ニハイチュウとは中生動物と呼ばれる多細胞動物の一つであり、タコやイカなどに寄生する生き物として知られています。

とても変わった生態をしており種類も豊富なため、今でも新種のニハイチュウが発見されています。

寄生する性質を持っていますが、寄生された場合どのような影響が出てくるのかといったことをまとめていきます。

中生動物としてのニハイチュウ

中生動物に分類することができますが、これはかつてニハイチュウが発見された時、原生動物ほど単細胞ではないものの後生動物ほど複雑な生態をしていない生物であるとのことから中間の中生動物として位置づけをされたことが原因です。

 

その後いくつか分類の難しい生物は中生動物とされてきましたが系統が明らかになることで中生動物という枠から外されていき、現代ではニハイチュウを含むわずかな種のみが中生動物として残ることになっています。

分類上は少数派であるといってもニハイチュウだけでも100を超える種類が存在しています。

ニハイチュウの特徴

多細胞動物ではありますがその中でも少数の細胞からできている動物です。

大きさは数ミリ程度かそれよりも小さく、ワーム状の形をしています。

 

細胞数が少ないため体内に内臓のような器官や組織はありません。

しかし頭足類の腎臓内に寄生することで複雑な生活形態を持っています。

 

無性生殖と有性生殖の両方を行うことができ、成長段階や生活環境によって行動が変わってきます。

総称としての「ニハイチュウ」を分類上「ニハイチュウ類」と呼びますが、無性生殖も有性生殖も行う性質、そして頭足類への寄生をする性質などから「菱形動物」と呼ぶこともあります。

タコからよく発見される

実はタコがニハイチュウに寄生されるということはそれほど珍しくありません。

ニハイチュウ自体日本の沿岸でも数十種類が発見されていてタコへの寄生率も非常に高くなっています。

 

しかもニハイチュウの種類が豊富なため同じタコの中に数種類のニハイチュウが寄生していることもあります。

解剖されることで確認ができ、腎臓内部にできる腎嚢胞に潜んでいます。

寄生されるとどのような症状が出るのか

人間の場合腎臓は体内の老廃物を排出し、血液を作る役割や血圧のバランスを整える効果もあります。

タコも同様に腎臓から尿を生成しています。

ニハイチュウがここに寄生しているとどうなってしまうのでしょうか。

 

実はタコにとってニハイチュウは害のある存在ではないと考えられています。

腎臓内の弱酸性の環境下でニハイチュウは生きていますが、このニハイチュウが寄生していることで尿の成分に変化があることが発見されており、不要な物質の排出が助けられていることが分かっています。

 

また明らかな悪影響なども見られないことからも無害とされています。

しかしニハイチュウが寄生していることによって頭足類にそれほど大きな利益があるとも言えないことから片利共生の関係であると見られています。

つまり、ニハイチュウにとってはタコ等に寄生することでメリットはあるものの寄生された側には何の影響もないということです。

ニハイチュウによる症状はほとんど見られない

ニハイチュウはタコやイカなど、頭足類に寄生する生物であり私たちが注意をする必要はありません。

寄生率も高く、そして日本では食する機会も多いタコですが、ニハイチュウに寄生されているタコを食べても特に問題はありません。

 

さらにタコ自身の悪影響もありません。

しかし別の寄生虫がいる可能性があるため火を通すなどの処理をすることで安心して食べることができるでしょう。

ニハイチュウはまだまだ謎も多く、新種も発見され続けている不思議な生物なのです。

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