カミキリモドキというと有名なのがアオカミキリモドキでしょうか。
カミキリムシとはちょっと違った厄介な昆虫、カミキリモドキについて詳しくお話します。
カミキリモドキとは
カミキリモドキは鞘翅目カミキリモドキ科の昆虫の総称で、一見カミキリムシに似ていますが体が柔らかいのが特徴です。
橙、赤、黄色、緑色などの明るい色彩と金属光沢をもつものが多く、触角は糸状でやや長くなっています。
肢の節は一部が葉片状に変形し、成虫は花に集まり、灯火に飛来します。
世界中で特に熱帯から亜熱帯に分布していて、その種類は1500種類と言われています。
日本ではアオカミキリモドキやキクビカミキリモドキ、ミヤマカミキリモドキ等40種類以上がいます。
雌雄の区別は一般的に腹部末端の形で判別でき、成虫は春から夏にかけて現れて樹葉上に見られ、花に集まり、蜜や花粉を食べるものも多いようです。
カミキリモドキ科の昆虫
アオカミキリモドキに限らずカミキリモドキ科の昆虫は一様に毒を持ち、それら20種類ほどの昆虫を総称してヤケドムシと呼ばれることも多いのですが、そんな中でも最も多く見られるのがアオカミキリモドキです。
他にも北海道に多いキクビカミキリモドキやキイロカミキリモドキは被害が多く、その他奄美や沖縄などに多いハイイロカミキリモドキ等も含め50種類近いカミキリモドキ科の昆虫がいます。南洋諸島のランプカミキリモドキ類の被害は有名です。
キイロカミキリモドキは全身が黄色みがかかったオレンジ色で複眼の黒さが際立って目立つカミキリムシに似た甲虫です。山地の林縁で見られ、花に集まり夜、灯火にも飛んできます。
ハイイロカミキリモドキは海浜性のカミキリモドキです。
アオカミキリモドキの毒
アオカミキリモドキの卵、幼虫、蛹、成虫の全ての成長段階の体液には有毒成分、カンタリジンと言われるものが含まれています。
カンタリジンは猛毒として知られていて、体液が皮膚に付着すると2~6時間後に激しい痛みと共に水ぶくれができ、この水ぶくれが破れてかさぶたが出来ると同時に恐ろしいまでの痒みに襲われ、少なくとも2週間近くも続きます。
この症状は火傷に似ていて、そのためにヤケドムシやデンキムシなどといった名前で呼ばれることもしばしば。
例えばアオカミキリモドキに何もせず、手の甲などを這わせておくだけなら何も被害怒りませんが、多少でも圧迫を加えてしまうと前胸背板の前後両縁や翅鞘付近から毒液を分泌し、これによって被害が起こります。
毒成分カンタリジンとは
カンタリジンは昇華性がある結晶で水にはほとんど溶けません。皮膚に付くと痛みを感じ、水疱を生じるのが特徴でツチハンミョウ類、ジョウカイボン類、カミキリモドキ類、アリモドキ類、ハネカクシ類などの甲虫類が分泌する体液に含まれています。
ヨーロッパに分布しているツチハンミョウ科のスパニッシュフライ、ジョウカイボンかのカンタリス・ウェシカトリア、日本ではマメハンミョウ等がカンタリジンを持つ昆虫として有名です。
カンタリジンを含むカンタリスは古くから難病を治すことに使われていました。
皮膚外用によって水疱が出来、炎症や神経痛の治療、イボ取りなどに用いられ、内服では尿失禁や膀胱炎の治療などにも用いられています。
かつて乾燥下虫の粉を暗殺用の毒薬や媚薬として用いたり、発毛剤としても使われていました。
適量を用いると中毒を起こし、10㎎以上摂取すると死亡するとされています。高度の中毒では2~3時間以内に、中等度では1週間以内に死亡するとされるほどの猛毒です。
皆さんも、くれぐれも昆虫だけでなく、「モドキ」にご用心!?
(ライター ナオ)