スカラベって聞いたことがある方もいらっしゃいますよね。
古代エジプト展などで装飾品やお守りとして、ゴージャスなスカラベのレプリカが展示されている事があります。
スカラベはいわゆるフンコロガシの仲間です。
古代エジプトでは、太陽神と同じようにスカラベが珍重されていたようです。
今回はそんなフンコロガシの仲間についてです。
フンを転がさないフンコロガシも多くいます。
ゴホンダイコクコガネのプロフィール
長い名前の甲虫です。ダイコクコガネ科の5本角が付いている、ダイコクコガネという虫です。
大きさは10㎜~16㎜ほど、成虫が見られるのは5月から10月くらいです。
真ん中の頭部の角が長いのがオスで、光沢があり一見すると確かに丸みのあるカブトムシのようですね。
しかし彼らは食糞性コガネムシの仲間です。
「糞虫」(クソ虫、フン虫などと言われる)であり、動物のフンや死体、吐き出したものなどを食べたり地面の下に持っていくという、特異な役割をしています。
フン虫って、何?
ゴホンダイコクコガネは、主に森の中や、牛などの動物のフンの中や周辺で見つかる事が多いようです。
フンだクソだと尾籠なことばを連発するのは心苦しい限りですが、フンは健康のバロメーターですからね。
フンを見ればそれを出した生き物の健康状態がよく分かります。
そんなわけで、つい眉をひそめてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、彼らは生態系の中でなくてはならない働きをしています。いわゆる専門職というものですね。
ゴホンダイコクコガネの育ち方
ゴホンダイコクコガネは、幼虫の頃から食糞しています。
主に獣糞です。
ぶれない虫、それがゴホンダイコクコガネです。
ゴホンダイコクコガネは地下にフンで球を作り、その中に産卵します。
幼虫はその中でフンを食べて成長します。
ゴホンダイコクコガネは比較的子育てに熱心で、幼虫が成長するまでにフンの補修をしたり、いろいろな世話をしているようです。
衝撃的な育ち方ですね。
なぜ食糞するのか
それにしても、なぜ餌としてフンを選んだのでしょうか。
ゴホンダイコクコガネが食するのは獣のフンです。
これは食糞性の虫の種によって異なるようで、サルのフンを食するフン虫もいるようです。
ちなみに分かりやすくフンを丸めて転がす「フンコロガシ」は、日本では3種ほどが確認されているようです。
彼らは森の奥の方にいる事が多く、地下にもぐってしまう事が多いので、はっきりした生態はまだ分からない事の方が多いようです。
それでも動物がいる限り、フンにも限りがないのですから、食糞というのは賢いような気も少ししますね。
特にフンを丸めたりせず、持っていける分をちぎって、そのままさっさと地下に引きずりこんでしまう事も多いようです。
フンを使ってなにをしているのか?ゴホンダイコクコガネの仕事
ゴホンダイコクコガネは、動物のフンを食べたり地面の下に持ち込んだりすることで、土地を改良し綺麗にする役目を担っています。
アブやハエが多くなり過ぎないように、コントロールしています。
その土地の環境を改善している、という事です。
非常に有益な仕事をしています。
ゴホンダイコクコガネは、森の中より牧場で見つかる事が多い種のようです。
ゴホンダイコクコガネと我々人間の歴史
牛や動物が飼育されているところでは、フン虫が活躍していますから、我々人間との関わりの歴史は長く深いはずです。
しかし、ゴホンダイコクコガネを含む「フン虫」についてはまだ研究が進んでいないのです。
これだけ人や環境の役に立っていながら、地下での作業が多く存在が地味であり、またフンにたかる虫という事が災いしたのでしょうか。
それでもコホンダイコクコガネは、見た目が美しい為か、虫が好きな人たちの間ではある一定の人気があるようです。
一般ウケは厳しいながらも、好きな人たちはとても魅了される、という感じでしょうか。
綺麗な個体だと、あるいはカブトムシより艶が良いように見えるほどです。
捕獲してきた時点では大抵フンが付いているので、もし見つけても素手ではなく、ピンセットなどを使用すると良いようです。
人知れずもくもくと仕事に打ち込むコホンダイコクコガネには、まだ分からない事が沢山あります。
これから研究が待たれる虫のひとつであるといっても、過言ではないでしょう。
(ライター おもち)