「しらす」も「じゃこ」も小さな白い丸ごと食べられる魚です。
しらすはじゃこより柔らかい気がしますね。どう違うのでしょうか。
しらすがじゃこになるまで
しらすはイワシの稚魚を新鮮なうちに大きな釜で茹でたものです。
釜揚げしらす、と呼ばれる事もあります。
茹でたしらすを少し乾燥させたものは「しらす干し」で、更に乾燥させたものが「じゃこ」です。もとは同じ原料のようですよ。
しらすの水分量とは
やや乾燥させた「しらす」の水分量はおよそ75%から90%、「じゃこ」になると35%から50%ほどたそうです。
明確な基準は特になく、販売メーカーによっても地域によってもちょっとずつ違います。
中間の「しらす干し」の水分量は65%ほどだそうです。
しらすになる魚は何か
しらすの水揚高は、兵庫県、静岡県、愛知県の順です。
静岡県のしらす干しの生産量は日本一であるそうです。
しらすを茹で、盛んに干しているのが静岡県である、という事でしょう。
しらすはイワシの稚魚を加工したものです。多くはカタクチイワシの稚魚です。
しらすになるカタクチイワシの稚魚の大きさは、20mm~30mmほどです。
成長すると体は50mmほどになり「カエリ」「カエリイワシ」などと呼ばれます。もっと成長すると「イワシ」になります。
しらすとじゃこ製造法
自分で作る事は不可能でも、しらすが具体的にどのように製造されるのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
水揚げされたしらすは、1、2回洗浄され、釜茹でされます。なぜ急に「釜」が登場するのか気になる方もいるかも知れませんが、本当に釜で茹でているという訳ではありません。
しらすを茹でるのに適した鍋で100度ほどの高温で約2分、鮮度を落とさずにさっと茹でるのです。
しらすの茹で具合は重要です。その日に水揚げされたしらすの状態を瞬時に見極める、熟練の技といっても良いでしょう。
最終的に茹であがったしらすに不純物がないか確認し、しらすとなります。
じゃこは茹で上げてから乾燥機に入ります。それから天日干しされます。このような方法はメーカーにより様々です。
しらすの旬
カタクチイワシの稚魚は、春から秋にかけて水揚げされます。
日本近海では主に太平洋側で獲れる魚類です。春先のカタクチイワシの稚魚は脂肪が多く、ふっくらしているのが特長で、秋になると身が締まった感じになるそうです。
カタクチイワシの稚魚の餌は動物性プランクトンです。
黒潮と赤潮の潮目ができる海域では餌が豊富で、良い漁場になります。
汽水域と呼ばれる、淡水と海水が混じる海域も動物性プランクトンが豊富なため、そのような海域も良い漁場とされます。
しらすの漁は「パッチ網法」で行われる事が多いです。
二隻の漁船で中層付近のイワシの群れを網で囲い込む漁法です。
しらすになる前の稚魚について
しらすのひとつひとつを良くみると、頭の方が丸いと思います。
これはカタクチイワシの稚魚の特徴です。稚魚はとても小さいので、水揚げの際に他の水棲生物が混入する事があります。
多くはマイワシの稚魚やウルメイワシの稚魚です。
一般に「しらす」になるカタクチイワシの稚魚の次によく一緒に獲れるのは、マイワシの稚魚です。
カタクチイワシの稚魚と実によく似た白い顎が出た魚ですが、違いは下顎が出ており頭がちょっと角ばっている事です。
しらすの選び方やじゃこの栄養
しらすは20mm~30mmほどの、ふっくらした白い揃ったものが良品とされます。
しらすには多くのカルシウムが含まれています。「じゃこ」はしらすとちょっと見た目が異なります。
バラツキがある事が多いです。色も白くはなく、「乾燥させた小さい魚類」という感じです。
獲れた時期や干した期間の長短などで、大きさや見た目は変わりますが品質には特に問題ありません。
じゃこも丸ごと食べられるので、カルシウムが豊富です。
また、ビタミンDも豊富に含まれています。カルシウムと一緒に摂取する事で健康効果が期待できるといわれているビタミンDですが、じゃこ大さじ2杯分で一日のビタミンD摂取量がとれるそうですよ。塩分が気になる方は、調味料を使わずに調理すればよいでしょう。
しらすとじゃこの違い
「しらす」と「じゃこ」の違いは乾燥具合です。
イワシ類などの稚魚を加工した食品が「しらす」あるいは「じゃこ」です。
関東地方ではしらすの事を「しらす干し」と呼び、「じゃこ」を「ちりめんじゃこ」と呼ぶのは関西地方に多いという話もあるようですよ。
海沿いの地域では獲れる稚魚を「しらす」と呼び、茹でて干したものを「しらす干し」と呼んだりします。
しらすは「白子」、じゃこは「雑魚」と書かれる事もあります。
皆さんのお住まいの地域では何と呼ばれているでしょうか?
(ライター:おもち)