ホシベニカミキリを見たことがありますか?名前の通り、紅色をして体には星のような斑紋のある美しいカミキリですが、実はよく似たカミキリたちも日本には多数存在しています。

ホシベニカミキリの特徴や見分け方について詳しくお話しします。

ホシベニカミキリの特徴と生態

ホシベニカミキリは中国、台湾、日本では本州、四国、九州、奄美の海岸部など温暖な地域で見られ、太平洋側では関東以西、日本海側では石川県以西に分布し、森林内や林縁に生息しています。

 

植樹はタブノキ、ホソバタブ、クスノキ、ヤブニッケイなどで主にタブに寄生していることが多いようです。

体長は18~25㎜程、体色は体自体の色は黒色ですが翅が赤色で上翅には左右非対称の黒斑があります。

 

脚や触角は黒色で成虫はクス科植物の葉や枝を食べ、幼虫はタブノキなどの生きた若い枝に穿孔して材を食べ、坑道を作りながら成長します。

通常は2年1世代で、成虫で越冬した後は再びタブノキを後食し、樹皮を楕円状に噛みきり、樹皮下に産卵します。

ホシベニカミキリの食害で木を枯らすまでには至りませんが、公園の樹木などに多数生息し、害虫として扱われています。

ホシベニカミキリの採集方法と飼育

ホシベニカミキリを採集するにはまずタブノキを見つけること。

タブノキの特徴は葉の大きさが8~15㎝の倒卵形。革質で硬く、表面は艶があって深緑色をしています。

 

花は4~6月頃にあまり目立たない黄緑色の花を咲かせます。

日本では東北地方から九州・沖縄の森林に分布しています。

 

タブノキの食痕を見つければその周辺にいる可能性は高くなります。

木を蹴るとポロポロと何匹が落ちてくる場合もありますし、ホシベニカミキリのつけた傷跡に他の昆虫たちが集まってきている場合もあるので、それを参考に探すのも一つの方法です。

飼育する時もタブノキの枝や葉を与えるようにします。

似ている他のカミキリムシたちとの違い

ベニカミキリムシ

翅の色が赤もしくは紅色という点でいうとベニカミキリ、ヘリグロベニカミキリ、アカハナカミキリ、ヒメスギカミキリ等が挙げられます。

ベニカミキリは北海道から九州まで広く生息していて、成虫はクリ、ガマヅミ、ハゼ、ネギなどの花の蜜を食べ、幼虫は竹類を食します。

木の皮を食べるカミキリが多い中、珍しいカミキリです。

 

体長は13~17㎜前胸部に5つの黒紋があるのが特徴ですが、翅全体に斑が広がっているわけではないのでホシベニカミキリと区別がつきますが稀に上翅に黒斑が入る場合もあるので、見つけた場所の植物で総合的に判断するのが良さそうです。

ヘリグロベニグロカミキリとの違い

ヘリグロベニグロカミキリは朝鮮半島、中国、日本では北海道から屋久島まで広く分布しています。

成虫はイタヤカエデやシロモジ、アブラチャン、ガクアジサイなどの植物を好み、幼虫はカエデ類、竹類などの中で育ちます。

 

体長は13~19㎜で、前胸部側縁に黒い縁取りがあり、ベニカミキリムシと同じく黒紋が並んでいます。

また前胸付近には黒色の短毛が密に生えていて、頭部、触角、脚は黒色をしています。上翅に一対の小さい黒紋が入りますが消失している個体もいます。

ベニカミキリムシとの違いは前胸部に入る黒い縁、ホシベニカミキリとの違いは上翅の斑紋の数

アカハナカミキリとの違い

アカハナカミキリは樺太、東アジア、日本では北海道から沖縄まで広く分布し、平地から山地に生息しています。

全身が茶色がかった赤色をしていますが前胸部が黒色の個体も見られます。

 

体長は12~22mほどで全身に黄灰色の短毛が生えていて前頭には1本の縦溝があり、触角は体よりも短く、第5~10節までは鋸歯状です。

幼虫はマツ、ハンノキ、クヌギなど枯れ木や伐採木を食べますが一部の広葉樹の衰弱木や倒木の樹皮下にも生息しています。

 

成虫はセリ科のシシウド、ユキノシタ科のノリウツギなどの花に集まります。

ホシベニカミキリとは上翅に斑紋がないこと、全体の色合いが茶色っぽいことで区別がつきます。

いかがでしたでしょうか。皆さんもぜひ赤いカミキリムシをみつけたらよく観察してみて下さいね。

(ライター ナオ)