羊というのはごわついた毛に獣の脂がのったような、独特の質感の動物です。
どちらも羊の肉である「ラム」と「マトン」ですが、それぞれどのような特長や違いがあるのでしょうか。
ラムとマトンについて
ラム(lamb)は、仔羊の肉の事です。生後一年未満の柔らかい羊肉です。
一方マトン(mutton)は、去勢されたオスの成羊の事で2歳以上になった羊の肉をさします。
特に厳しく定まっているものでもなく、国によって様々なのですが、ラムとマトンはだいたいこのように区分けされているようです。
ラムの中でも生後5ヶ月未満の食肉はスプリングラムとされる事もあります。
しかし羊の精確な月齢は外見からは分かりにくく、子供の歯である、門歯があるかどうかでラムかどうか判断される事もあるようですよ。
中間の羊肉はどうかというと、ホゲット、と呼ばれたりします。
羊の様々な呼び名とマトン
羊は食肉や羊毛などに利用されます。
去勢していないオスの羊はramといわれ、メスの羊はeweと呼ばれます。
マトンは肉質がしっかりしており特有の匂いがあるので、味付けされてジンギスカンになったり、香草などを使いソーセージなどに加工されたりします。
羊という、鯨偶蹄目ウシ亜目ウシ科ヤギ属の動物は古くから人間にとっていなくてはならない動物であり、そのすべてを利用していると言っても過言ではありません。
動物についての文脈では羊は英語でsheepなのですが、人間の生活に密着している存在である事からか、食肉の羊は時期によって呼び方が違います。
羊に関する言葉も古くから沢山あります。羊飼いはshepherdでsheepとheed(番人)が合わさったものと考えられている言葉だそうです。
ラム肉の特長や栄養
ラムはマトンよりも肉質が柔らかく、色も淡いピンク色です。
肉食獣なら思わずかぶりつきたくなるような綺麗なお肉です。
羊肉特有の癖も少なく、ラムチョップなど、表面を焼き付けて濃い味付けをせずに食する事も多い羊肉です。
ラムチョップは仔羊のあばら骨の部分の骨と肉です。
食肉用の羊がラムでいる期間は1年程度と短く、欧州では昔から安定した人気があります。
食肉の栄養といえば、たんぱく質や脂肪などですね。特にラムに含まれる脂肪酸にはコレステロール値を上げないパルミチン酸、オレイン酸などが含まれています。
リノール酸も含まれており、人間が体内で合成できない必須アミノ酸がバランス良く含まれ、鉄分も豊富、低カロリーである事から、比較的肥りにくいとされ、食肉としてはパーフェクトなようです。
マトンの特長と栄養
マトンはある程度成長した羊のお肉です。
マトンの栄養にはカルニチンというアミノ酸の一種が含まれており、脂肪燃焼効果が期待できるといわれています。
臭いがあるお肉ですが、人によってはマトンの方が味が濃く美味しい、と思う事もあるそうです。
他の食肉の様に羊の肉にも部位によって呼び方が異なります。
国内で流通している羊肉はほぼオーストラリア産やニュージーランド産の羊肉です。
マトンとして食べる機会がありそうなのは、羊のロース肉などです。
ラムの羊は体が小さく、ロースと呼ばれる部位の肉は一頭あたり100gほどなのだそうです。
現在飼育されている羊は、中央アジアなど現在のイラク付近などに野生に棲息していた個体を家畜化したものと言われています。
おおよそ8000万年前から羊は飼育されていたとされています。
食用になるお肉というと、牛、鶏、豚などが思い浮かびますが、最も古いのは羊肉だとされます。
羊は大人しい種類が多く、群れにも決まったリーダーはいないようです。そのため一頭を牧羊犬で追えば他の羊も追従し、餌も草など植物性のものを好むので飼育しやすいようです。
ラムとマトンの違いについて
同じ食用の羊でも食肉にされる時期により呼び方が違います。
ラムは生後1年未満のオスの羊肉の事です。マトンは2歳以上の去勢されたオスの羊肉です。
だいたい7歳くらいまで食肉とされる事があるのだそうです。味の違いは比較的ラムは食べやすく、マトンは人それぞれです。
また、このような呼び方の違いは羊の種類の違いではありません。
食肉用に育てられている羊が肉になる時期によって呼び方や利用法が違う、という事です。去勢されていないオスの羊がどうしているかというと、他の利用に役立っている場合もあるそうです。
(ライター:おもち)