子供たちのあこがれの的、カブトムシ。
大人になってもカブトムシを見ると、どこかノスタルジックな気持ちになってしまうものです。
夏休みも間近、カブトムシについてみました。
カブトムシの生態
カブトムシは日本全土に生息しています。
1500m以下の山地や平地の広葉樹林で多く見られ、オスは30~54㎜、メスは30~52㎜程です。
夜行性で、昼間は樹の根元の腐植土や枯れ葉の下で身を潜めていますが、日が暮れてくると活発に活動します。
夜明け前になると再び地面にもぐるという生活です。
エサは主に広葉樹の樹液なのですが、時には腐った果実の汁を吸うこともあるようです。
樹液の出ているクヌギやコナラ、ミズナラ、カシ、クリを口器に艶のある毛に、毛細血管現象で樹液をしみこませて取り入れます。
カブトムシのメスの産卵は数回にわたって行われます。
腐植土や堆肥に潜り込み、1個ずつ卵を産んでいきます。
周りの土ごと、奥に押し込むという行為を数回繰り返し、合計で20~30個ほどの卵を産みます。
その大きさは2~3㎜程度で硬く楕円形をしています。
4~4.5㎜程になると丸く膨らみ、柔らかくなります。
冬で3齢虫を超えると4月の下旬~6月頃に糞や腐植土で蛹室を作り、底だ脱皮を繰り返します。
3回目の脱皮でようやく蛹になり、最後は足をばたつかせ殻を破って羽化します。
羽化後2週間は何も食べず、土の中で過ごしますが、夜の気温が20℃を上回る6~7月の蒸し暑く風のない夜になると一斉に地上に出て飛び立ち、9月頃まで生きます。
飼育下や条件の良いところでは卵の数も50個、1月頃まで長生きしたりもします。
里山とカブトムシの関係
日本ではもともと雑木林を中心とした里山という、民家や田畑に隣接した山が全国各地にありました。
人は暮らしの中で使う、薪や炭、しいたけの原木などを里山で調達し、永続的な利用を念頭に入れた木の伐採は、そこに調和のとれた空間を作り出していました。
カブトムシたちはそんな雑木林をとても好んでいて、現在でも日本各地に残ったり、再生された里山に多く生息しています。
クヌギやコナラの特徴や生息域
カブトムシたちが好む木として、真っ先にクヌギとコナラが挙げられます。
それは、これらの木の樹液を吸うためにボクトウガやコウモリガの幼虫などが集まってきて、樹液の出る傷口を作っていきます。
その傷口から流れる樹液を求めてカブトムシたちも集まってくるというわけ。
もともとカブトムシは自分では樹液を出すことはできないと言われてきました。
でも、最近の研究ではトリネコという木は、口器の上にあるクリプスという器官を使って自分で樹液を出しているのではないかと言われています。
クヌギは岩手県・山形の以南地域に自生していて、樹皮が暗い灰褐色の分厚いコルク状になっている全長が15~20mほどの木です。
成長が早く、10年ほどで木材として使えるようになるので、薪炭材として人為的に植えることもあります。
コナラは北海道から中国地方に自生していて、灰色の樹皮をしています。木炭の材料としてやしいたけの原木として、昔から使われてきました。
北海道のカブトムシ事情
北海道においては、30年前には極まれにカブトムシが見られる程度でしたが、今では北海道の全域で目撃情報があるほどになってきました。
その理由としてはペットとして飼っていたものが野生化したというのが有力な説のようです。
海外、国内問わずカブトムシをペットとして飼うことが流行り、その影響ということらしいのですが、様々な情報の中から、昭和43年頃には北海道にもカブトムシとクワガタの養殖場があったということがわかり、それらの影響も大きいことが想像されます。
カブトムシが採れる木のまとめ
人気者のカブトムシを採集するためにはクヌギとコナラを探すのが良いようです。
様々なトラップなどを使ってこの夏はぜひカブトムシを捕まえてみてください。
(ライター ナオ)