コビトマングースという動物がいるそうです。和名から想像するに、小さいコビトのような姿のマングースなのでしょうか。
ごく常識的に考えて大きいコビトや中くらいのコビトという中途半端なコビトはいないように思いますし、とても小さく可愛いマングースに違いありません。
どんなマングースなのでしょうか。
マングースについて
マングースというと、コブラと対決するあの、毛の生えた茶系の動物の仲間なのでしょうね。
コブラについてはそこそこご存知でも、マングースについてはあまり知らないという方もいるのではないでしょうか。
マングースは食肉目の哺乳類であり、アジアやアフリカなど分布が広い動物のひとつです。
コビトマングースはマングース科のコビトマングース属の動物です。
コビトマングースの棲息地はアフリカ大陸の北東部にあるサバナ地帯という、乾燥し草丈は低くたまに樹木が少しあるようなところです。
主にコンゴやエチオピア、ケニアなどです。コブラと対決するマングースは大型種で、コビトマングースはまた異なる生態の動物です。
コビトマングースの外見の特徴
コビトマングースの見た目でわかる特徴は、マングースにしては体が小さい事です。
標準的なマングースは体重600g~1kg程度になり体長は20cm~40cmくらいになります。
コビトマングースの体の大きさは18cm~28cmほど、尻尾が14cm~19cmで体重は重くて350~500gです。
コビトマングースの体色は暗褐色で、尻尾はふさふさで毛は滑らかです。
鼻先が尖り気味で耳がちょっと大きいのが他のマングースと違う点です。
また、他のマングースは四肢のツメを引っ込める事ができますが、コビトマングースのツメは出たままです。
朝から昼にかけて活動し、餌を探します。
コビトマングースの生活について
コビトマングースはきわめて神経質な性質であり、人間に姿を見せる事は多くはありません。
巣穴の中で群れで棲息しているようです。この巣穴はアリ塚です。
多くはシロアリの仲間が作ったもので、コビトマングースが棲む穴もシロアリが開けたものだとされます。
通気性が良く、素早く逃げ込む事もできます。
コビトマングースの巣穴の下にはアリも棲んでおり、その他多くの生物も棲息しています。
巣穴の中に棲むトカゲの一種はコビトマングースの糞を食べて暮らしているという話もあります。
彼らは何となく同居しているわけではなく、それぞれの役割があるようです。
天敵となる猛禽類などがやってこないか見張る為、コビトマングースがアリ塚の上で見張りをしている様子も確認されています。
このような行動から、コビトマングースは知能が高いのではないかとも言われています。
加えて餌の捕獲にもちょっとした工夫をするのです。
コビトマングースの卵の割り方
コビトマングースは雑食のようですが、肉食傾向が強く色々なものを食べます。
鳥類の卵も食べるとされ、動物園などでコビトマングースに卵を与え食べる光景が見られる事もあります。
コビトマングースは卵を発見すると、前脚でちょいと持ってから最適な位置を定め、素早い動作で後ろに卵をほうり投げます。
コビトマングースの腹の下をくぐった卵はさらに後ろ脚の間をくぐり、後方の岩や石に当たって割れます。
コビトマングースはこのような動作で鳥の卵を割り、卵の黄身の部分を好んで食べます。
一連の動きはきわめて迅速に行われるので、実際に目視で見ていてもあっと言う間の出来事です。
このような行動がコビトマングースの生態の最大の特徴と言えるかも知れません。
コビトマングースは他にも小型の爬虫類や昆虫類、果実類も時折食べるとされます。
コビトマングースの繁殖形態と群れの関係
コビトマングースの出産は、サバンナに雨が降る雨季の頃だそうです。だいたい11月~5月頃のようです。
一度に4匹~6匹ほど出産します。
コビトマングースの群れは多くて15頭ほどとされ、その中で優位なメスがオスとペアになり出産します。
産後は群れにいる他のメスが交代で子育てをします。コビトマングースは他のマングースより群れの社会性が強いと言われています。
行動範囲が広いのも特徴です。群れの中の繁殖形態は協同繁殖と言われたりします。
人間から見ると、群れの中で強いメスとオスが繁殖し、それより弱い個体が子育てをするように見えるからです。
しかしこの子育てについてはまだ詳しい事は分からないようです。
群れに加わるそのほかのコビトマングースは、他の群れからやって来る事もあります。
コビトマングースの群れは緊密でありながら柔軟に機能するもののようです。
コビトマングースについて
コビトマングースはアフリカ大陸の砂漠に棲む、マングースの中では最小種です。
胴長できょとんとした表情に見えますが、鋭い爪を持ち、ヘビなどを食べられるように歯も33本から40本は具えています。
彼らの動作は俊敏で隙がなく、狡猾な印象すら与えるのです。
特に卵を後方に投げて割るという行動は不可解ですね。
なぜ前から後ろに投げなければならないのでしょうか。
単に殻を割って中身を食べるだけであれば、その辺の岩や石にぶつければよい気もします。
しかしそれではコビトマングースは卵の割れ方に納得せず、いかにして卵を割るのが最も食べやすく且つ効率的なのか、という事を研究し、鍛錬していたのかも知れません。
コビトマングースはマングースの中では寿命は長く、6年~8年だと言われています。
群れの仕組みや生活の仕方と何か関係があるのかも知れませんね。
(ライター:おもち)