ハマチはスズキ目アジ科ブリ属の魚類です。ブリ属となっていますね。
ハマチはブリという標準和名の硬骨魚類です。漢字では「鰤」です。
「ハマチは出世魚だ」というのは一度は聞いた事があるでしょう。
確かブリになると大きくなり、脂ものっている魚のはず、と思いきや、日本各地でハマチの認識はだいぶ違うみたいです。
ハマチとブリ
おおまかに分けると関東では「ワカシ」「イナダ」「ワラサ」その次に「ブリ」と呼ばれる事が多いようです。
ハマチが出てきませんね。関西では「ツバス」「ハマチ」「メジロ」「ブリ」などと呼ばれているようで、ハマチとブリが出てきます。
ハマチの稚魚は関西では「モジャコ」と言われます。もともと日本海や太平洋の南の海域で水揚げが多かったハマチは養殖されるようになると関東地方に出荷されるようになり、「ブリ」と呼ばれるようになったとも言われます。ハマチとブリは同じ魚です。
養殖のものが「ハマチ」天然ものは「ブリ」と呼ばれていたり、諸事情や地域によって様々です。
関西では天然もののハマチは「ワカシ」や「イナダ」と呼ばれる事もあります。
養殖の初めの頃、1960年代頃はとにかく急成長させたものが出回っていましたが、今ではゆっくり育てて自然に近い環境で育ったハマチに近いものもあるそうなので、話はますますややこしくなるのです。
しかし基本的には60cm以上に成長したものは「ブリ」と言わる事が多いようです。
ハマチの外見
ハマチの稚魚は成魚にはない縞模様があります。アジの仲間ですが、ゴリゴリしたゼイゴがないのもハマチの特徴です。
ハマチの成魚は青味のあるシルバーに光っており、黄色っぽい線があります。
大きくなったハマチは1mほどにもなると言われます。
ハマチの回遊について
ハマチは赤身魚です。お刺身や寿司ネタになると白っぽい気がしますが、ごく淡いピンク色です。
身が赤いのは回遊魚の特徴で、筋肉質で身がしまっています。食用として人気が高いにも関わらず、ハマチについては最近になってわかってきた点も多々あります。
ハマチがどのように回遊しているのかもそのひとつのようで、群れをつくり3年で成熟すると産卵のために南下する傾向があるハマチの回遊のパターンは、おおまかに3パターンほどです。
北海道付近と九州地方の東シナ海を泳ぐもの、石川県能登半島付近から東シナ海を泳ぐもの、温暖な紀伊半島などの太平洋付近を泳ぐもの、あまり回遊しないものもいます。
これらの回遊の理由はブリの成長過程に関係があるようです。
ブリは、近年の海水温の上昇により北方でも獲れるようになってきた傾向があると言われています。
ハマチ(ブリ)の生態
ハマチの産卵は東シナ海だと2月などの冬、関東近海で産卵する場合は3月から6月頃までといわれます。
ハマチが耐えられる海水温は9度くらいといわれます。
孵化後まもなくは海の表層部を漂っていますが、稚魚になると藻にたどり着き、その中で成長します。
この時点でハマチの大きさは3cmほどになっているようです。ハマチは体が成長するとともに回遊範囲を広げ、餌も変わります。
成魚になるとハマチは動物食となり、魚類や甲殻類などを捕食しながら泳ぎ回るようになります。
日本近海の海流でハマチの成長に関係しているのは、太平洋側の黒潮といわれる日本海流と日本海側の対馬海流です。
ハマチは4歳くらいになるとこれらの栄養豊富な海流に乗って回遊しているようです。
それまでは浅瀬にいたり、暖かいところで越冬するようです。ブリに適した水温は14度から15度ほどとされます。
ハマチの旬や養殖について
そんな複雑な魚、ブリの旬は冬です。養殖が盛んなのは瀬戸内地方だとされます。
ブリの養殖には稚魚である「モジャコ」が必要です。モジャコは藻のあたりにいるので、生け簀に放し大事に育てられます。
養殖される魚類の中には卵から人工的に孵化させる事が可能なものもいますが、ブリの養殖にはモジャコが必要なのです。
ブリの産卵についてははっきり分からない事が多いからです。ブリ漁は関西や能登半島など石川県、富山県あたりだと昔ながらの定置網漁が行われています。
中でも富山湾は沿岸部から一気に深くなる特有の地形から、あいがめ、と呼ばれ日本の漁業事情を支えていると言えます。
この辺りの定置網漁は16世紀から行われており、富山県のブリの消費支出額はたいへん多いのです。
ハマチとブリについて
フォッサマグナはブリ境、という言い方を聞いた事はありますか?
関西で人気の魚として「ブリ」があり関東で人気のある魚は「サケ」とも言われています。
フォッサマグナは日本列島を大きく横切る割れ目です。
ホタルの点滅具合も変わるほど大きな割れ目は食文化にも影響するようです。
ハマチは大きくなってブリになるのではなく、和名でブリとされる魚の呼び方のひとつです。
(ライター:おもち)