秋頃、まだ暖かさの残る時期には街灯にガが寄ってくる様子を見ることができます。
比較的大型のガであるヤママユガ亜科は全国的にも見かけることの多い種です。
その仲間にはヒメヤママユという体の模様に特徴を持っているガがいます。
このヒメヤママユがどんなガで、他の種と何が違いどのように見分けることが可能なのか紹介していきます。
ヒメヤママユの生態
ヒメヤママユはヤママユガ科ヤママユガ亜科に分類され、クスサンなどを近縁種に持つガです。
ガの中でもヤママユ亜科は大型です。翅を広げた状態だと9センチから10センチにもなります。
成虫は主に秋、10月から11月にかけて出現率がピークに達します。
地域によっては早めの8月頃には現れ始めるようです。
そのため他のガに比べるとやや長い期間見られ、生息分布も広く日本でよく見かける一般的な大型のガという認識もされています。
しかし都市部のように自然の少ない環境はヒメヤママユに適しておらず絶滅の心配がされている地域もあります。
目玉模様が特徴的
ヒメヤママユの特徴と言えば翅に目玉のような模様があるということです。
春から初夏に現れるヒメヤママユの幼虫は全身が緑の体色をしており短い毛を密に生やしています。
これが少し成長して中齢幼虫となると背中に黒い線が入り毒々しい姿へと変身していきます。
成長過程に持つ鋭い刺には注意する必要があり、刺が皮膚に刺さると痛みが生じるだけでなく軽い丘疹や発赤も出てきます。
しかし深刻な問題とまではならずすぐに治ることが多いようです。ヤママユガ亜科は共通して蛹のときマユを作り、身を守ろうとします。
ヒメヤママユも同様に、落ち葉等を利用してマユを作るため樹木下において発見できることがあります。
こうして半年ほどかけて形態を変えながら成長し無事成虫になると目玉模様を持つ翅を見ることができるようになります。
この模様は前翅と後翅の両方にありますが常に翅を全開しているわけではないので、模様をはっきりと見るためには少し刺激を与えると良いでしょう。
こうすることでヒメヤママユは攻撃をされたと勘違いし、威嚇のために翅を広げてくれます。
大きな目玉の模様、翅を広げる行為は自分を大きな生き物だと錯覚させ危機から逃れようとする本能的な行動と言えます。
幅広い植物を食べる
幼虫期には植物の葉などを食べてエネルギーとしていきますがヒメヤママユはこの食草の種類が多いことが食性の特徴と言えます。
バラ科やスイカズラ科、カエデ科、ブナ科などこの他にも数多くの植物を食草としています。
ヒメヤママユが全国的に生息している理由はこうした食性が関係しているのです。
一つの植物にこだわらないため様々な環境でも生きることが可能となっています。
ヒメヤママユを見分ける方法
なかなかガの種類に詳しい人もいないと思います。
しかしヒメヤママユであれば判別も比較的容易です。
秋の夜に街灯へと集まるガの代表とも言える一種であり、さらに翅の目玉模様は特徴的です。
同じヤママユガ亜科の仲間でもあるヤママユにも似ていますが斑紋にもやや違いがあること、そしてこれと比べれば小型であることなどから両者の見分けも十分可能です。
さらに、ヤママユガ亜科は全体的に褐色であることが多いものの個体差もあり黄色味の強いものまで様々ですが、ヒメヤママユには頭部あたりの鱗毛が黒くなっている個体がいるのも他にはない特徴です。
ヒメヤママユを見分けるには翅に着目する
やはりヒメヤママユを判別する最もメジャーな方法としては翅の目玉模様です。
注意が必要なことに、体色は個体差が大きいためこれで判別することは難しいです。
同じヤママユガ亜科だと見た目の似た種もいますが、他のガと比べれば大きさで違いを確認することもできるでしょう。
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