アニメ「ラスカル」でおなじみのアライグマは、可愛らしい見た目と仕草から、動物園でも人気者。
しかし現在では、ペットとして飼われていた個体が野生化し、日本国内にも定着しつつあるのです。
爆発的に国内での数を増やしたアライグマ…彼らには、増殖を阻む天敵などはいなかったのでしょうか?
今回はそんなアライグマの生態や、天敵に着目してみましょう!
アライグマの生態
アライグマは元々、北アメリカ原産の動物です。
しかし近年では、日本をはじめヨーロッパなどでも外来種として定着。
基本的な生息地は水辺近くの森林で、この辺は「ラスカル」のイメージ通りですね。
ただし様々な環境への適応力に優れているため、湿地、農耕地、海岸、都市部などにも生息が拡大中です。
体長は40~60㎝、尾の長さは20~40㎝。
体重は大体4~10kgほどです。
毛色や模様などもさることながら、大きさもタヌキとほぼ同じくらいですね。
一番見分けやすいポイントは「しっぽ」で、アライグマの方がタヌキに比べてしっぽが長く、縞模様があるのが特徴。
見かけた時にどっちかな?と思ったら、まずはしっぽを確認しましょう。
アニメの影響で、なんとなくフレンドリーで飼いやすい動物というイメージがありますが、それは間違いです。
じつはかなり警戒心が強く狂暴な性格をしており、かつしつけも難しい…全くペットには向いていない動物なのです。
おそらく、現在野生化している個体も、元をたどれば「思ったのと違った」などという理由でペットのアライグマを野に放ったのが原因なのではないでしょうか。
ラスカルも、最終的には森へと帰されますしね…。
このように、飼育するにはものすごく扱いにくい上に、脱走の名人でもあることや、繁殖力が強く放っておくとすぐに増える…という理由から、動物園ですらあまり飼育したがらないと言われるほど。
見た目の可愛らしいイメージだけで判断してはいけないのです。
アライグマの天敵
アライグマは生態系の頂点というわけではありませんから、それなりに天敵は存在するはずです。
なのになぜ、日本では爆発的にその数を増やしているのか…その点にも注目しながら、天敵について見ていきましょう。
まず、本来の生息地である北アメリカにおいては、アライグマの天敵はオオカミ、ピューマなどの大型肉食獣や、大型猛禽類などです。
いくらアライグマの気性が荒いとは言え、さすがにオオカミやピューマが相手では、勝てません。
また、駆除や毛皮目的で狩猟されることも多く、人間も彼らにとって大きな天敵の一つです。
それでは、日本国内において、アライグマの天敵となる生き物はいるのでしょうか。
その答えは、残念ながらNOです。
現在、国内に生息している大型肉食獣と言えばクマくらいですが、クマは雑食性なうえに植物食の傾向が強く、動物を襲って食べることはほとんどしません。
猛禽類もかなり大型のものでないとなかなかアライグマほどの獲物を襲うことはできないでしょうし、現在の日本では彼らの天敵となるような生き物はほぼいないと断言していいでしょう。
人間の手による捕獲・駆除なども行われていますが、それがかえって適度な「間引き」となってしまい、残った個体はより強く育ちガンガン繁殖するという悪循環もあるそうで…。
元々日本に生息しているタヌキやイタチと言った在来種とは、餌やねぐらを巡って競合関係にもあります。
しかし、アライグマは彼らに比べて圧倒的に力が上なため、争いによって餌や棲み家を奪われるのは、在来種の方なのです…。
天敵のいない日本では、これからますますアライグマが数を増やしていくことが予想され、様々な被害が引き起こされる可能性があるでしょう。
もしもニホンオオカミが生きていれば、アライグマはここまで勢力を伸ばさなかったかもしれませんね。
アライグマの天敵についてのまとめ
本来ならば、大型肉食獣などの天敵が存在するアライグマ。
しかし日本国内には、彼らの天敵となるような生き物は生息していません。
人間にとっては様々な被害をもたらす害獣ですが…アライグマにとって日本はとても快適な国なのかもしれませんね。
(ライター もんぷち)