場所はアメリカ東海岸、ブラジル、南アフリカやギリシアなど広域。
日本では九州や四国などの砂浜で産卵します。
体色は赤褐色で頭も大きい。甲羅も厚みがありがっしりしています。
アオウミガメ属アオウミガメ
アオウミガメ属にはアオウミガメとクロウミガメの2種がいます。
アオウミガメ属の特色は草食なこと。他のウミガメは雑食です。
コスタリカやハワイ諸島など、産卵場所は点在しています。
日本では沖縄諸島や小笠原諸島で産卵が確認されています。
沿岸部に生息しています。体色は濃い緑色。
クロウミガメは東太平洋に生息します。アオウミガメとよく似た外見ですね。
タイマイ属タイマイ
熱帯の海域に生息するウミガメ。40㎝ほどに成長すると沿岸で生活します。
産卵はカリブ海やミクロネシアなどで、珊瑚礁のある海域に生息しています。日本での産卵は屋久島などで見られるが、多くはありません。
ヒメウミガメ属はケンプヒメウミガメとヒメウミガメの2種。
ケンプウミガメはカリブ海やメキシコ沿岸で産卵する、甲羅の丸いウミガメです。
ヒメウミガメは、インド洋や大西洋などに生息しています。大きさは70㎝くらい。沿岸性。
オサガメ科オサガメ属のオサガメは、オサガメ1種のみの独立した種です。
甲羅に特徴があり、他のウミガメと異なる外見をしています。
カメの甲羅は背甲といわれ背中の皮膚が硬化したものですが、その背甲がしっかりしていません。
そのため見た目は大きな魚かアシカのように見えます。
皮膚は黒く、全体的に平たく流線的な体つきです。
泳ぐのは速く主に熱帯に生息しますが、高緯度の海域でも見つかることがあるそうです。
ウミガメの生態
ウミガメは卵生です。産卵時期は桜前線のように北上します。
5月頃になると日本の南の島々でウミガメの産卵が確認され始め、北限と思われる砂浜まで上陸します。
6~8月くらいに日本での産卵は終了するようです。砂浜の温度により孵化にかかる時間が異なりますが、おおよそ40~50日で孵化します。
子ガメたちはわずかな光を頼りに海へ這うように移動し、約2日間餌もないまま泳いで海に慣れていきます。
海に入った子供のウミガメに関しては40㎝くらいになった個体しか確認例がないため、子供のカメがどのように生きのびているのか、まだわかっていません。
ウミガメとリクガメの違い、何故陸に産卵するのか
リクガメは頭と手脚を引っ込めることが出来ますが、ウミガメの場合、手は泳ぐために大きく発達しており頭や四肢をしまうことはありません。
背甲からはみ出てしまいます。
海に生息する生物は、塩化ナトリウムを排出し体内の浸透圧を調整する塩類腺という器官をもっています。
体内の水分量と塩分量を適切に保つためです。
ウミガメの場合、眼の涙腺が塩類腺に変化しています。カメが海に生息するためには必要不可欠な仕組みです。
ウミガメが上陸するのは産卵時のみです。
わざわざ陸に産卵するのは、卵を孵化させる為には酸素が必要だからです。
卵は殻で覆われ中には子ガメの為に必要な栄養が入っており、酸素を取り入れる為の小さな孔が空いています。卵の中で、外に出られる程に子ガメを育てる為には海中の酸素では足りないので、海から出て砂浜に穴を掘り産卵するのです。
ウミガメの呼吸方法
ウミガメは肺呼吸です。
回遊中、時折顔を出して酸素を取り入れます。
水族館では比較的上の方を泳いでいる様子を見た記憶があります。
ウミガメは爬虫類の一種でもあるので、皮膚呼吸や口腔、喉の粘膜などでも呼吸をしています。
それほど頻繁に酸素を吸いに顔を出す必要はありません。
陸上でウミガメの呼吸が見られるのは産卵の時です。
ゆっくり砂浜を踏みしめながら歩を進め、数歩進むと立ち止まってから鼻から長く大きく息を吐きます。
何となく体に負担がかかっているようにも見受けられますが、ウミガメの陸上での呼吸としては普通です。
それからまた数歩ずつ歩き、大きい呼吸をします。呼吸の際に、口元から音が出ることがあるようですが、ウミガメは鳴き声を出しません。
空気が漏れたものと考えられます。
海の中で泳いでいる方が楽に見えますが、風格がある呼吸です。
こうしてみるとウミガメの呼吸は特殊性を持つように思います。
ウミガメは産卵の為に陸で何とか呼吸をしているのでしょうか?出産は産む方も産まれる方も命がけです。
ウミガメと人間
陸から海に入ったウミガメもすでに絶滅した種がいるとされ、現存する種は多くはありません。
日本列島で産卵行動が見られるのは貴重なことです。
海洋を中心として世界地図を見てみると、ウミガメにとって日本列島は好位置にあるのでしょうね。
謎が多いウミガメですが、よく分からないものは大切にした方がいいかも知れません。虐めたりしたらだめですよ。
(ライター:おもち)