日本では食材としてのイメージが強いタコですが、近年ではペットとして飼育をする愛好者が増えてきています。

今回は、タコの生態をおさらいしながら、その飼育法をみなさんにご紹介していきます。

タコの生態

タコは頭足綱八腕目に属する動物の総称です。

「足」なのか「腕」なのか、なんともややこしい分類ですが、八本のうち最もうしろの一対が足、残りの三対が腕として使われているということが判っています。

タコといえば海の生き物というイメージが強いかと思いますが、その通り現在確認されているタコはすべてが海水棲で、淡水域に生息するタコは存在していません。

食性は肉食性で、エビやカニなどの甲殻類や貝類、魚類を捕食します。

 

高い知能を持っていることでも知られ、道具を用いることが確認された唯一の無脊椎動物でもあります。

高い記憶力を持っており、タコの寿命が人間と同程度ならば、海底に街ができるとさえ言われています。

 

また、タコは稀に自らの食腕を食べることもあり、有名な詩人・萩原朔太郎の「死なない蛸」の題材にもなっています。

萩原朔太郎の詩の中では、自らを食べつくしたタコは永遠の命を得ましたが、実際には自食したタコは数日中に死んでしまうことが殆どだそうです。

タコの種類

タコはペットとして定着していないため、海水魚を専門とするショップでも取り扱っているケースはあまり多くありません。

ショップでの購入が難しいとなれば、タコを飼育する際にはまず野生のタコを採取する必要が生じます。

日本近海では、マダコ、イイダコ、テナガダコ、ワモンダコ、ミズダコなどがポピュラーです。

 

最大三メートルにも達するミズダコは論外として、テナガダコやワモンダコも最大70cmを超える中型のタコですので、家庭で飼育されるのであれば、上記の中で最も小さなイイダコか、見かける機会の多いマダコがおすすめです。

 

ちなみに、日本でも見かけることのあるヒョウモンダコは、小型ながら強い毒性をもつ危険な生き物ですので、見つけても決して近寄らないように注意してください。

また、そんなヒョウモンダコですが、その綺麗な外見からペットとしての人気が高いため、ペットショップでも取り扱っていることがあります。

飼育する際には、絶対に脱走させないよう取り扱いには十分気をつけてください。

タコの飼い方

まずは飼育容器を用意します。

上に挙げたイイダコも最大30cm近くまで成長しますので、少なくとも60cm以上の横幅がある飼育容器を準備してください。

 

また、タコは脱走の名人でもありますので、しっかりとした蓋を用意する必要があります。

飼育水には人工海水を用います。

 

ほんのすこし濃い目の比重で作った方が、タコの調子が上がるようです

タコは水を激しく汚しますので、外部濾過など比較的強力な濾過装置を準備すると良いでしょう。

 

水質を安定させるために、プロテインスキマーを併用すると安心です。

タコは狭いところに潜る性質があるため、蛸壺や大きめの石など隠れ家となるものを設置してください。

 

餌は、クリルなどの乾燥エビやアサリなどの貝類、魚の切り身などをバランスよく与えます。

毎回食べ残しのない量を与え、水質の劣化を防ぐためにも食べ残しは速やかに取り除くようにしてください。

 

また、タコは低水温を好む生き物です。

適温は18℃前後となりますので、夏場にはクーラーもしくがエアコンによる温度管理が必須となります。

ペットとしてのタコの魅力

タコの飼育は決して容易とはいえず、多くの手間と維持費がかかります。

しかし高い知能をもつタコの飼育は、海水魚はもちろん、ほかの生き物では味わえない面白味があるといえます。

 

どんな身近な生き物でも、飼育することでしか知ることのできない新たな発見があるのですから、それが普段は海底に潜むタコとなれば尚更です。

みなさんもこれを機に、飼育に挑戦してみては如何でしょうか。

(ライター 國谷正明)