「私は脊椎動物だ」と意識して生活しているという人は多くはないかも知れませんが、現生人類は脊椎動物です。

体が柔らかいタコは「軟体動物」、体の仕組みや構造などについて考える時は「頭足類」などと言うように、生物の分け方は観点によって様々です。

タコは無脊椎動物ですが、脊椎動物と無脊椎動物の違いは何でしょうか?

脊椎動物と無脊椎動物

脊椎動物とは一般に「体に脊椎がある生物」の事を言います。具体的には魚類(軟骨魚類・硬骨魚類)、鳥類、爬虫類、両棲類、哺乳類です。

人間は哺乳類に入りますね。これらの脊椎動物には、ペットや動物園、水族館あるいは日々の食卓に並ぶタンパク質を提供してくれる生物たちも入りますので、身近な存在です。

体の大きさや毛があるもの、飛ぶものもおり変態し呼吸法が変わる生物もいます。

無脊椎動物たちは、種類も多く形や種類や分布も更に様々です。

 

どちらかというと生態がよく分からない生物も入ります。

無脊椎動物は体に脊椎を持たない、脊椎動物以外の生物です。

代表的な生物はハチなどの昆虫、ミミズなど体が環状になっている環形動物、ゾウリムシなどの原生類、海に棲むものだとサンゴなどの刺胞生物、ヒトデやウニなどの棘皮生物など、その他多くの生物が棲息しています。

脊椎の仕組みや役割

無脊椎動物も多い中、なぜ脊椎を持つ生物もいるのでしょうか?

脊椎は背骨と呼ばれる事も多く、体を支える役目を果たしています。

 

人間の脊椎は首の後ろにある7つの頸椎、その下に12本の肋骨と連続したようにある12つの胸椎、体の後部にある5つの腰椎、臀部にあるひとつの仙椎、尾骨があります。

これらの椎という骨が、椎間板や靭帯によって連結しうまく動くようにできています。

 

これら脊椎の内部には空洞があります。

中には脊髄があります。

 

脊椎の役割は体を支え、動かせるようにする役目もありますが、重要な役割はこの脊髄の保護です。

人間の脊髄は成人で40cm~45cmほどです。

 

脊髄は脳から出される指令に基づいて反射的な動きをする際に働きます。

脊椎動物と無脊椎動物の違いは、脊椎(背骨)のある生物とない生物に分かれており、哺乳類のように体の内部に骨格をもつ「内骨格」と昆虫類にみられる「外骨格」のように分かれていますが、具体的にはこのような中枢神経系のもたらす運動機能、呼吸機能、口の形状などに違いが現れると言われています。

口の形について

生物の口の形は摂食や呼吸にかかわる重要な部位です。

口、というと脊椎動物の場合は多くは顎があるでしょうね。

 

顎の関節がうまく働かないと口を開け閉めする事が困難になり、きわめて不便な事が予想されますので、顎は大変重要な部位です。

脊椎動物とされる生物の中にも顎がないものもいます。

 

ウナギの仲間です。ウナギは魚類とされますが、円口類、とも言われます。

胴体が丸く、円筒形で口も丸いです。

 

ヌタウナギとヤツメウナギなどです。彼らは無顎類と言われ顎がありません。

顎について言えば、脊椎動物はウナギなどの無顎類と人間も入る顎口類に分かれます。

 

特にヌタウナギには背骨がないと言われていましたが、実は骨のようなものがあったが、退化してなくなった生物だという事がわりと最近になって確認されました。

なぜ顎が重要視されるかというと、脊椎の進化と関わりがあると考えられているからです。

 

背骨が退化し、今でも現存するヌタウナギの発生や生態については顎がある脊椎動物とも大いに関係があるのではないかとも言われています。

ヤツメウナギも原始的な姿をした生物ですが、背骨と脳があります。

顎は、初期の原始的な脊椎動物の場合は発達していなかったものと考えられているようです。

脊椎と脳について

昆虫の中には頭がなくなっても動いている生物もいます。

昆虫は無脊椎動物の中でも数が多いグループのひとつですが、神経系が特に発達しているようです。

 

生物が発生する時に、脊索、と呼ばれる脊椎のもとのようなものが発生します。

脊椎動物の祖先は脊索動物と考えられていますが、中でもナメクジウオ、という魚類のような生物のゲノムには脊椎動物の祖先と考えられるものと共通する部位が多いとされています。

 

このような脊椎動物の祖先やどのように脊椎を持つに至ったのかについては長年の謎であり、今でもはっきりしません。

中枢神経系である脳と脊椎は早い段階から分化が始まるにも関わらず、それらが完成されるのは最終段階になってからです。とても時間がかかります。

脊椎動物と無脊椎動物の違い

  • 脊椎動物には脊椎(背骨)がありますが、無脊椎動物はそれ以外の脊椎がない生物の事を言います。
  • 脊椎動物の体の特徴として、脊椎と中心として左右対称になっている生物が多いとされます(例外もあります)。
  • 脊椎動物の数は無脊椎動物より少ないようです。
  • 最も多い生物は無脊椎動物の昆虫かも知れません。
  • 脊索動物含む、背骨のようなものを持つ脊椎動物に共通する祖先は今のところナメクジウオが有力とされています。

(ライター:おもち)