人間の顔の中心には鼻があり1対の鼻孔があります。

何故顔の真ん中付近に無防備な穴がふたつも開いているかというと、恐らく呼吸する為です。

 

しかしこの鼻の穴には異物が混入しやすいという弱点があります。

そんな人間の鼻腔に寄生するヒルがハナビルです。

 

骨休めに訪れた温泉街の周辺を散歩しながら見つけた名もないせせらぎ。

あるいはふと見かけた沢の水。

 

このような風景は人間の心身を休め元気にしてくれます。

しかしそこにはいろいろな生物が生息している可能性があります。

例えばハナビルです。登山やトレッキングでも沢というのは一見綺麗なだけに危険な場所でもあります。

ハナビルの生態など

ハナビルは人間を含む哺乳類の鼻腔等に寄生するヒルです。

熱帯のアジアなどに分布し、日本国内では南九州、奄美諸島など暖かい気候の土地に生息しています。

 

近年は本州南部などにも発見される事があるようです。

ヒルが体内に入り込み発症する疾患を内部蛭症と言いますが、国内では人間の体の内部に侵入し寄生して疾患を引き起こすヒルはハナビルのみだと言われています。

 

ハナビル(dinobdella ferox)は山間部の渓流にいます。

環形動物のヒルの一種で顎蛭目ヒルド科のヒルです。

 

漢字では「鼻蛭」です。顎蛭目というのは顎があるヒルという意味です。

ハナビルは小さく同定は難しいようですが、特徴は耳状突起がない事、顎板という上顎と下顎の部分に歯がない事、体には模様があまりない事などの様です。

 

ヒルの生態は不明瞭ですが、多くは卵生で雌雄同体と言われ、呼吸は皮膚呼吸です。

日本にいるヒルは約60種、世界には500種ほどが生息しているようです。

多くが淡水性です。人間に害をもたらすヒルは日本には3種いるとされます。

ハナビルの生息場所や寄生方法

ハナビルは山間部などの沢の水や清流やせせらぎの中で石の下などに潜んでいます。

初期は5~10mmくらいで体色は白っぽく円筒形です。目視では確認できなさそうです。

ハナビルは水棲の昆虫などを捕食して生きています。

動物や人間がきてその綺麗な水を飲むと、体内に侵入します。

 

哺乳類の体に入ったハナビルは体が10cmほどになるまで寄生します。

このくらいになるとハナビルの体は黒っぽくなるようです。

寄生するものにも種類がありますが、ハナビルは一度寄生すると取り除かない限りずっとそこにいます。

人間の鼻腔や鼻の構造について

人間の鼻の中には鼻腔という空洞があります。ハナビルが寄生するのも鼻にある空洞の鼻腔です。

鼻の真ん中には鼻中隔というものがあり、左右に分かれています。

 

ふたつある鼻から匂いを感じ取っているように思いますが、実はこの左右の鼻の穴は交代制で働く場合もあり、交代制鼻閉などと言われています。

この事により呼吸が楽になる、匂いが分かり易いなどのメリットがあると考えられています。

 

ふたつの鼻の穴もあながち無駄に開いているわけではないのです。

鼻の主な役割として、呼吸器官である肺との関係があります。

 

肺は鼻を通じて外気を取り込みます。

ですので、鼻から侵入する異物というのはそれが何かによって危険にもなります。

ハナビルに寄生された時の症状や対応について

ハナビルが鼻腔に寄生した場合の症状は、鼻血や多量の鼻汁、鼻内部の異物感などです。

ハナビルが寄生するのは人間の鼻腔ですが、ごく稀なケースとしてハナビルがさらに寄生先の奥まで侵入し、気道に寄生するという症例があるようです。

 

この場合の症状も声が枯れる、声が出にくいなどの比較的軽微なものですが、ハナビルは寄生し続けるタイプの生物なので、放って置くと呼吸困難を起こす可能性もあるようです。

何か変わった事をした覚えはないが声が出ない等の場合、まずは内科や耳鼻咽喉科を受診する事が必要です。

 

人間の鼻腔内に寄生し取り出されたハナビルは大きさ約3,5cm、幅は1,2cm程ともされています。

ここまで成長すると鼻腔からハナビルの先がちょろちょろ見え隠れする事もあり得ます。このような状況は考えるだけでも嫌でたまらないのです。

ハナビルの寄生による症状について

ハナビルは多くは綺麗な自然のあるところの渓流や沢の水を直接飲む事で人間の鼻腔内に侵入するようです。

しかもハナビルは、寄生に気付き取り除くまで寄生し続けます。

 

主な症状は鼻水が多量に出る、鼻の穴から出血する事などです。

出先でハナビルのようなものに寄生されてしまうという事は避けたいものですので、綺麗に見える水には何かが潜んでいないかよく気をつけましょう。

(ライター:おもち)