カブトムシは、クワガタムシとともに子供たちの人気を二分する最もポピュラーな昆虫です。
しかし、40種近いクワガタムシが日本に棲息しているのに対して、国内に棲息するカブトムシの仲間は片手に収まる程度です。
今回は、日本に棲息するカブトムシの種類とその生態をみなさんにご紹介していきます。
日本に生息するカブトムシの種類
日本には、ヤマトカブトムシ、コカブトムシ、サイカブト、クロマルカブトの四種類が棲息しています。
それぞれの特徴について見ていきましょう。
ヤマトカブトムシ
みなさんが思い浮かべる「カブトムシ」はほぼ100%このヤマトカブトムシです。
先が二股になった大きく立派な角を持ち、体長は角を含めると最大で80mm以上にもなります。
成虫になると広葉樹の樹液を吸いますが、幼虫は腐葉土を食します。
大きく育てるコツは、幼虫時にたくさんの栄養を与えることだとか。
現在の最大記録は88mmです。
もう少し細かくヤマトカブトムシの種類を見て行くと
・沖縄本島に棲息するオキナワカブトや久米島に棲息するクメジマカブト
・口永良部島に棲息するツチヤカブト
・中国大陸に棲息するタイリクカブトムシ
・台湾に棲息するツノボソカブト
・タイに棲息するツノカブト・ミャンマーに棲息するカナモリカブト
など、その棲息地によって様々な亜種に分類されます。
コカブトムシ
実はコカブトムシも日本全国に生息している種類。
ではなぜあまり知られていないのかというと、個体数が少なく、また生息密度も少ないことからとても見つけにくいのです。
実は絶滅危惧種にもなっているんですよ。
体長は約25mmと小さく、黒っぽい色をしており、ぱっと見はカブトムシのトレードマークである角がないように見えます。
しかしオスには短いながらもちゃんと角があります。
沖縄県を除く日本全国に分布し、成虫は6~10月にかけて目にすることができます。
成虫はヤマトカブトムシと違って完全な肉食性であるため昆虫類の幼虫や死骸を食し、幼虫はクワガタムシやカミキリムシと同じように朽木を食べて成長します。
沖縄本島に棲息するオキナワコカブトムシ、奄美大島に棲息するアマミコカブトムシなどの亜種に分類されます。
サイカブト(タイワンカブト)
サイカブトは別名「タイワンカブト」とも呼ばれ、その名から分かるように、台湾からの物資に紛れて石垣島に上陸したものが分布を広げた外来種です。
現在は南西諸島全域に広く定着しており、南九州にも生息域を広げつつあるとの報告も見られます。
最近では南九州にも上陸しているのではないかという情報もあり、今後生息域が広がる可能性があります。
全長3.0~4.5cmとコカブトムシと比べると大きですが、それでもヤマトカブトムシと比べるとまだまだ小ぶりです。
幼虫はヤマトカブトムシと同じように腐葉土を食べて成長しますが、成虫になるとサトウキビの茎や実を食します。
大東諸島にヒサマツサイカブトという亜種が棲息しています。
クロマルルカブト(クロマルコガネ)
あれ、カブトじゃなくてコガネ?
そうなんです。
クロマルカブトは別名「クロマルコガネ」と呼ばれています。
それは何故かというと、コカブトムシと同じようにオスも目立ったツノをもたなツノをもたないのでコガネムシのようにしか見えないため。
ツノがないのにカブトムシなの? と思った方も多いかもしれませんが、その他のカブトムシの仲間と同じ「甲虫目カブトムシ亜目コガネムシ上科コガネムシ科カブトムシ亜科」に属しているため、カブトムシの仲間として分類されています。
日本ではトカラ列島の宝島でのみ生息の記録があります。
全長1.0~1.5cm前後とコカブトムシと比べてもさらに小ぶりで、言われなければ、いや言われてもカブトムシの仲間だとは思えないくらい地味な姿をしています。
日本と海外のカブトムシの違い
日本ではたったこれだけの種類しかいないのですが、世界的に見れば実に1000種類以上のカブトムシがいるのです。
海外産のカブトムシと言えば、「アトラス」「コーカサス」「ヘラクレス」などが有名ですね。
これらの種類に比べると日本のカブトムシは温和な性格をしている傾向にあります。
オス同士が角を使って戦い、相手を投げ飛ばすのは有名ですが、日本のカブトムシは決着がつくとそれ以上は攻撃や追跡をしません。
それに対してコーサカスやヘラクレスはとても好戦的な性格をしている個体が多く、他の昆虫や交尾を拒んだメスを殺してしまったりもします。
やはり日本のカブトムシは日本人と同じように平和主義のようですね。
ただし狭いケースの中で飼育していると、意図せず戦いの中で死んでしまうこともあるようです…。
複数のオスを同時に飼育する際には、広めのケースを用意してあげましょう。
日本のカブトムシの種類のまとめ
意外と日本にも4種類ものカブトムシがいることがわかりましたね。
もしかしたら今まで見かけていても、カブトムシだと認識していなかっただけって場合もあるかもしれません。
もし今後他の種類を見かけることがあったら、よく観察してみたいと思います。
(ライター名 まるお)