野原を彩るものと言えば色とりどりの花々、では海底を彩るものと言えば?
そう、イソギンチャクです。
カラフルでまるで海の中に咲く花のようなイソギンチャクには、思わず目を奪われてしまいますよね。
しかしイソギンチャクの仲間の中には、目だけではなく命までも奪ってしまうやつがいるのです…。
それが「マウイイワスナギンチャク」。
一体マウイイワスナギンチャクは何が危険なのでしょうか。
うっかり命を落としてしまわないために、今回はマウイイワスナギンチャクの危険性について紹介したいと思います。
マウイイワスナギンチャクとは?
マウイイワスナギンチャクは、その名の通りハワイのマウイ島に生息しているイワスナギンチャクの一種です。
単体の大きさは3.5cmほどと小さめですが、厚い共肉でつながった大きな群体を作ります。
浅いサンゴ礁にいることが多いので、ハワイのマウイ島でダイビングをした人なら見たことがあるかもしれませんね。
先ほどイソギンチャクは海の花のようだと書きましたが、このマウイイワスナギンチャクは一見すると石や岩のようにしか見えません。
ポリプが開いている時にはイソギンチャクっぽい、というか食虫植物のハエトリグサにちょっと似てる気がします。
綺麗だけど小さいしちょっと地味なので、一見するとあまり危険な感じはしませんね。
世界最強!マウイイワスナギンチャクの毒
こんな生き物の何が危険なの?と思わず言いたくなりますが、侮ってはいけません。
マウイイワスナギンチャクの武器、それは超強力な「毒」。
実はマウイイワスナギンチャク、生物が持つ中で最強の毒を持っているといわれているのです。
どのくらい強力な毒なのかというと、サスペンスやミステリーでよく登場する青酸カリの約8000倍。
あの、ちょっとコップのフチとかに塗っておくだけでコロッと人が死ぬ毒の8000倍ですよ!
そこら辺の毒蛇や毒グモなんて目じゃないくらい強い毒です。
毒の名前は「パリトキシン」。
パリトキシンは人間ならばわずか4マイクログラム程度で死に至るという猛毒です。
「4ミリ」ではありませんよ、「4マイクロ」です。
もう毒針にちょっと触れるだけでもアウト。
パリトキシンが体内に入ると、大体3時間~36時間後に症状が現れ始めます。
すぐに症状が出ないのもこの毒の怖いところ。
神経毒の一種なので、症状は激しい筋肉痛や体の痺れや麻痺から始まります。
そして血管を収縮させ赤血球を破壊する作用により呼吸困難、不整脈、腎不全などを起こし最悪の場合は死に至ります。
最強の毒のくせに、一瞬で死ぬのではなくてじわじわと真綿で首を締めるように殺しにかかってくるという残酷さ…。
マウイイワスナギンチャクの毒を避けるには?
マウイイワスナギンチャクの毒はその強さゆえに、群体の上を泳いだだけで筋肉痛などの症状が現れたという例もあるそうです。
マウイイワスナギンチャクを見つけても、絶対に近づかないようにしましょう。
うっかり踏んでしまっただけでも命の危険があります。
幸いにも生息域はマウイ島周辺のごく狭い範囲だけなので、マウイ島に行くときには注意してくださいね。
また、マウイイワスナギンチャクを餌にしている魚を食べるのもアウトです。
加熱したとしても毒性は弱まらないので、どんな形であれ食べてはいけません。
マウイイワスナギンチャク まとめ
マウイイワスナギンチャクの毒の特徴は即効性がないことです。
もしもマウイイワスナギンチャクに刺されたら、その時に症状が出ていなくても速やかに病院へ行ってください。
しかもパリトキシンには血清がないので、いかに早く治療をするかが生きるか死ぬかの分かれ目になります。
マウイイワスナギンチャクの事を知らないと、絶対に油断してしまいますよね。
今回得た知識をしっかりと覚えておいて、もしマウイ島に行くことがあればよく注意してダイビングなどを楽しんでくださいね。
(ライター名 もんぷち)