トガリネズミという動物は日本でそれほど見る機会はありませんが、とても小さな哺乳類として注目されています。
その理由には体の小ささに加えて毒性を持っているということが関係しているようです。
ネズミとは異なる
「トガリネズミ」という名前が付けられてしまったことでネズミの1種と勘違いされがちですが、ハリネズミやモグラに近い哺乳類です。
ネズミであればげっ歯類というグループに属します。げっ歯類にはネズミの他、リスやヤマアラシなども含まれており、上下の発達した門歯を持つことが特徴です。
この門歯を酷使して生きていくことで徐々に削れてしまいますが、歯も伸び続けることで一定の長さを保てるようになっています。
トガリネズミの場合、げっ歯類とよく似ていますが鼻先が細長く尖っているという特徴を持っています。
分類上もネズミ目とは区別されトガリネズミ目に属する動物とされています。
日本にもトウキョウトガリネズミを代表にいくつかの種が生息しており、その他北アメリカやユーラシア大陸まで広い地域でトガリネズミを見つけることができます。
トガリネズミの生態
トガリネズミのうちトウキョウトガリネズミやコビトトガリネズミは哺乳類の中でも世界最小クラスに小さいと言われています。
手のひらには悠々と収まり、指の上にも全身が乗っかってしまうほどの小ささです。
しかし夜行性であることや食性などを見ても他の小型哺乳類とそれほど変わる点はありません。
主に昆虫やミミズなどを捕食します。
毒を持っている
非常に小さい動物で、見た目も可愛らしいですが毒を持っているトガリネズミも存在します。
なぜトガリネズミが毒を保有しているのかといったことは完全には解明されていませんが、食性が関係しているのではないかとも言われています。
トガリネズミは飢えに弱いことが分かっており、たった数時間何も食べなければ餓死をしてしまいます。
捕食したことによるエネルギーを体内に蓄えておくことができないからです。
そこで、捉えた餌をゆっくりと時間をかけて食べるため神経系の毒を使用します。
この毒はトガリネズミの唾液内に含まれており相手を麻痺させて動けなくさせます。
このことによって数日間食べ続け、トガリネズミも生き続けることができるのです。
この毒は北米に住むブラリナトガリネズミが保有していることで有名ですが、日本に生息するトウキョウトガリネズミにも毒性はあります。
毒の強さや応用
トガリネズミの持つ毒は小さな動物にとっては驚異的な強さで、ウサギを殺すことも可能とされています。
ネズミ程度の大きさであれば100頭をも超える数を死に至らせるほどです。
このように毒性があるのは哺乳類にしては珍しく、トガリネズミの毒に着目することで新たな薬ができるのではないかと研究もされているようです。
神経系の毒で麻痺させる効果があることから痛み止めや麻酔薬としての期待がされています。
トガリネズミが可愛いのは見た目だけ
ハムスターがペットとしても人気があるようにトガリネズミも小さく可愛く見えますが、実際には毒をもっていたりなど可愛くない性質も持っています。
毒の他にも強い臭みを放つこともできます。
この臭いは腹部から発せられており、天敵から襲われないようにしていると考えられます。
その効果があってか、トガリネズミの死体が動物に食べられることなく転がっている様子を見ることができます。
キツネやフクロウなど、気にせず捕食する者もいますが、放置された場合臭いに耐性のあるアリなどの餌になることが多いです。
こうした性質などからもトガリネズミの飼育も難しくペットとされることもないようです。
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