日本に生息しているクモの中でも、最も大きい種類のうちの一つと言われているのが「オオジョロウグモ」。
通常のジョロウグモでもそれなりの大きさがありますが、オオジョロウグモはその比ではないくらい巨大です。
クモが苦手な人なら、悲鳴を上げて逃げ出してしまうのではないでしょうか。
今回はそんなオオジョロウグモの生態や食性などについて、詳しく見ていきたいと思います。
オオジョロウグモってどんなクモ?
オオジョロウグモは日本最大級のクモで、南西諸島の奄美大島以南に生息し、6~10月にかけてみることが出来ます。
オスは体長7~10㎜、メスは35~50㎜程です。
とりあえず、全国的に広く生息しているようなクモじゃなくて良かった…。
体は細身で3〜5cmほどとそこまで大きくはありませんが、足を広げた大きさは最大でなんと20cmに達することも。
成人男性の手のひらの大きさをも超えるビッグサイズ。こんなクモと遭遇したら、大絶叫してしまいそうです。
頭胸部は金色で、腹部の地色は黒色、多数の黄色い縦筋があります。
面白いのは、大きいのはメスだけでオスはとても小さいということ。
オスは体長1cm程ととても小さく、メスと比べるとまるで子供、体色は赤色でメスとはまるで別種のような姿をしています。
しかもオスは自分で巣を作らず、メスが作った巣の隅で居候をしてメスが捕まえた餌のおこぼれをもらうという「ヒモ」のような生活をしています。
一つの巣に何匹ものオスが居候していることも多くあります。
しかしこの居候にも高いリスクが…。
繁殖の時になると、オス同士でメスをめぐって争いになることもあるようで、もし争いの途中に誤って糸に絡まってしまった場合、そのままメスの餌食になってしまうこともあるのです。
命がけの居候ですね。
オスが無事に交尾を果たしてメスとの産卵すると、玉子は春に孵化して脱皮を繰り返し、9~10月ころに成虫になっります。
オオジョロウグモは何を食べる?
オオジョロウグモは造網性のクモで、その蜘蛛の巣で大型の蝶や昆虫はもちろん、鳥がかかったり、そのクモの糸を使って作ったタモでは、20㎝程の魚なら掬うことが出来るというのだから、どれだけ丈夫な網を張っているのかが想像できます。
巣にかかった獲物であれば、例えスズメバチや蝉のような大きなものでも食べてしまいます。
小型のものだと獲物に毒を入れて麻痺させ、消化益を流し込むことによって体の内部を溶かし、すすり飲むという方法で捕食するようです。
上でも書いたように、例え同じ仲間のオスであっても、巣にかかれば餌とみなしてしまうのが恐ろしいところ。
更に成長しきった大型のものになると、運悪く巣にかかって抜け出せなくなった小鳥やコウモリすらも餌にします。
沖縄県糸満市でオオジョロウグモの巣にシジュウカラがかかったという記事がニュースになった一月後、今度は石垣島でコウモリがオオジョロウグモの巣にかかったというニュースが流れました。
コウモリは八重山などに生息するヤエヤマコキクガシラコウモリという小型のコウモリです。
オオジョロウグモは他のクモに比べるととても臆病な性格らしく、獲物が巣にかかっても、大型のものだと完全に動かなくなるまで巣から離れた場所でじっと見守っていることも多いらしいですが、蜘蛛の巣の糸は他のクモに比べて格段に丈夫なので、ちょっと弱っていたり絡まりどころが悪かったりしたら、鳥でさえも抜け出せなくなってしまうのですね。
流石のオオジョロウグモと言えども、コウモリやシジュウカラにはさぞかしびっくりしたことでしょう。
死体ならまだしも、生きた鳥をハントする昆虫なんて、ビックリですよね。
シジュウカラを捕食したオオジョロウグモには実は続きのお話があって・・・・・
シジュウカラをしっかり間食した数日後、今度は巣に葉っぱが引っかかってしまったのだそう。
オオジョロウグモはその葉を巣から除去しようと四苦八苦しているうちに、力尽きて死んでしまったそう。
もしかしたら、シジュウカラは神様からの産卵前の最後のご馳走!?だったのかもしれません。
オオジョロウグモって噛むの?
オオジョロウグモはわずかながらも、昆虫などを麻痺させるのには十分な毒を持っています。
しかしもし咬まれてしまっても、人間にはほとんど影響がない程度なので安心してください。
咬まれた時に少し痛みがあり、痛痒さが残る程度です。
益虫としてのオオジョロウグモ
このようにオオジョロウグモは様々な昆虫を捕食するので、益虫として扱われている半面、やはりクモ自体が気持ち悪いという人にとっては不快害虫となってしまいます。
また、餌が取れなければ頻繁に巣の場所を変えるので、人が通る場所に巣を作られたら嫌ですよね。
先ほども書いたようにクモの中でも丈夫な糸なので、引っかかってしまったら取り除くのが大変面倒です。
そういった場合、できれば殺さずに別の場所に移してやってください。
もしどうしてもオオジョロウグモがいるのが嫌だ、という人は、餌となる昆虫が寄ってこないように工夫をしましょう。
そうすれば餌がない場所から餌のある場所へと移動していきます。
オオジョロウグモと似ているクモ
大きさ的に似ているクモとしてはアシタカグモとオオハシリグモが挙げられます。
海外原産のアシタカグモは屋内にも侵入してくることが良く知られています。
人間たちの大嫌いなゴキブリの天敵として、益虫扱いされていることもあります。
分布が広く、福島県以南の本州、四国、九州に生息しています。
体長はメスが20~30㎜で、オスは10~25㎜。脚まで入れると100~130㎜になります。
全体的にやや扁平で、長い歩脚を左右に大きく広げて歩き回ります。
オオハシリグモもオジョロウグモに負けず大きいクモです。
巣を張らずに徘徊するクモで、沢などの水際でじっと待ち伏せし、水に潜って魚などを捕食します。
全身が細かい毛で覆われていて、空気を含むことが出来るので、水の中や水の上を上手に歩くことも出来るのです。
インドから熱帯アジア、フィリピン、沖縄に分布しています。
オオジョロウグモについてのまとめ
オオジョロウグモは、オスは体長7~10㎜、メスは35~50㎜程のクモで、春に孵化して脱皮を繰り返し、9~10月ころに成虫になって交尾後に産卵します。
オオジョロウグモの造る巣は強力で、シジュウカラや小型のコウモリなどもかかることもあります。
オオジョロウグモと同じくらいの大きさのクモにはオオハシリグモやアシタカグモなどがいます。
日本最大級のクモというだけあって、その生態や食性はなんともスケールの大きいものでしたね。(※メスに限る。オスは…いろんな意味で小さく情けない感じですね。)
もし万が一、これからオオジョロウグモが突然変異で巨大化をするようなことがあったなら、その時は人間すらも餌にされてしまうかもしれません。
(ライター もんぷち)