細くて長い立派な大顎をもったヘラクレスオオカブトを知らない人はいないでしょう。
彼らの戦いぶりは一体どんなものなのでしょうか。
その特徴と生態について詳しくお話します。
ヘラクレスオカブトの特徴と生態
ヘラクレスオオカブトは甲虫目コガネムシ科カブトムシ亜科に分類される昆虫で世界最大のカブトムシとして知られています。
中央アメリカから南アメリカの熱帯の雲霧林に断続的に分布します。
低地にも少なからず生息しますが大型になる亜種、また大型の個体は標高10000~20000mの高山帯にしか見られません。
最大個体は180㎜以上に達します。
オスの成虫は頭角・胸角が共に長く、体長と同寸の角を持つ個体もいます。
日本のカブトムシと同じくメスの成虫には角がありません。
胸角と頭角はそれぞれ胸部と頭部についていて頭角は上下に動かすことができます。
産地や亜種によって様々な形状の特徴があり、胸角の太い角突起の形状などで亜種を判断できますが中には山地の重なる亜種もあり、特徴の目立たない個体もいます。
前翅は黄褐色を帯びるのが特徴で、黒い斑点の大きさや数、また全体の色合いの濃さなど個体によって違いが見られます。
前翅は湿度が高いと黒褐色ですが湿度が下がると黄褐色が濃くなり、また油脂などの付着や栄養状態によっても黒褐色になります。
飼育下では温度が高くなったり、エサなどの付着による汚れ、高栄養なエサによる栄養状態の飽和により黒くなった状態になることが多いよう。
成虫は夜行性で昼夜を問わず広葉樹の樹皮や果実を自ら傷つけて樹液や果汁を吸汁していますがこれは休息も重ねていて飛翔などの活発な活動は夜間に限られます。
生息地の付近に灯火などの光源があればしばしば飛来します。
幼虫は朽ち木や腐葉土の中で1年半から2年程かけて成長しますが、飼育下では1年半で羽化することも多く、オスでは蛹化前に100gを超えることも珍しくありません。
羽化後は成熟まで3~6ヵ月程を要し樹液や腐った果実を好んでそれらを求めて地上を移動します。
青い前翅を持つヘラクレスオオカブト
翅の青い個体はブルーヘラクレスなどと珍重されてオークションなどで高値で取引されています。
ペアでの価格は凡そ40000円程度です。
ヘラクレスオオカブトの戦い方
ヘラクレスオオカブトは気が優しくて力持ち。相手の腹の下に胸角を入れ、頭角と挟んで持ち上げて投げるという方法で胸角の内側に生えている褐色の毛はすべり止めの役目を持ちます。
戦闘は2本の角で相手を挟み込んで投げ飛ばすといった豪快な戦い方をします。
ヘラクレス同士の戦いの場合には体が大きく角の長い方が有利です。
ヘラクレスオオカブトの飼育
ヘラクレスオオカブトを飼育するには温度管理が重要です。
外国産の昆虫の中では丈夫な方なので神経質になりすぎる必要はありませんが、暑すぎたり寒すぎたりという環境は避けた方が無難です。
理想はエアコン管理で20~28℃に保てるようにすることです。15℃を切ったり、30℃以上の環境になることが続くのは危険です。
産卵させるためには昆虫マットなどを敷く必要があり、ケースも大き目のものを用意します。
発酵の進んだ株とマットを固く詰めて上に何㎝か株とマットをふんわりと載せます。
そこに転倒防止用の止まり木や昆虫ゼリー、交尾が済んだメスを入れ何週間かしてマットを出してみると卵や幼虫が出てくるはずです。
ヘラクレスオオカブトの寿命は凡そ6か月程度と言われています。
国産のカブトムシよりは長く、長いものでは最大1年生きることもあると言われています。
ブリードさせようとするとその分体力は奪われますので寿命は短くなります。