まるで細い糸が宙を舞っているかのように優雅に飛ぶイトトンボたち。

そのあまりにも戦災で華奢ないでたちに思わず目を奪われてしまいます。

 

今回はそんなイトトンボの中のクロイトトンボについて詳しくお話しします。

似ているイトトンボ達の見分け方についてもぜひ参考にしてみてください。

クロイトトンボの特徴と生態

クロイトトンボはイトトンボ科クロイトトンボ属クロイトトンボに分類される全体的に黒っぽいイトトンボ。

南西諸島以外の日本全域に生息していますが、北海道や東北地方では稀。平地の池や沼に生息しています。

 

体長はオスが27~36㎜、メスは29~38㎜でオスは成熟すると胸部に藤色の粉がふき、尾の先が水色になっているのが特徴です。

メスの腹部背面は黒色をしていて、緑色のものと青色の個体に分かれます。

オスは激しく縄張りを争い、羽化した個体は池の側の林や茂みに移動して4月中旬から10月初旬までよく見られます。

イトトンボ科のトンボとクロイトトンボの見分け方

アオモイトトンボとクロイトトンボの見分け方

アオモイトトンボは尾先が水色ですが、水色の部分はクロイトトンボと違って1節だけ。

つまり水色面の大きさが小さいということで見分けることができます

キイトトンボとクロイトトンボの見分け方

キイトトンボは名前の通り、体色が黄色をしているのですぐに見分けられます。日本では本州以南に生息していて、北海道では見ることができません。

モノサシトンボとクロイトトンボの見分け方

モノサシトンボはクロイトトンボよりも大型で、体長は39~50㎜程。眼と眼の間が大きく離れていて、複眼の内側に波上の斑紋があります。

アオイトトンボとクロイトトンボの見分け方

アオイトトンボはクロイトトンボと同じく白い粉を帯びますが、胸部背面が緑色の光沢を持ち、クロイトトンボよりもやや大型という点で見分けます。

ホソミオツネントンボとクロイトトンボの見分け方

ホソミオツネントンボは名前の通り、翅が細く、全身が水色をしています。

いずれもオスの場合、見分けることは可能ですがメスの場合はほとんど見分けることができません。

難しいクロイトトンボ属のトンボたちの見分け方

同じクロイトトンボ属に分類されるトンボたちは更に見分け方が難しくなります。

体長はほぼ同じ位ですから、細かな紋や筋の入り方で区別することになります。

クロイトトンボ属のムスジイトトンボ、セスジイトトンボ、オオイトトンボとクロイトトンボの見分け方についても説明します。

ムスジイトトンボとクロイトトンボの見分け方

ムスジイトトンボはクロイトトンボに非常によく似ているトンボですが違いは胸部背面の黒い筋に水色の小さな筋が入ることです。

またクロイトトンボは全体的に粉を吹いたようになりますが、ムスジイトトンボにそのような特徴はありません。

クロイトトンボ属の中では最も暖地に分布しているイトトンボで宮城県以南から南西諸島や沖縄などにかけて分布しています。

セスジイトトンボとクロイトトンボの見分け方

セスジイトトンボもまたクロイトトンボに形も分布も良く似ています。違いは複眼にある紋の大きさ。

セスジイトトンボはクロイトトンボよりも紋が大きくなっていて、胸部背面の黒い筋には水色の長い筋が入り、これが名前の由来にもなっています。

また、体に粉を吹かないのもククロイトトンボとの違いです。

オオイトトンボとクロイトトンボの見分け方

オオイトトンボは複眼に大きな紋が入るのが特徴です。また、大きな紋と紋を同じ水色でつないでいる点もクロイトトンボにはない特徴です。

分布は北海道から沖縄まででクロイトトンボと同じです。

(ライター ナオ)