緑が目に優しい季節になると姿をみかけるチョウたち。
いつ頃どんな蝶がどんなところに現れるのか、見分ける事ができれば楽しそうですね。
ミドリヒョウモンは漢字で「緑豹紋」と書きます。
ミドリヒョウモンの飛ぶ季節
ミドリヒョウモンはタテハチョウ科ミドリヒョウモン属の蝶です。
ミドリヒョウモンが見られる時期は一年に一度、5月末から10月くらいまでです。
9、10月になると平地にも現れてアザミやセイタカアワダチソウなどの草のあるところで吸蜜しています。
ミドリヒョウモンは蝶の姿になるとウツギの花やリョウブ、ネズミモチなどの花の蜜を吸い、幼虫の時期はスミレが食卓だといわれています。
ミドリヒョウモンの見た目の特徴と見分け方
ミドリヒョウモンは北海道から九州までほぼ全国に分布し、初夏になると山地や草地などで見かける蝶です。
翅を広げた開帳時の大きさは平均して5cmほど、前翅はオレンジ色に黒条があります。
ミドリヒョウモンのいちばん分かりやすい特徴はメスのミドリヒョウモンの後翅の裏側がうすい緑色な事、オスの胴体の腹部のあたりが緑色っぽい事です。
後翅の緑はかなり薄い色合いである事が多く、その日の天気によっては白っぽく光るように見えるかも知れません。
若緑のような色合いです。
ミドリヒョウモンはオスもメスも大きさはだいたい同じくらいですが、前翅の表側はオレンジ系の色です。
オスの方が色が濃く、オスの目印となる黒い線が4本くっきりしています。
メスの方が全体の色合いが淡い事が多く、前翅の黒い線がないか、はっきりせずに斑点があります。
吸蜜中など翅を畳んでいる時によく見えるのですが、後翅の裏のスジが他のタテハチョウよりくっきりしていて、緑の翅には白い模様があります。
ミドリヒョウモンは同じヒョウモンと呼ばれる蝶の中で最も見かける事が多い蝶です。
ミドリヒョウモンの求愛飛翔や産卵について
このような翅の表と裏の色の違いは、求愛時に役立つとされています。
ミドリヒョウモンの求愛時期は夏です。オレンジ色が濃いミドリヒョウモンのオスは、メスが翅のオレンジ色と緑色をひらひら見せながら飛翔していると後をつけるように飛びます。
ミドリヒョウモンのメスが逃げるように飛翔し、オスが前に出てきたり、それを繰り返すので、ミドリヒョウモンのメスの周囲をオスがぐるぐる回っているような構図になるようです。
樹の陰やコンクリートの壁の苔のあるところなど、わりとひっそりした、周囲にスミレのない箇所に産卵されます。
卵は薄い黄緑色で、ちょっと変わった形をしています。何かの果実のように見えます。
卵は孵化直前になると透き通り、中の幼虫の黒っぽい体が透けています。
産まれたてのミドリヒョウモンの幼虫は体色が白っぽく、頭の方が黒いようで白い毛のようなものが生えています。
大きさは約1.5mmです。餌を食べるようになるとミドリヒョウモンの幼虫の体色は徐々に黒ずんできます。
ミドリヒョウモンの夏眠と幼虫の成長
ミドリヒョウモンは盛夏になると休眠します、と言われています。
ミドリヒョウモンはよく見かける蝶なのですが、この夏眠の時季にどこでどのように過ごすのかは謎に包まれているようですよ。
涼しい山地で一休みしているのではないか、という説が有力のようです。
その後、平地にもたびたび姿を見せるようになったな、と思うともういません。
気温が下がってくると樹のところに卵を産み、孵化したばかりの1齢幼虫のまま飲まず食わすで越冬すると言われています。
越冬後のミドリヒョウモンの幼虫は黒く、ゲジゲジした姿なので毛虫のようです。
ミドリヒョウモンの幼虫は主としてスミレの花や葉などを食べて成長しますが、鉢植えのビオラも食べるようです。
脱皮を繰り返して蛹になり初夏に羽化し、蝶になります。終齢(5齢)幼虫になると体の大きさは4.5mmほどに大きくなります。
ミドリヒョウモンの蛹の色は白っぽく、突起があります。
蝶は蛹の期間を経て成体になる完全変態の昆虫です。
ミドリヒョウモンの蝶としての寿命
蝶が成虫の姿を見せるのは短い期間な気がしますが、ミドリヒョウモンの場合は初夏に羽化してから初秋まで姿を見る事ができますので、比較的長いように思えます。
タテハチョウ科の蝶の中には成虫の姿で越冬する種もいるそうですが、そういう場合は一年に2度発生する事が多く、一世代の蝶としてはミドリヒョウモンの寿命は長めのようです。
ミドリヒョウモンの特徴や見分け方
ミドリヒョウモンはオス、メスともにオレンジ色の翅に黒い模様がある一見よく見かける蝶ですが、メスの後翅はうっすらとした緑色に見えます。
見かける期間がやや長いのも特徴で、一度真夏に見かけなくなり、また現れた蝶はミドリヒョウモンの可能性があります。
(ライター:おもち)