ドロバチは泥を使って巣をつくるスズメバチ科のハチのうちドロバチ亜科に分類されるトックリバチ以外のハチの事を言います。

トックリバチは同じドロバチ亜科ですがトックリバチという呼び方をされ、ドロバチとは分けられて考えられているようです。

日本で見かけるドロバチの種類と特徴、見分け方などについて詳しくお話しします。

ドロバチの特徴

ドロバチはハチ目ドロバチ科に分類されるハチで名前の通り泥を使ってツボのような固い巣をつくるハチです。

秋に巣をつくった後、エサとして捕らえたアオムシに麻酔をかけて生きたまま巣の中に貯蔵していきます。

 

その後巣に産卵し、巣の穴を塞ぎます。卵は孵化すると巣の中の幼虫をエサとして成長し、翌年の春には蛹になって羽化した後、巣を出ていきます。

昼行性で朝方や夜間は動かずにいて、活動の活発な時期は7~9月頃です。

ドロバチの巣の場所

ドロバチは主にベランダや軒下、床下などの家の外に巣をつくりますが場合によっては屋根裏や天井裏などの家の中にも巣をつくることがあります。

 

秋ごろ一度巣をつくると、親バチはいなくなりますが巣の中で育った幼虫が翌年の春に巣立ちます。

一度巣立ってしまった巣は再び使われることはありません。巣の入り口に穴が開いているかどうかで中に幼虫がいるのか判断することができます。

ドロバチの種類と見分け方

ミカドドロバチ

日本に最も多く生息するドロバチはミカドドロバチというドロバチです。

ミカドドロバチはヨーロッパや中国など広く分布し、日本では北海道から沖縄に生息しています。

 

体長は1㎝程度と小さく、黒と淡い黄色の縞模様が特徴です。

ミカドドロバチのオスは黄色の面積が広く、脚や触角に黄色が入っています。民家に竹筒等があるとそれを利用して巣をつくることもあります。

オオフタオビドロバチ

オオフタオビドロバチは北海道から沖縄まで分布しているハチで体長は10~21㎜ほど。

 

黒色で腹部に2本の黄色い帯を持っていて頭部、前胸部背板などに黄色班があります。

樹木に開いたカミキリムシの脱出孔や竹筒、木材の穴などに巣をつくります。成虫の活動期間は5~10月です。

ミカドドロバチとの見分け方は腹部の2本の線です。ミカドドロバチの場合は個体によって変化がありますが、2本以上あることが多く、

スズバチ

スズバチは黒色で胸部が細長く、腹部中央と胸部上部に橙色紋がある大きなトックリバチの仲間。

北海道から九州にかけて分布し、体長は18~30㎜です。

 

発生の時期は7~9月で巣は泥で鈴のような形のツボをつくることから名前がついたと言われています。

ミカドドロバチとの違いは大きさと胸部上部の橙色紋。全体的に細長い印象を受けるのも見分けるポイントになります。

エントツドロバチ

エントツドロバチは体長が20㎜前後で腹部に黄褐色の斑紋を持ち、腹部第2節が太くずんぐりとしているドロバチで単為生殖していると考えられています。

煙突のような筒を伸ばした巣をつくるのが特徴で、巣作りが終わると煙突を取り払ってしまいます。

 

体形の違いや大きさ巣の形状などでミカドドロバチと見分けることができます。

他にオデコフタオビドロバチやフタスジスズバチ、カバオビドロバチなどがいます。

ドロバチの危険性

ドロバチはもちろん針を持ちますが、その危険性は極めて低いと言われています。

性格的にかなり大人しく、単独性の強い種類のハチなので人間に直接的な被害をもたらすことはほとんどありません。

ただし、無理して駆除しようとすると刺されることもあるようです。

ドロバチのまとめ

ドロバチは比較的安全なハチで、一種芸術的ともいえるハチの巣作りを観察するには最適なハチかもしれません。

十分に注意してあなたもドロバチの巣作りを眺めてみては?

(ライター ナオ)